藤袴 その二十二

 年が髭黒の大将より三つ四つ上ということは、よくあることなのに、北の方の人柄がどういうふうであったものか、髭黒の大将はこの人を「お婆さん」と呼んであまり大切にもせず、何とかして別れたいと思っているのだった。


 北の方が紫の上の姉君という関係から、光源氏は髭黒の大将との縁組はふさわしくなく、玉鬘が可哀そうなことになるだろうと考えているようだった。


 髭黒の大将は、色恋にうつつを抜かすというところはない人だが、今度ばかりはとても夢中になって思い焦がれて熱心に奔走して運動しているのだった。内大臣もこの縁談を、まったく問題外の話とも考えてはいない様子だ。


 玉鬘は、宮仕えに気乗りがしないらしいという内々の詳しい情報も、手に入れて髭黒の大将はそれを漏れ聞いて、



「ただ光源氏の大臣の意向だけが違っているようだが、実の父君さえ依存がなければ」



 と、弁のおもとという玉鬘づきの女房にも、なかを取り持つように催促するのだった。

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