第49話 絵は力なり

「師匠おはようございます!」

「ああうん、朝ねみぃから静かにな」

「はいわかりました」

「うるさい」

 頭をチョップする。朝、朝が来た。

(なぁんだかなぁ~冗談かと思っていたけどまだいるなぁ)

 彼女がここに来はじめてから5日が経った。まだ居る。

「師匠!そで今日はなにを・・・」

「え、ああそうねぇ、飯食ったら考えるよ」

「え、なるほど武士はくわねど高楊枝、腹が減っては戦は出来ぬというやつですね」

「最初のやつは意味が違うぞおい」

 そんなんこんなで台所

「ナナシさん、ヨメイドさんお手伝いします」

「おはようございます筆夜さん」

「はいおはようございます」

 そんな生きのいい会話が聞こえてくるなか男連中はというと

「はよー」

「うっす」

「よっ」

「ったく活気も色気もないなぁこっちは」

「何を言うこのエビフライの姿色形は色気にあふれて」

「あーはいはいそでしたねぇ、バカ?」

「なんだ」

「死ね」

「なんでだよ!学生でもまだ脈絡のある話をするぞ」

「いいんだよ、一つ頼みがあるんだが」

「なんだ」

 チュウの頼みとは珍しいと思う反面、ろくなことじゃないだろうと思いながら一葉話を聞くことに

「あいつに、筆夜に真剣技を教えようと思うのだがそのけいこをつけてくれないか?」


チュウらが住む家の後ろには兄弟な空き地がある。実はここチュウさんの土地である。大きさは東京ドームの半分ほどという広さを誇る空き地である。

東京にそんな巨大な土地が?とも思われたと思うがここはもともと洋館が立っていた、その洋館には200年ほど前に活躍したゴーストスイーパーと呼ばれる幽霊退治の専門家のお屋敷だった。しかしそこの主は年には勝てず死亡・・・するはずだったが思念だけが残りその洋館に居座ったという。気味で仕方がないとチュウに依頼がきてチュウはその土地を買ったのだ。なんとかして。なんとかして。

そのときの土地がここというわけである、そして今ここでバカ対筆夜という不思議な組み合わせの対決が行われていた。

「では開始!」

 審判はナナシ、チュウが終わりというまで続く戦いだという。

「いいか筆夜、脳内のキャンバスじゃない、今そこにあるキャンバスにほしいものを描き込め!」

「はい師匠!」

「その前に倒す」

 バカが筆夜に迫る!

「できた」

 その瞬間筆夜のキャンバスが光る

「これは、筆」

「はい、筆さえあれば戦える」

 それは筆夜の身長の倍ちかくある大きさの筆だった。

「いっけー」

「なら俺はこの拳で答えよう」

 筆と拳 二つが重なる

「ストップ!」

「「!!」」

 重なるその瞬間、声がかかった


「無事発現できたなペイント神拳」「

「え、はい」

「しかしまさかチュウが誰かに真剣技を授けるとはな、一体どういう風の吹き回しだ」

「しかも俺と戦わせるとは」

「ちょうどいいくらいの強さだと思ってな」

「それってどういう・・・」

「どもなんでこいつに真剣なんかを」

 エビフライさんが本題に入る

「実はだな昨日メールが入ってな」

 そういうとチュウは携帯を取り出す

「なになに世界のそこそこすごい絵展に飾られている”あきた人”という絵に

変人二十一面相から予告状が入りました。共に警備してください」

「でこの仕事を引き受けたのだが考えたら筆夜は技というか対抗手段がないからな」

「そんなに手ごわい奴なんですか」

「わからないが中々に報酬のいい仕事だ、失敗したくないからな」

「とりあえず現場にでもいくか」


約東京美術館 世界のそこそこすごい絵展 特別展示場

「この”あきた人”はこの展覧会で唯一の借り物なんです、もし盗まれたりでもされたらひじょーに困る」

「え、わかりました何としても死守いたします」

「やけに張り切っているなぁ」

「え、当たり前です!この自称名画”あきた人”は20世紀前半にエヲナルド=ダビンソンD.Cが描いた作品でなんとも言われぬこの男性のだらけ具合が傑作と一部絵画ファンの間で一部人気なんですよ」

「すごいんだかすごくないんだかわからない解説ありがとう」

 なんやかんやでチュウさんたちは絵を守ることに警備員の姿になり警備開始一体どうなるのかな?では次回に続く

「そうはさせない」

 いきなり窓のほうから声がする

「誰だ!まさか最近21の不審事件を起こしている怪盗ならぬ変態の!」

「変態ではない変人だ!そう我こそは変人二十一面相!!」

 窓から漏れる月明りに照らされるは全身タイツの男

お約束の仮面付きで変人度MAX

「しかし予告の時間ではないはず」

「よくある時間をずらしていたというやつだ!」

「まじかよすげぇやつじゃん!」

「ではさっそく」

「え、まちなさい」

 窓から飛び降りても足首一つくじかない変人の前に筆夜が立ちふさがる

「フォ?お嬢さんやる気かい?」

「え、はい、この師匠から貰ったミラクルペイント神拳であなたを倒します」

「ミラクルいらない、まぁいいかなんでも」

 すると筆夜はなにか書き始める

(基本性能は俺と同じだが思っただけでだせる自分流神拳と違い筆夜のは描かなくてはならない劣化版、どう戦う気なのか)

「出来た」

 描いたのは巨大な手錠だった

「これで締めです」

「甘い!」

 手錠をぶん投げ捕まえようと思ったようだが素早い動きでよけられる

「伊達にこのスーツを着ているわけではないのだ」

「逃がさない!」

 しかしあきらめず何度も投げるがすべてかわされる

「このままじゃ展示してある部屋に」

「急ぐぞ!!」

 チュウ達も遅れながら追いかける

「いました」

 ヨメイドが指す方角に奴はいた、しかももうすでに手をかけていた

「よせ!なぜお前はその絵を盗むつもりなんだ」

「ん?盗むつもりなどないが」

「なるほだ話はわかん?」

「なにを勘違いしているのかわからんが俺はこの絵を盗みに来た訳ではない」

 聞いた話と違う、全員館長をにらみつける

「あれおかしいなぁ」

 と予告状をみて見ると

「大体5時ごろ自称名画”あきた人”の味を確かめにきます 変人二十一面相」

「「「味???」」」

「そう俺はこの自称名画をなめにいたのだ、一度なめてみたか、」

「自分流神拳奥義 死ね」

 チュウの手から光弾がでて変人に当たった

「事件解決」

 全員不満そうだった、とりあえず館長ボコボコにした。

                              つづく





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