真木柱 その四
確かにいくら帝に仕えるといっても、他の女御、更衣の人々より軽く見られ、ほんのたまにしか帝のお情けにあずかれなくて、重々しい待遇もしていただけないとしたら、軽挙な出仕だったということになるだろう。
三日の夜のお祝いの手紙を、玉鬘の親代わりとして、光源氏が新郎新婦と取り交わした様子を、内大臣は人伝に耳にして、光源氏の心遣いを、初めて畏れ多くありがたく、またとない厚意として感謝するのだった。
このように、せいぜい表沙汰にならないように秘密にした縁組だったが、自然と面白おかしき話題として、世間に伝えられ、次から次へと広がっていき、世にも珍しい話として、ひそひそ語られたのだった。
帝もその話を聞いた。
「残念ながら、ついに私とは縁がなかったのだろう。しかし、一旦、尚侍として出仕を思い立たれたことだし、やはり参内されたらどうか。女御や更衣といったような入内のつもりなら、結婚した今は断念するのも仕方がないが」
などと言うのだった。
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