西野カナさんのサイトで「私のトリセツ」を作ってみた。

かとも

西野カナさんのサイトで「私のトリセツ」を作ってみた。



 何年か前、娘の卒業の頃、アンジェラアキさんの『手紙~拝啓 十五の君へ~』 を耳にしていた時です。




将来認知症になった自分へ手紙を書いておくといいのでは!




と、閃きました。




♪ 拝啓 ありがとおー 認知ショーのあなたへ~~~




 終活よりも認活の方が先ではないか?


ニンカツというと、妊娠活動と間違うので、認知活(ニンチカツ)の方がいい!




 と、思い付いてはみたものの、認知症になった自分に対して、取り立てて気の利いたメッセージが思い浮かばずにおりました。 






そんな折、妻と奈良方面へ久々に車で出かける事がありました。




峠へ向かう山道の途中に、 少年野球クラブの旗がはためいています。


そんな山道の辺鄙なところに練習グラウンドがあるらしく、




「こんな所まで、親御さんも送り迎え大変やろなあ…」




と感心していました。




 すると、横で妻が冷たく冷めた目で




「あんた、前にも全く同んなじこと、言うとったで」 と。




 およそ7~8年前にこの道を通った時に、私は同じように感心して、全く同じセリフを言っていたそうで…




 そう言われても、覚えていないのだからしょうがない。




「毎日が新鮮でええねん…」 




と私がボソッと呟いたのを、妻はしっかり聞き逃さず、




「あんたは、ノンキに、それでええかも知れんけど、そんなんに、毎回付き合わされるこっちの身にもなって欲しいわ!」




 そう言われても、覚えていないのだからしょうがないじゃありませんか!




 以来、


「認知症=かわいそう」


という見方は、早計なのかも知れないと思うようになりました。


 認知症の本人にとっては、毎日新しい出会いや発見がいっぱい!


それこそ、日々を新鮮に感じているかも知れません。


きっとワタシは、そういう風になりそうな気がします。


 ただ、妻が言うように、まわりの関わる人にとっては、大変なことであるのは間違いないようです。




わたしの事だから認知症になったらなったで、きっと毎日を新鮮に感じているだろうと仮定して、まずは、自分よりむしろ介護・支援してくれる方たちに、私がまだマトモなうちに私の『トリセツ』を作成しておいた方が良いのではないかという結論に至ったのであります。




 で、その頃、西野カナさんのサイトに、自分の『トリセツ』を作るサイトがあったのを発見、試してみました。




『 この度はこんな かとも を選んでくれてどうもありがとう。


ご使用の前にこの取扱説明書をよく読んで


ずっと正しく優しく扱ってね。


一点物につき返品交換は受け付けません。


ご了承ください。




急にメールを送りすぎることがあります。


理由を聞いても


答えないくせに放っとくと怒ります。


いつもごめんね。


でもそんな時は懲りずに


とことん付き合ってあげましょう。




定期的に褒めると長持ちします。


気合いの入れたメイクとか


小さな変化にも気づいてあげましょう。


ちゃんと見ていて。


でも太ったとか


余計なことは気付かなくていいからね。




もしも少し古くなってきて


目移りする時は


ふたりが初めて出逢った


あの日を思い出してね。




これからもどうぞよろしくね。


こんな かとも だけど笑って許してね。


ずっと大切にしてね。


永久保証の かとも だから。




定番なものにもキュンとします。


何でも無い日の


ちょっとしたプレゼントが効果的です。


センスは大事。


でも短くても下手でも


手紙が一番嬉しいものよ。




もしも涙に濡れてしまったら


優しく拭き取って


ギュッと強く抱きしめて


あなたにしか直せないから。




これからもどうぞよろしくね。


こんな かとも だけど笑って頷いて。


ずっと大切にしてね。


永久保証の かとも だから。




今度は映画館にも連れてって


2月にはオシャレなディナーを


柄じゃないと言わず


カッコよくエスコートして


広い心と深い愛で


全部受け止めて




これからもどうぞよろしくね。


こんな かとも だけど笑って許してね。


ずっと大切にしてね。


永久保証の かとも だから  』




 あー気持ち悪い。




 そらね、泣いてる時に、涙を優しく拭き取ってギュッと強く抱きしめてくれたら… 50をとうに過ぎたおっさんでも、ウレシイかもしれないけれど。




 本来恋愛用のモノなので、、出来上がりは残念ながら、かなり気持ち悪い認知症用という思惑とは全然違ったものになってしまいました。




 ワタシが認知症になった時の「トリセツ」を書くんだったら、もっと日常の付き添いに実用的な、




『たまに、ウルトラマンエイティーに変身するかもしれません』




とか、




『ケンタッキーフライドチキンで、オリジナルチキンとコールスローさえ与えておけばかなり満足します。


 飲み物以外のメニューはほとんど必要ありません。


 尚、誤って『激辛』や『季節限定』などを与えてしまうと、満足度が半減する恐れがあります…』




 なんていうのを記しておく必要があると思っています。




 団塊のアラセブの方用に、


『質問事項をいくつか入力したら、自分のトリセツがSNOOPYとかリラックマとかの装丁で製本して送られてくる!』


なんていう認知活アプリがあったら、大ヒットすると思ったのだけれど、残念ながら、そんなプログラムを作れるスキルは持ち合わせておらず、今に至っています。




 さて、そんなことはさておいて、最近、西野カナさんのベストアルバムがリリースされたので、TUTAYAに借りに行かなくては。


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