カンストレベルの不可能

@matatabi_rctn

第0話

夕日に照らされた教室の机で、僕は目覚めた。

なんて事無い、ただ茜色の光に眩しさを覚えて、目が覚めてしまっただけだ。

一番廊下側である僕の机まで届いた光が、時計を見ずとも経った時間を感じさせる。


「なんだ信仁(しんじ)、まだ帰ってなかったのか」

「ん?ああ、雄太か。いつの間にか寝ちゃってたんだよ」

「さっさと帰ろうぜ。今日クリフロ(Crimson Frontier Online)やるんだろ?」

「そうだな……」


なんだろう、この感覚。

雄太とは毎日のように会ってるはずなのに、とてつもなく懐かしいような、この感覚。

そして、どこかに戻らなきゃという使命感。

自宅ではない、どこか遠くへ……。


「なぁ、雄太」

「どした?もう彩琴(あこ)も待ってるぞ?」

「あのさ、僕って今までどこにいたっけ?」

「どこって……、教室じゃないのか?」

「教室……。そうだよな……。」


そうじゃない。


「ほら、もう帰ろうぜ」


ここじゃないんだ。


「おーい、信仁ー?」


帰らなきゃ……。


「……お前そんなに、「あっち」がいいのか」




ティナ―――。



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