乙女 その二十一
太政大臣や内大臣のそれぞれの新任披露の宴会も終わって、他に朝廷の大きな行事の準備もなくようやく落ち着いた。時雨が降り、荻の葉末を渡る風もしみじみ身にしみるそんな夕暮れに、大宮の部屋を、頭の中将が訪ね、雲居の雁もそこに呼び、琴などを弾かせた。
大宮はあらゆる楽器に堪能でいるので、どれもみな雲居の雁に伝授させている。頭の中将は、
「琵琶という楽器は、女が弾くと見た目はよくありませんが、音色はいかにも気品のあるものです。しかし今では正確な奏法を弾き伝えている人は、ほとんどいなくなってしまいました。それが出来るのは、何々親王か、源氏の誰それくらいのものでしょうか」
などと数え上げた。
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