今日が明日になる時に
だ~くぱんぷきん
1日目 《どうしようもなく平和な日》
今日も今日とて近場の公園でボーッとする日々
それにしても落ちていた漫画を拾えたのは幸運だった
昔良く読んでた少年漫画だ
表紙のカッコよさに惹かれまた読んでみたが中身はやっぱりエグいものだった。全く、流石は児童誌のベ○セ○クという奴か。
そんな事を考えていると顔面にサッカーボールが飛んできて、鼻がしらに直撃する
「ウオォォォォ・・・!」
痛みに悶え、思わず地面に伏せる
「ご、ごめんなさい!大丈夫ですか!?」
少年Aが焦りながら話しかけてくる
その他の子供達も心配して近寄ってきた様だ、ガヤガヤと少し騒がしい
「大丈夫・・・大丈夫だから・・・サッカーはもっと広いところでやったら…いいんじゃないかな…?」
出来る限りのスマイルを少年達に送ると、「すいませんでした」と声を合わせて言う。その後はすぐに走り去って行った
頭を上に向け、鼻を抑える
この妙に生暖かい液体は鼻血だろう、最近はティッシュ配りの人が少なく持ち合わせていない
突然、喉に不快感を覚え、それを口から吐き出す
無論、鼻血である。
そう言えば小学生の時は「鼻血が出た時は上を向くな」と言われてた気がする
こんな初歩的なミスをやらかすとは…あらやだ、通りすがりのお母様や中学生達がこちらを異様な目で見てくる
仕方なく、下を向くと今度は鼻から鼻血が漏れてくる
「クソァ・・・」
鼻のいずさに耐えきれず、抑えてた手を離すと、溜まっていた鼻血が一気に溢れ出す
クソァ、さっきから鼻血しか言ってねぇぞ。あぁあぁ、通りすがりの人達が哀れみの目でこちらを見てくるぅ・・・
あの坊主共め・・・今度ここでサッカーしてたら、とっちめてやる
少年達への報復の手段を考えていると、突然ポケットティッシュが現れる
「嫌だなぁ、そんな鼻血垂らした後輩は」
その声の主はアルバイト先の先輩、まぁ先輩と言っても一週間違うだけだが
「神のご慈悲かな?」
俺が貰ったティッシュで鼻血を抑えている間に先輩には詰め物を作ってもらう。
その詰め物を鼻に突っ込んだ後、先輩がまた喋り出す
「どうだ?最近の調子は?」
「こんな夕方の公園で鼻血を垂らしてる男が『絶好調だぜ!』なんて言えると思います?」
「まぁ、そりゃ無いわな」
すると先輩は吹き出すように笑い出す
こちとら必死に鼻血を止めてたんだ。これ以上の冒涜は許さん。
細目で先輩を見つめると「悪かった悪かった」とすぐ謝った。そうだ。それが正しい選択だ
「それにしても、今、休日の7時ですよ?彼女さんとの絶好のデート時じゃあ無いんですか?」
「アイツなら学校の委員会で遅れてるよ。偉い子なのは良いんだがなぁ・・・」
そう、何を隠そうこの社会人、今年ようやく高校に入るピチピチJKと付き合っているのだ。何とも羨まs、けしからん。援○かな?
そんな事は無く、彼女さんは普通にいい子だった。見た目も良いしスタイル抜群。先輩殿よ。死ぬが良い。氏ねじゃなくて死ぬが良い。
「お前だって、顔は悪く無いんだからもっと素行を良くすれば・・・」
「そんなの無駄ですよ。第一、"家の無い男"と付き合ってくれる寛容な女の子が今現在、この世に存在すると思います?」
少し呆れ気味に笑いながらそう言う。
先輩は(なんか悪い事言ってしまった)と思っているのだろうか?眉が八の字になっている
「お前…」
「良いんですよ。ここでの暮らしもそう悪くは無いですし、ここに居ると色んな物が目に入ってきて面白いんです。なんかお巡りさんも見逃してくれるし」
「職務放棄ェ・・・」
言葉の通りだ。
俺には帰る家も無ければ俺を待ってくれる家族も居ない。いや、それは少し違うか
居なくなったの方が正しい
まぁ、今となっては糞ほどどうでもいい。
内心、少しイライラしていると先輩の携帯が鳴り出す
「・・・悪ぃ、そろそろ行く」
「ハイハイ、街中でイチャイチャのし過ぎで非リア達に後ろから中指立てられんように」
「あぁ、そうさせてもらうわ。」
「・・・マトモに受け止めないでくださいよ。皮肉ったんだから」
先輩はガハハとオッサンの様な笑い声を上げると、颯爽と俺の前から姿を消した
ふと時計を見ると既に時計は7時を回っていた
そろそろ俺も寝床(ダンボールの上に寝袋)に入る準備をしなくては。
いい加減、この服も臭ってきたな。今度、まとめてコインランドリーへ行こう
寝間着に着替え、そんなどうでもいい事を考えながら俺は寝袋に入った
・・・彼女なんて要らんわこのブォケナス
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