第64話 名探偵戦田ヶ原
*今回はバカ問スピンオフ、つまりパラレルワールドの世界です。元のバカ問とは一切関係ありません。
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まぁ俺は名探偵だ、めいはめいでも迷う探偵ではない、これは真実であり事実だ。これはそんな名探偵である戦田ヶ原チュウとアシスタント兼弟子であるバカの名探偵ぶりの物語、まぁようするに自慢だ。自慢。では始めよう華麗なる物語を・・・。
「よしできた」
「何がだ?」
「小説だよ、探偵業ももうからないから副業に走ろうとおもってな」
「いや無理だろこんなの、それにお前今日は探偵の仕事がある日だろう」
「そうだっけ」
「ほらこの間手紙が」
バカが机の上に置き去りになっていた手紙を取るとチュウに渡す。
「えーっと本当だ、冷凍の館にて惨劇が起きる、これはチュウに対する挑戦状であると、いい度胸だぜ」
「しかしなんでこんな探偵のところに挑戦状なんか」
「なにか言ったか、とにかく行くぞこの冷凍の館とやらに、地図も入っているしな」
「はいはい」
・
「ようこそいらっしゃいましたわたくしここの館の副当主、中国カマンです」
「はじめまして」
「なんでもここで惨劇が起きるとかで」
「ええ、それを防ぎにきました」
冷凍の館はよくミステリーとかに出てくるでかい屋敷だった、副当主と名乗る中国カマンが当主の元へとまず案内してくれるという。
「こちらです」
「当主の間、そのまんまだな」
「しゃれかい?」
「失礼いたします」
扉には鍵が二つかかっており、戸自体も厚くとても重くできていた、実際中国カマン自身も両手と体全体で押して扉を開けていた。
「防御は万全ということだな」
「ですね」
「みなさま、こちらが当館の当主、チャーハン53世です」
そこには豪華な椅子の上にチャーハンがおかれていた。
「えーっとこれは」
「どうかいたしましたか?」
「いや、チュウこれは?」
「?なにか問題があるのは、チャーハンさんはチャーハンさんだろう」
「いや、チャーハンじゃん」
そうそこにいたのはただの冷凍チャーハンだった。
「バカ、お前には何が見えているんだ」
どうやらバカ以だけはチャーハンさんはただのチャーハンに見える、つまりいつも通りです。
「で他に人は?」
「使用人のヨメイドと植木職人のエビフライがおりますが、今日は二人とも休暇をとっております」
「ということは死ぬとしたらこの中の4人だな」
「誰だ!!」
突然バカがバカみたいに叫ぶ。
「なんだどうした!?」
「今、そこの窓からだれかがのぞいていたんだ」
「なんだと」
チュウらが窓に駆け寄り開けるがもうすでに時すでに遅し、バカが見たという人影はいなかった。
「本当にいたのか?」
「本当だって」
「まぁとにかく、今はお部屋でお休みください、ご案内いたします」
・
「なんだろうかこの館、バカの言った通り誰かに見られている気がする」
「だろ!」
「しかし一体誰がなんの目的で」
チュウさんが悩む中突然それは起こった。
「だんなさまーーーーー!!」
「なんだ!?」
悲鳴のするほうへと走り向かう、どうやら先ほどの当主のいる部屋らしい。
「どうしたんだ」
「当主、旦那様のチャーハン53世様が・・・死んでいるんです」
そこにはチャーハンさんの無残な姿、皿がひっくりかえりすべてが床にぶちまけられている状態で発見された。
「なんということだ」
「あーあ、こぼしたの」
「違います!お二人を部屋にご案内した後、先ほどのバカさんの発言が気になり窓にカギをかけることにしたんです、そして戻ってきたらこのありさまで」
確かに中国カマン(以下中国略)の手には鍵が握られていた。
「なるほど、次にバカ」
「おいお前!俺のアリバイまで聞くのか、というかさっきまで一緒にいただろう」
「いや、お前はこの部屋にくる途中一度別のところに向かった、あれはなんだ」
「トイレだよトイレ、急に行きたくなったんだ、そういうお前も部屋についた直後、どこかに行ったじゃねーか、まさかその時」
