野分 その二十一
西の対の玉鬘の姫君のところでは、昨夜嵐が恐ろしくてまんじりともしなかったので、今朝は寝過ごして今ようやく鏡に向かっているところだった。
「大げさに先払いをしないように」
と光源氏が言ったので、ことさらひっそりと入る。
屏風なども風のためにみな畳んで片寄せて、調度などが取り散らかしてあるところに、朝日の光がはなやかにさしこんでくる中に、玉鬘は目の覚めるような美しさで座っている。
光源氏は玉鬘の側近くに座り、またいつものように風のお見舞いにつけても、恋の愛のと、例の鬱陶しい話を冗談めかして言うので、玉鬘は聞くのも我慢できず情けない気持ちになり、
「こんなつらい思いばかりするのなら、昨夜の風に吹かれて、いっそどこかへ行ってしまいとうございました」
とむずがるのだった。
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