第27話 さよならノッポさん

「えっー予告していたとおりノッポさんが実家に帰ってしまう訳でそのお別れパーティをやろうと思う」

 珍しくまともな提案をするなぁと驚く一同

「おいお前らなぜ一同に俺に目線を向ける」

「いやだってねぇ」

「あの金が友達、愛は金で買える男のチュウさんが」

「お友達の為にパーティを開こうだなんて」

「「「ねぇ」」」

「おまらおまえら…」

 しかし確かに常に金でしか動かないような男、その男が…

「まぁいい、とにかく」

「なにか裏があるな」

「おいそこ!こそこそしない」

「で、なにするんだ」

 エビフライさんの発言にチュウはホワイトボードを持ってくる

「えっー私がやりたいことは、これじゃーあ」

 ・すっげープレゼント

 ・すっげー思い出に残る企画

 ・バカの公開処刑

「この3つだ」

「おい最後のはなんだ」

「素晴らしいプレゼントになるぞ」

「ザ・クレイジープレゼント!!」

 こうしてふわふわした企画が始まった

「あれチュウさんは?」

「ノッポさんを呼ぶために電話してる」

「サプライズじゃないんだ、あいつ好きそうなのに」

 するとチュウが電話をしているほうが声がしてきた

「なに!どういうことだ!」

「なんだ?」

「…ちょっとまってろ」

 そういうとチュウは電話を戻し(戦田ヶ原さん家は今でも黒電話を使っています地球にやさしい!)バカらが準備をしている部屋に向かって叫ぶ

「おい皆の衆今から空港に行くぞ!!!」

「なんで!??」

「ノッポさんが帰る日は今日だったんだ」

「「「な、なんだってー」」」

「いいから車に乗り込め」

 そういうとチュウは三人の背中を押し外に出す

「車ってあの臭い臭い納豆カーのことか?」

「臭いって二回も言うな」

 そうこの家にある車は見た目も納豆、臭いも納豆というある意味史上最強の車

納豆カーのみである(というかチュウ以外の者が免許を持っていない)

「臭いよー」

「大丈夫だ、実はこの納豆カーに改造をしておいた」

「へー、嫌な予感からしませんけど聞いておきます。どんなものですか?」

「ニトロを搭載した」

 そういうと上下式のレバーをonにした

「おっしゃいくぜくーこー」

「みんな衝撃にそなえろ車がバラバラになるかもしれん」

「なる前につく」

 エンジンをいれるとすごい勢いで車は発進した

「早すぎるぞ!!」

「しゃべると舌かみちぎり落とすぞ」

「どれか一つにしてーーーーーーーーーー」

 バカの戯言を無視してチュウは電話の相手のことを考えていた


「なに!どういうことだ!」

『だから実は帰る日は今日なんだ』

「なんで嘘ついていたんだ」

「いや俺湿っぽいのは嫌いでさ、とにかく今までありがとうな、楽しかったよ」

『…ちょっとまってろ』


「湿っぽいのは嫌いだとふざけやがって」

 こうして交通法規を無視してニトロ車はノッポさんがいる空港に向かって

向かって向かってててて

ガッシャーン

「どけどけどけ、当たっても保険きかねぇぞ」

「いや効くだろ、というかロビーを!空港内を車で走るな」

「大丈夫だニトロモードはオフにした」

「そういう問題じゃ」

「やべぇ、舌が痛い、とれそう」

「どこにいやがるんだ?あいつは?・・・・・・・・いたっ!」

 そういうとチュウは車を飛び降りた

「おい、ブレーキ!!!!!!」

 エビフライさんが急きょブレーキ―を踏み込む

「チュウどこだ!!!あと二人起きろ」

「もうだめ」

「同じく、臭いとスピード酔い」

「チュウの野郎はどこへ・・・・・」



その話題の男チュウは今一番会いたい男の前にいた

「待たせたなノッポさん」

「いいや、早すぎお前」 

 ノッポさんはすで飛行機に乗り込もうとしていた

それをチュウは腕を引き寄せ止めたのだ

「で、なんだ別れの挨拶はさっき電話で」

「俺からの挨拶がまだだっただろ」

 そのセリフにノッポさんは唾を飲み込んだ

一体彼はなにをいいだすのだろうか、もしかしらさっきのことをまだ怒っていて

拳の一つでもプレゼントされるんじゃないだろうかそんなことを考えていた

そして開かれた口から出た言葉は

「今までありがとうな、楽しかったよ」




「フフフ、なんだそりゃ俺とほとんど同じじゃねぇか」

「そうだ俺も同じ気持ちだ、ありがとう」

 それはこの男からは一生見れないと思っていたほどのきれいなお辞儀であった

「おいおい、さっき電話でいった、ろ、俺は湿っぽいのが」

「そうだったな、そんじゃあな」

 そういうとチュウは踵を返し去っていった…

「なんだあいつかっこつけて、ここで恰好つけるところじゃないだろ、一緒に泣いてくれてもいいのにな、な、な」

 こうして一人の男は日本を去っていったその背中を大きくなんの公開もなかったように見えたという、しかしある人はとても悲しい者の背中にも見えたという





空港、滑走路にて

「いっちゃいましたね」

「ああ、バカはともかく俺ら三人とは長い付き合いの人だったからな」

「うちのメンバーで一番普通で一番いい人だったな」

「そうだったんですか」

「さて俺らも…」

 帰ろといいだろうとしたときチュウは三人の視線に気がついた

「おいお前らなぜ一同に俺に目線を向ける」

「「「べつにぃ」」」

 そういうと三人は先に行ってしまった

「なんだ気持ち悪ぃ・・・・・」


「湿っぽいのは嫌いだとふざけやがって、俺も嫌いだよ」

 



空、飛行機の中で

「ったく最後まであいつ俺を巻き込みやがって」

 ノッポさんは飛行機の中であることを思いだしていた

チュウと始めてあった時のことを


「おいあんたうちで働いてみないか?」

『なんだ突然?なんで俺なんだ?』

「でかいから」

 俺は、昔から身長が大きかっただから周りの奴らは俺を軽蔑、差別していた

こいつも同じようにバカにしているのかと思った。でもでかいからだと

「フフフ、面白いなあんた、名前は?』

「おっ!いい感触!俺は戦田ヶ原チュウ!!この世のすべてを統べる者だ」


「今思えばわけわからない出会いだよなぁ~」

 カバンから一枚の写真を取り出した、この間遊びに行った時に撮った写真だ

「今、俺の席にはバカお前がいるしっかり頼むぞ」

 そういうとノッポさんは静かな空間の中で静かに眠りについた




別れは又会うためのことば

だから別れではない


地球は丸いだからずっと歩き続けていればいつか又会える


チュウはある人から言われた時のことを思い出していた

又会うために歩く、後ろ向きでもいいとにかく歩く

だからチュウさんは歩き続けるのだ

今日も明日もすっと、ずっと。

                           つづく




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