「お前、師匠であり探偵である俺を疑うのか!」
「疑うまず味方からってね」
それっぽいこというバカ、中国もチュウに目線を当てる。
「俺はただこの館の部屋数や構造を調べていたんだ、もしもの時のためにな、まぁ案の定なにもなかったけどな」
「当たり前です」
「とにかく今それぞれ怪しい状況にある訳だ、中国は鍵を取りに行ったといっているが鍵を最初っから隠しもっていた可能性もあるしバカは、窓の外に人がいるとうそぶいて外部犯の仕業に見せかけようとしているかもしれない」
「俺には動機がないぞ」
「それはあとで調べがつく」
「そういうお前も調べるといってチャーハンさんを殺しに行った可能性もある、動機もあとから調べれば・・・」
それぞれにアリバイがあるがそれは完全なものとは言えない、動機もそれぞれ不十分、証拠が足りなすぎる。
「ここは探偵らしく証拠品でも漁るか、睡眠薬とかでてくるかもしれないしな」
「そういうのは警察に任せれば」
「いいんですよ、そんなの呼ばなくても事件が解決できることを見せつけてやらなくちゃ」
「そうですか」
こうしてチュウは証拠品を探し始めた、事件が起きた部屋はもちろんのこと、バカが行ったというトイレ、鍵を取りに行ったという中国の部屋、そして怪しい人物がいると思われる館の周辺と窓全般を調べつくした、その結果。
「何の成果も得られませんでした」
「ダメじゃん!!!」
「いや、本当に何もないのよ」
「これでは事件は迷宮入りですね」
「いやまだどこかにヒントが・・・」
腕を組み必死こいてチュウは唸り悩むが変かは期待できない。バカが一人で捜査を始めようとするとバカはあることに気が付く。
「中国カマンさんそれ、その指」
「ん?ああ、ちょっと怪我しちゃってね」
(あんなところに傷あったっけ)
その時バカに一本の線が通った。
「そうか、犯人はあなただ中国カマンさん」
「なにを突然!」
「ん?どしたの」
「お前考える振りして寝てたな、チュウ、犯人はこの人だ」
「なにを根拠に」
「その指の傷、それはおそらくチャーハンさんを落とした時に割れた皿に触って傷つけたんじゃないですか!」
「!!!!」
「おそらくあなたは不注意でチャーハンさんを落下させ、悲鳴を上げた、そしてチャーハンさんを拾おうとした、しかしそれで指を傷つけさらに私たちが来てしまったんだ」
「でも動機が、それに辻褄があっているようであっていないぞ」
「いいや、正解ですよ」
中国もとい中国カマンさんが話し始める。
「最初は本当に鍵を取りに行って窓に鍵をかけるつもりだったしかしこけてしまい椅子にぶつかり落ちてしまったんだ、悲鳴を上げたあと割れた皿回収し始めたときに気が付いたんだ」
「なににですか?」
「これはただのチャーハンだってことにさ」
「え、うん。」
「ばからしくなったよ、でも君たちはこれを人だと思っている、私だけがこの世界に取り残されたくない、そう思ったんだ、そしてバカさんがみたという人影を犯人にしてこの場をやりすごそうと思ったわけさ」
「・・・・・」
「中国カマンさん、一つだけ言わせてくれ」
チュウが突然しゃしゃり出る。
「誰もチャーハンさんを人だと思ってないさ、ノリで言っただけさ」
「そう、そうだったのか~~」
中国カマンさんは大粒の涙を流し泣き崩れた、バカはその姿を何とも言えない顔で見ていたという。
・
「悲しい事件だったな」
「もうなんでもいいよ、そういえばあの人影はいったい」
「これじゃよ」
「うわだれ!」
突然話しかけてきた男、手には木の枝を持っていた。
「ここの植木職人じゃよ、忘れ物を取りにここに戻ってきたんじゃ」
「でも今日休みのはずじゃあ」
「こいつのことが気になってな、これだけ処理しに来たんじゃよ」
「そ、そうですか~」
「あきれて何も言えんな」
「ホントすいません」
こうして史上どうでもいい事件は解決した、名探偵チュウ次回作にご期待ください!!
つづく!!
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