三章

幕間・弐



 ◇

 彼女が最後に彼を見たのは、月の下、木の葉が舞う中。

 彼は心配も何も求めず月影とともに消えた。

 あの夜、彼女は受け入れられず、真実の最奥を目指した。

 命を懸けて、争いに夢中になった彼を知った。

 だが知ることによりさらに彼女はどうしていいのか、わからなくなった。


 ◇

 夜にささやく木々は雪をもろともしなかった。

 季節の逆流、奏でられる悲しみと嘆きの歌は生命の産声に消された。

 彼女が見た、彼女の小さな手。

 まず彼女はどうしていいのか、わからなかった。


 彼女はここで祈っている。

 遠い未来で逢えますように、お母さん。


 ◇

 遡る冬、冬、冬。

 現実では消されていく、彼女の過去。

 目の前に浮かんだとき、彼が幻想へ踏み出す。

 星たちが煌めく夜空、真実の下。

 彼女はどうしていいのか、わからないまま。


 ◇

 彼女が最後に彼を見たとき彼は消えた、言葉を残して。

 彼は傷を負い、自分を戒めて消えていった。

 神と人、幻想と現実の間で迷い、空気が重く活力に満ちた夜だった。

 彼女はどうするか、すぐにわかった。

 

 ◇

 時は流転する。

 過去と現実と未来、祈りを込めて私は乱雑に語る。

 区別をつけられたとき、彼女らは彼らを互いに――      


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