後編
第4話 クリスマス
12月25日 クリスマス
-13:00- あかり宅
(どうしてこうなった?)
私は1人心の中で呟いた。
目の前には私と同じ学校の男の子達4人。
そして私を除く親友3人は少し気まずそうに彼らと話してる。
いったいこれはどういう事なんだろう。
数時間前
-9:00- あかり宅
あかり「え?男子も誘ったの?」
つばさ「うん、4人でもいいなーって思ったけど人数多いほうが楽しそうだから」
あかり「女子でもよかったじゃん!」
つばさ「あかりあんまり男子と話さないし、この機会に交流するのもいいんじゃないかって思ったのよ」
確かに私はそんなに男子と話さないけど、でも私に一言いってから誘ってもよかったはずなのに。まあ一言いわれても断ると思うけど…。クリスマス前にいろんな事があって今は男子とはあまり話したくない。きっとそれをつばさが察したんだろう。
ひなこ「でも、誰を誘ったの?」
つばさ「かずき」
ゆうか「えー!?清水くん誘ったの?」
清水くん…あぁ、隣のクラスで確か学級委員をしていたな…。確かイケメンと言われていて、結構モテる男の子だ。噂系をあまり聞かない私でもこれだけは知ってる。
ゆうか「でも清水くんのことだからもう先約あったりするんじゃない?」
つばさ「ないって昨日メールきたよ。ついでにこっちの人数も教えたから、合わせて来てくれるって」
ゆうか「じゃあ8人かー!結構な大人数だね!」
あかり「私に断ってから今度から誘ってね。ここ、私の家だし」
つばさ「今回はごめんって。次からはちゃんとそうする」
ひなこ「じゃあお料理作ったり、買い出し行ったりしよっか。つばさちゃん何時の約束なの?」
つばさ「11時!」
あかり「あと2時間しかないじゃん!?とりあえずひーちゃん料理つくるの手伝って!つばさとゆうかは買い出しで!」
ゆうか、つばさ「「はーい!」」
二手に分かれ、クリスマスパーティーの準備をする。
ひなこ「ねえ、あかりちゃん」
あかり「なに?」
ひなこ「あの事、2人には言わなくていいの?」
あの事、というのはひーちゃんと一緒に帰った時に話したことだろう。あの2人にはまだ告白されたことを話していない。「友達で」と言ったし、話すことでもないような気がしたので話さなかった。
あかり「友達ってなってるし、いいのいいの」
ひなこ「まああかりちゃんがそういうなら…」
あかり「うん!さあ、早く作っちゃおう!8人分だからかなり多めに作らないとね!」
なおとくんは友達だ。あの時は避けてしまったが友達だし、もう気にする必要も無い。次会うときは普通に話そう。
-10:00-
11時からのはずがつばさとゆうかは男子達を連れて帰ってきた。
あかり「おかえり。早くない?」
つばさ「もう連れてきちゃったし、リビングに通しておけばいいでしょ?」
あかり「うん」
つばさは男子達にリビングに行くように言った。
清水くん以外誰が来るのさ知らないが、他には誰がいるんだろうと思っていると、彼をみて私は固まってしまった。きっと、その彼も私のことをみて固まってただろう。
あかり、なおと「「え…どうして?」」
お互い同じ言葉を口にする。
しんじ「あ、ここって白井の家だったんだ」
ひょこっとしんじくんがなおとくんの後ろから顔をだす。
しんじ「なおと、早く入って。俺寒いから」
なおと「あ、あぁ!ごめん」
しんじ「お邪魔しまーす」
しんじくんが靴を脱ぎ、リビングの方に向かうと「お邪魔します」としんじくんの後ろにいた2人もリビングに向かう。1人は清水くんだが、あともう1人はみかけたことがない男の子だった。きっと隣のクラスの子だろう。
なおと「あかりさん」
あかり「なに?」
まだ靴を脱いでいないなおとくんが私を呼んだ。
なおと「これ、ドーナツ買ってきたからよかったら…」
あかり「え!?ありがとう!ドーナツ大好きなんだ!嬉しい!!」
大好物のドーナツと言われてついテンションが上がってしまった。でもそのおかげで、昨日のように避けたような態度はとらなくて安堵した。
あかり「なおとくん。早くあがって!」
なおと「あ、うん。お邪魔します」
キッチンに戻ると、ひーちゃんが不安そうな顔で私をみてきた。
ひなこ「あかりちゃん。大丈夫?」
あかり「大丈夫だよ。驚いたけど、平気!」
ひなこ「そっか、でも何かあったら言ってね!」
そう言うとひーちゃんは出来上がった料理を運ぶ。
(ひーちゃんありがとう)
心の中で何度も呟く。
私もひーちゃんの後を追いリビングに向かい座る。
つばさ「よし!全員揃ったね!とりあえず自己紹介したほうがいいよね?知らない人いると思うし。じゃあ、私から時計周りにね!」
