第171話 ツバキの判断
逃げるアキラ達と追うウェポンドッグ達。半壊したビルが建ち並ぶ入り組んだ遺跡で両者の攻防が続く。
火力の面ではウェポンドッグ達が圧倒的に上回っている。アキラを周辺の建物ごと破壊するかのように、銃弾、砲弾、ミサイルを吐き出し続けている。
アルファはバイクの機動性を生かした精密
敵は数も火力も耐久力も勝っている。その敵の猛攻に、アキラ達はアルファの弾道計算と地形の把握を基にした卓越した回避能力と、ミサイル等の迎撃や弱点部位を狙撃する照準の精度で
遺跡の地形を変えながら続いた戦闘が
ウェポンドッグ達の弾薬は生体精製だ。巨大な砲弾やミサイルを数多く発射すれば、生体兵器に組み込まれた自動補給機能でも、旧世界の技術による精製機能を
弾切れになった個体が敵を食い殺すために走っても、
一度傾いた
アキラが遺跡の奥部から外周部を通り荒野に出た辺りでバイクを
『……逃げ切ったよな?』
アルファが安心させるように
『あの群れからは完全に逃げ切ったわ。元々奥部を住み
アキラが軽くへたり込むようにバイクに身を預ける。そして大きく
『……疲れた。でも何とかなったか。いやー、大変だったな』
『お疲れ様、と言いたいところだけれど、完全に気を緩めるのは都市まで戻ってからにしなさい』
『分かってる。でも、少し休ませてくれ』
『仕方ないわね。少しだけよ?』
アキラは軽く
あんな立派な遺跡から持ち帰ってきた遺物なのだ。廃棄品扱いされた品ではあるが、品質に問題はないと言われたのだ。ならば相当な高額になっても良いはずだ。アキラはそう思い、売却想定額を無意識に上げていき、顔を大分緩ませた。
バイクが突然動き出す。個別に柔軟な移動方向制御が可能な全輪駆動のタイヤを勢いよく回し、移動方向をその場でほぼ真横に変えながら、タイヤの強力な接地力で地面を
同時にアキラの強化服が勝手に動いて振り落とされないように体勢を整える。痛烈な慣性を強化服の身体能力で押さえ込みながら、アキラをその場から高速で離脱させる。
アキラが反射的に体感時間を圧縮しながら慌てて尋ねる。
『アルファ! 突然何だ!?』
『休憩は中止! 敵よ!』
アキラの後方で爆発が起こる。巨大な爆炎がその場に広がり、逃げるアキラに追いついてその姿を飲み込んだ。
広がった爆煙の中からバイクに乗ったアキラが飛び出てくる。アキラは防護コートの
アキラが宙を飛ぶリュックサックを思わず目で追う。地面にぶつかって跳ねるリュックサックを見て表情を大きく
『俺の遺物が!? ここまで運んできたのに!?』
『遺物の心配は後にしなさい!』
アルファが怒鳴りながら荒野を指差した。アキラは険しい表情で視線をそちらに向ける。しかしそれらしい敵の姿は見えない。
『いないぞ! 見えないぐらい遠距離から攻撃されているのか?』
そう尋ねた直後にアキラが驚きで僅かに硬直する。何もない荒野の景色の一部が
『光学迷彩か! ちょっとまて、何であんなやつがここにいるんだ? ここはもう遺跡の外だぞ?』
『かなり高度な迷彩持ちよ。しかも荒野側から来たようね』
『何で分かるんだ?』
『遺跡側から来たのなら私の索敵に引っ掛かるからよ。荒野側はアキラの情報収集機器から得た情報を元に索敵しているの。だから敵の発見が遅れたわ』
アルファがバイクの移動方向を巨大な機械獣の方へ切り替える。アキラはそれで逃げずに戦うのだと理解してCWH対物突撃銃を構えようとする。
『アキラ。
アキラは弾倉を交換しながら苦笑する。万が一の場合の切り札としてお
『……お
アルファがアキラの苦笑を吹き飛ばすように笑う。
『あら、おかげでこの窮地を切り抜けられるのよ? ここはその御利益に感謝するところでしょう?』
『物は言いようだな。……この際だ。そういうことにしておくか!』
アキラが笑ってCWH対物突撃銃を構える。バイクが更に加速する。敵の照準を狂わせる
敵の砲撃を回避するために急激に曲がるたびに強い慣性がアキラとバイクに襲いかかる。アルファは車体の
『アキラ。ブレードも使うわ。準備して』
『そこまで強い相手なのか。何でそんな強いモンスターがこんな場所にいるんだ? 変だろ?』
『現実にいるのだから仕方ないわ。対処可能な程度の不運で良かったと思っておきなさい』
『そうだな』
アキラが苦笑すると、左手でCWH対物突撃銃を構えながら、右手で懐からブレードを、ナイフの柄だけしかない形状の物を取り出して、先を外側に横に向けて握った。柄から銀色の液状金属が延びていき非常に長い刃を構築していく。刃は3メートル以上も延び続け、人間用としては不釣合いな長さまで延びきった後、青色に発光し始めた。
アキラがブレードを横に伸ばしたまま砲弾を
『撃って!』
CWH対物突撃銃から
機械獣は敵の弾道を計算しており、自身の
機械獣が体勢を崩している間にアキラが一気に距離を詰めていく。そして敵の巨体と擦れ違いながらバイクの加速も乗せてブレードを振り払う。ブレードが敵の金属の体に食い込み切り裂き、火花を散らし切断音を響かせながら通り過ぎていく。
バイクが機械獣を通り過ぎ、その背後で反転しながら停止する。ブレードの刃は砕け散っていた。
