行幸 その九

 何はともあれ、まず玉鬘の裳着の儀式をすまさなければと考えて、光源氏はその儀式に必要な調度類として、入念な細工の立派な品々を新しく造らせた。いったいどんな儀式でも自分ではそう大げさに考えてなくても、六条の院では自然と周りで何かと仰々しく、盛大にしてしまいがちなのだった。まして今度は内大臣にもこの機会にそのまま事実を打ち明けようかと考えているので、準備の品々がとても立派で、置き場所もないまでにたくさん揃えられているのだった。

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