僕と彼女の事情と情事(僕の彼女?は風俗嬢2)

桜雪

第1話 アフォガート

「終わったと思ってないけどね」

 逢わないと送って、何日かはメールだけ途切れ、途切れに続いていた。


「逢いたいの意味考えないとね…あたしがそうさせてるんだね、ごめんね」

 そう言うものの彼女が、僕との時間を作ることは無いと思う。


 車のバッテリーがあがった。

 携帯が潰れた。

 ガスが止まった。

 彼女の毎日がトラブル続きなのはメールで知ることができる。

 だが…僕にはどうすることもできない。


 僕は、先週末に彼女と行ったカフェに足が向いた。

 思い出を辿るように…。

 このカフェには、彼女が電話をしてピザとパンを買って食べた。

 カフェの閉店は17時。

 無理を言って18時まで作り置きしてもらっていたのだ。

 彼女が17時には起きれないという理由でだ。

 彼女は自分の都合を曲げない。

 他人に折れてもらう。


 そういうことを当たり前にしてきたのだ。


 僕が、その店に行ったのは車の助手席からコンビニケーキのパッケージの切れ端が出てきて、ふと思い出したから…。

 カフェに着いた頃には食事のラストオーダーの時間は過ぎており、ドリンクしか頼めなかった。

 僕はバニラアイスにエスプレッソを掛けて食べるアフォガートを頼んだ。

 コーヒーの飲めない僕はには美味しさは解らない。

 彼女は好きなのだろうか…そんなことを考えながら食べていた。


 今週末も、どこか行ってみようか…独りで、彼女の影を探すように…思い出を辿るように…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る