第72話 バカチュウ問題
そこに広がるはありえない光景であった。
ありえることのないと思われていた3人がそこにいたのだ。
1人は生死が不明だった男
1人はなぜこの場所にいるのかわからない人物
そして死んだと思われていた、そう決めつけていた男がそこには
いた。
バカ問 第72話「バカチュウ問題」
「やぁ、久しぶりだね、やっぱり生きていたんだ、僕は本気で殺す気でいたよ」
「そうかい」
「やっぱりお前生きてたんだな」
仮面の男の仮面は取れていた、その下の顔はまさしく戦田ヶ原チュウであった。
「それにしても懐かしいね、この辺に僕らが共に過ごしたアパートがあったんだよ、覚えているかい?」
「ああ」
「僕はずっとずっとあそこにいたんだ、でも君たちは気が付かなかった、それだけが君の最初で最後の落ち度になるはずだったんだ・・・なのに君は生きていた、殺すつもりだったからこのお面を取ったのにな」
お面の男はリモコンをズボンから取り出した、エアコンのリモコンにも見えた。
「これが何かわかるかい?ロボットのリモコンだ、コイツは中の操縦席からでもこのリモコンからでも操作できるんだよ、今度こそ終わらせなきゃ」
そういうと複数のボタンを押す、すると消えていたロボットの目が再び光だした。
「俺たちをコイツで殺す気か?」
「いいや、その程度じゃ君は死なないだろう、だからアレだ、お楽しみは最後にというやつだ」
「そうか」
その時銃声が鳴る。
!!
撃たれたのは、お面の男 総統であった。
「これで俺が総統だーずっとこの時を待っていたのだ」
叫ぶ上半身になってしまった、メカブラックコーヒーだったが、
その直後、操作を失ったロボットが彼に向かって倒れてきた、そして一瞬で潰された。
「おい、おいつは?」
「こっちだ」
向こうから二人の男女の声が聞こえる。
「おい、チュウお前生きて、それにバカも」
「本当に今までどこに」
「あの操縦席で大爆発が起きて俺はあの部屋ごと遥か彼方に吹き飛ばされた、体は不死身だから助かったが記憶のほうを失ってしまった」
「それでなんで仮面を?」
「起きた場所がゴミだまりでな、たまたまそれが張り付いたらしい、そのあと俺はゴミの山から転がりおち、その近くの海に突っ込んでしまった」
「で何の因果かここへ流れてきた訳か」
「そうだ、そしてこのロボットが倒れた衝撃で記憶を取り戻した」
「それよりもこの総統という人誰なんですか?」
「今、わかる」
お面を取ろうとすると手にさえぎられる。
「駄目だよ、終わっちゃうよ、これを取ったら」
「もう、終わりだ」
そのお面の下にあったのはノッポさんの顔だった。
「ノッポさん」
「そう、あの時」
「お前は・・・」
あの時見た顔はノッポさんだった、あの建造物の上に実際にいたのか映像だったのかはわからないがな
そのあとあいつは自分にそっくりな男を用意し、自分を死んだように見せかけた。
「そうか、あの時母国に帰ったのは組織の運営の為」
「いや、違うそれより今は」
チュウは奴に言う。
「もう終わりだ、ノッポさんのふりするのなんかやめろ」
「ふり?」
「おそらくだがこいつはノッポさん本人じゃない」
「どういうことだ」
「あの日母国に帰ったのが本物のノッポさん、しかし俺の呼びかけに答えて帰ってきたのはおそらく」
「偽物・・・おい貴様本物は、ノッポさんをどうした!」
「・・・・・殺したよ、完璧に証拠を消すために」
「きさまっ!」
いつになく怒りを表すエビフライさん、とどめを刺そうとするがチュウが腕をつかむ
「あんたまで人殺しにあんる必要はない、それに」
「?こいつもう、死んでる」
「終わりだ」
「こいつ一体誰だったんだろうな」
「え、チュウさん知らないんですか?」
「知らんな、ただ俺たちの世界にあこがれていたのかもな」
こうして静かに戦いは終わった。
・
「紹介しましょう、世界を救った英雄です」
「おい、本当に出るのか?」
「ああ、行ってくる」
歓声と共にチュウは壇上にあるマイクのもとへと向かう。
「どうも、はじめまして、私は戦田ヶ原チュウと申します」
ふたたび拍手と歓声が巻き起こる。
「私はこんな表舞台に立つような人間ではありません、しかし今回は皆さまの前に出ることにしました、気が変わったとでも思ってください」
「それっぽいこと言ってるな」
「そうですね、でもチュウさんらしい」
「本当にこれでよかった・・・んですよね」
「ヨメイド、人間ってやつがわかってきたな」
そういつものチュウであれば、記憶を消してなかったことにするはずなのだが今回はしなかった。
なんでも今回は全世界と規模が大きく、すべての人間の記憶を消す事は難しいと判断、そのままで行くこととなった。
チュウの誤解も解け、チュウは国民栄誉級の表彰を貰えることとなったのだ。
「貰ってきたぞ、メダルだとさ」
「いいじゃないですか、あとで飾っておきましょう」
「お前らにもあるってよ、貰ってこい」
「えっ!今からですか」
「ほら早く!」
バカらを突飛ばし、スポットライトの当たる位置まで送る、すると拍手喝采が巻き起こった。
「あまり性に合わないがな」
「まぁまぁ」
こうして明るい笑顔と共に、長い戦いは終わりを告げたのであった。
「しかしあれだな、暇だ」
「暇だなぁ」
「ちょーっとは客が増えると思っていたんだけどな」
「変わらないなー」
「「はぁ~」」
ギィーーー
「あっ、いらっしゃいませ」
「ようこそ!よくおいでくださいました!」
「ほらナナシお茶!いや俺がいやバカお前が入れてこい!」
「わーったよ」
バカでどうしようもない人々の日常は終わらない。
つづく。
バカ問 辶(しんにょう) @ddramon
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