そう言うとつばさから自己紹介が始まった。
つばさの次はゆうか、ひーちゃん、私。そして私の向かい側に座るなおとくん、その隣に座るしんじくん、清水くん、そして最後は石野くん。
自己紹介が終わると各自、お菓子を食べたりして、話していた。
しんじ「そういえば白井の親、今日いないの?」
しんじくんが尋ねてくる。
あかり「家の親は今旅行中なんだ。今日の夜帰ってくるけどね。でも、かなり遅いと思う。」
しんじ「でも子供置いてくか?」
あかり「中学生ぐらいから私から自主的に留守番してるの。イヴが結婚記念日だから」
しんじ「なるほどね」
しんじくんと話してると、前と横から視線を感じた。
あかり「ふ、2人ともなに…?」
視線を向けるなおとくんと、ひーちゃんに問う。
ひなこ「あかりちゃん、普段男の子とはそんなに話さないからなんか新鮮で…」
なおと「僕もそう思っただけ」
あかり「え」
しんじ「そうか?俺よく白井とは話すよ。席前後だし」
そういえばしんじくんとは普通に話せる。同じクラスになったのは2年からなのに、2年の最初からよく話してた気がする。席替えしても席が近かったり、前後だったりすることが多いというのもあるかもしれない。
なおと「いいな…」
あかり「え…」
しんじ「なおとくーん、そんな妬くなって!冬休み明ければ席替えなんだしさ!」
なおと「いや、そんな妬いてなんて…!」
(すごくここにいたくない)
そんな気持ちになっていた時私にとってもっと最悪な状態になろうとしていた。
たくみ「そういえばさ、なおとさ、白井さんに告白したんだろー?」
なおと「え」
現在
さっきのたくみくんの発言により、更にここにいたくない気持ちが増す。むしろもう早く帰ってほしいと思う。そんな時、マナーモードにしていた携帯がバイブで震える。
チャットルーム
つばさ:あかり大丈夫?
ゆうか:とりあえずこいつら早く帰らせるようにもってくよ!!特にたくみ!!
あかり:ありがとう。でも飲み物とか足りなくなったみたいだし、私買い物いってくるよ。
ひなこ:私もいくよ?
あかり:大丈夫だよ!私1人で行けるから!
3人は私のことをとても心配してくれていた。ひーちゃんには告白のことは話したけど、ここまできたらつばさとゆうかにも後で話さないといけない。
この空気の中、私から発言するのは気が引けたがこの場から逃げるためには仕方ないと思い口を開く。
あかり「飲み物とかもうなくなってきたし、私買い物行ってくるね」
なおと「僕もついてくよ。荷物とか重いと思うから」
私は心の中で悲鳴をあげた。今はなおとくんと2人きりにはなりたくなかったからだ。
ひなこ「なら、2人で足りるかわからないし、私も」
なおと「西園寺さんはいいよ。外寒いしそれに2人で足りるから。さあ、行こう。あかりさん」
あかり「え、あ、うん」
なおとくんは私の手を引き、扉を開け外に出た。
なおとくんの手は外の気温とは違い、とても温かった。
なおと「ごめん、ちょっと居づらくて…。あの場から逃げたかったんだ」
あかり「そっか」
彼も私と同じで、流石にあの空気に耐えられなかったのだろう。
なおと「あと、あかりさんに話したいこともあったんだ」
そう言うと、私の手を彼は離し歩いている足を止め、私に向き合う。
なおと「振られてからずっといろいろ考えたんだ。普通に友達として接してこうと思ったりとかいろいろね…。もう恋をしないと決めた人を好きにさせることなんて無理だよなって諦めようと思ってたんだけど、あかりさんをみるとやっぱり無理でさっきもしんじとはすごい仲良く話してたから…ごめん、ちょっとだけ妬いちゃった。彼氏でもないのにごめんね」
なんでそんなに彼は強いんだろう。振られてきっととても傷ついたはずなのに、何でそんな逃げずにいれるんだろう…。
なおと「あかりさん。僕は諦めないって決めたよ。すごく迷惑かもしれない、あかりさんは嫌がるかもしれない。でも、この気持ちは諦めたくないんだ」
あかり「なんで…。私なおとくんのこと好きになんてならないよ?それがわかっているのになんで諦めないの?」
私の言葉を受けた彼は、ゆっくり深呼吸をしてから答えた。
なおと「それは、僕の初恋だから」
彼の言葉に私は思い出す。
初恋だから、絶対に諦めたくなくて…。でも、先輩が私のことを好きになんて…。毎日暗いことばかり考えていたら先輩に告白された。
彼は今、あの時の私と似てるのかもしれない。私は言葉を紡ごうと彼の目をみるが、何も言葉がでてこなかった。その目はとても真剣で、でもすごく魅力的で引き込まれそうになったから。
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