乙女 その十

「総じて、相伴役の方々は、実にもってのほかなる無作法であられる。これほど著名な我輩をご存知なくても、よくも朝廷にお仕えしていられることだ。いやもう、実に愚かな話ですな」



 などと言うので、人々はたまらなくなって、噴出してしまった。すると博士たちはまた、



「騒々しい、静粛になされよ、実にけしからん、退出しなさい」



 など脅すので、本当におかしいものだった。


 こうした儀式をはじめて見る方々は、珍しく、興味深く思って、大学寮の出身で立身した上達部などは、得意そうにほくそ笑みながら、光源氏がこんなに学問を好み、夕霧を大学に入れて修業させようとするのは、結構な見識だと、ますます深く尊敬した。


 博士たちは、参列者がちょっと話をしても制止したり、無礼だと言っては叱りつけた。やかましく大声で叱っている博士たちの顔も、夜になると、昼よりもかえっって一際鮮やかに明るい灯火に照らされて、猿楽のように道化じみて見えたり、みすぼらしげで、不体裁であったりなど、いろいろと実に異様な有様なのだった。

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