恋をやめた私と、私に恋する君。

ゆん

第1章

前編

第1話 恋の終わり

現在

-17:00- 部屋

彼氏からメールが届いた。


「ごめん、あかり。別れよう」


たった一言だけのメールだった。




数時間前

-15:00- 学校

今日は珍しく早くHRが終わったので、彼氏の教室に向かう。いつもは私の方が彼よりも遅く終わるのでいつも迎えにきてくれるが、今日は早く終わったので私から迎えに行く。


(驚くかな?)


彼の教室は私の教室の1つ上の4階だ。

彼は私より学年が1つ上で、高校3年生。

彼と付き合い始めたのは私が1年生の時だった。

一目惚れだった。

告白は彼からだった。彼も私のことを一目惚れだったらしい。私は初恋でもあったので凄く嬉しかったのを今でも覚えてる。

それから毎日一緒に帰るのは日課になっていた。

でも、ここ1週間彼とは一緒に帰っていない。

いつものように教室まで迎えに来てはくれるけど、「ごめん!今日も用事あって帰れない!」と言われる。用事があるなら仕方ないと思い、1人で帰るけどこんな事は付き合ってから初めてなのでちょっと悩んでいた。

でも、今日は早く終わったしこの機会に用事とはなにか聞こうと思っていた。

そして彼の教室に着く。


(いるかな?)


そう思い教室を覗くが彼は見当たらない。

それに彼のクラスはもうHRはとっくに終わっていた。


(おかしいな?もう帰ったのかな?メールしてみよ)


私はスクールバックから携帯を取り出そうとした時、遠くに彼がみえた。


(あ!いた!!もう先帰ったかと思ったじゃん)


そう思い彼の名前を呼ぼうとした。

でも私は彼の名前を呼ばなかった。いや、呼べなかった。

私が呼ぶ前に知らない女の子が彼の名前を呼び、彼の腕に触れる。

そして彼と女の子が手を繋ぐ。恋人繋ぎだった。


私はその場で固まっていた。

頭の中が真っ白になっていた。

でも彼が私の方へ向かって歩いてくることに気がつき、私は走って逃げた。


(なんか凄く仲良さそうだった。友達なのに凄く親しげだったし…。あれ?でも友達って恋人繋ぎとかするのかな…?え?あれ?)


そんな事が走ってる間ずっと頭の中をぐるぐるしていた。

そして家に着くとすぐに部屋にこもった。

もう1度あの時の光景を思いだす。

仲良さそうに親しげに話す彼と女の子。そして手を繋いで歩いていた。


まるで恋人のようにみえた。

いや、恋人だった。




現在

彼からのメールに返事をする。


「わかった。今までありがとう。」


そこまで打つと涙がでた。

今まで楽しかったはずの恋が辛いものに変わった。

私の初恋は終わってしまった。

私のことを大切にしてくれた彼はもういない。

彼の心はもう私のところにはない。


恋ってこんなに辛くて苦しいものだったんだ…。わかっていたら人を好きになることもなかったのに…。


そして私は決心した。

こんなに辛くて苦しい気持ちになるならもう恋をすることをやめようと。



「もう恋なんて絶対にしない。するもんか」



それは高校2年のクリスマスの10日前のことだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る