『やったか!?』
アキラが険しい表情で機械獣を見る。基幹部を破壊された機械獣がゆっくりと崩れ落ちた。
アルファが笑って勝利を告げる。
『倒したわ。今度こそ、お疲れ様』
アキラが大きく
『高い
アキラが大きく
アルファが気落ちしているアキラを元気づけるように笑って明るい声を出す。
『勝ちは勝ちよ。
アキラが少し驚きながら意外そうな顔をする。
『拾って帰るって、あれ、壊れてないのか? あんなに派手に飛んでいったけど大丈夫なのか?』
『廃棄品ではあるけれど、品質に問題はないって言ったでしょう? 旧世界の遺物は結構頑丈なのよ。多分問題ないわ。それに少しぐらい壊れていたとして、貴重な遺物に違いはないもの。十分売れるわ』
アキラが
アキラは飛んでいったリュックサックや中から飛び散っていた遺物を拾い直すと、それを抱えながらバイクに
ツバキハラビルの奥で、ビルの管理人格であるツバキが操作する自動人形が
「倒したか」
ツバキはアキラ達の戦いを観察していた。ウェポンドッグの群れと交戦する様子も、機械獣を破壊して去っていく姿も、モンスターに備わった通信回線を通してしっかり捉えていた。
「正確な戦力の把握には遠い。だが、配慮する理由には達していると判断しよう」
アルファはツバキと交渉してアキラに廃棄品を手に入れさせた。その交渉を成功させた背景には、アルファとツバキの力の差もあるが、ツバキの管理区域内で戦闘になった場合に発生する被害の考慮も大きい。
廃棄品を与えれば大人しく引き下がるのならば、不必要な損害を被る必要はない。ツバキがアルファの提案を受け入れた理由はそこにある。言い換えれば、
立場の差はあれど、もしアルファが
ツバキはこの結果を
アキラはツバキハラビルから持ち帰った旧世界の遺物をすぐに売りに行くつもりだった。しかしアルファに止められた。また妙な
翌日、アキラは少量の遺物を比較的無事だったリュックサックに詰めると、バイクに乗ってそれを持って荒野に出た。そしてヒガラカ住宅街遺跡まで行くと、そこで訓練などをして
カツラギは店舗を兼ねたトレーラーをいつもの場所に
「アキラか。また回復薬の補充か? ハンター稼業の方はどうなってるんだよ。
アキラはカツラギの大分期待の薄れた様子の催促を聞いても、いつも通りの態度を崩さなかった。そしてその態度に似合った口調で答える。
「ああ。今日の用事はそっちだ」
カツラギが不満そうな表情を一変させて商売人の笑顔を浮かべる。
「おっ! そうか! やっとだな!」
だがその笑みもすぐに
「……で、その遺物は?」
アキラが小さなリュックサックをカツラギに見せると、カツラギは表情を不満と落胆の混ざったものに変えて
以前のアキラが遺物を売りに来たときは、かなり大きなリュックサックに限界まで遺物を詰め込んでいた。強化服無しでは移動も難しいほどの量だった。カツラギは同程度の量を期待していたのだが、今回は小さなリュックサックで、しかも中身がほぼないのか
「それだけかよ……。まあいいや。上がれ」
カツラギはアキラをトレーラーの従業員控えの部分に入れると、テーブルに向かい合って座った。そしてやる気がなさそうな態度で応対する。
「まあ、じゃあ、鑑定するから遺物を出してくれ」
アキラがリュックサックから遺物を取り出してテーブルの上に置く。立方体型の透明なケースに入った金属やゴムのような球形の物体。旧世界製の情報端末。それが6個無造作に置かれる。
興味の薄そうなカツラギの表情が僅かな間を置いて固まる。そして驚きで目を見開いた後、食い入るように凝視する。
「こ、これは……、い、いや、待て、本物か? おい、これをどこで見つけてきた?」
「どこって、遺跡からだ」
「そうじゃねえ。どこの遺跡だ?」
「内緒だ」
「な、内緒って……」
カツラギは軽い動揺と困惑を見せていた。アキラが軽い不満を見せる。
「出所を白状しないと買い取らねえって言うのなら他所に持っていく。一応約束通りまずはカツラギのところに持ってきたんだ。筋は通したぞ」
カツラギが遺物をリュックサックに戻そうとするアキラを見て慌てて止める。
「待て待て待て待て待て! 待て! ちょっと待て! 戻すな! 鑑定するからそこに置け! コーヒーぐらいは出してやる! それを飲んで待ってろ!」
カツラギがコーヒーを入れてきてアキラの前に置く。そして鑑定用の器具類を持ち出して遺物を念入りに調べ始める。アキラはコーヒーを飲みながら、そうやって平静を装いながら、鑑定の様子を横目で見ていた。
カツラギが単眼顕微鏡のような器具を片目に着けて、難しい表情で遺物を
「なあアキラ。お前、これを何だと思ってるんだ?」
「高値で売れそうな遺物だと思ってる」
「高値って、具体的には幾らぐらいだ?」
そこにアルファが割り込む。
『アキラ。思いっきり吹っ掛けて』
「10億オーラム」
その額を聞いたカツラギが軽く吹き出した。
「いやいやいや、10億オーラムって、旧世界製の情報端末だからって、幾ら何でもその額はねえだろう。
カツラギがそこまで言ってアキラの視線に気付いた。軽い不信と非難が込められていた。
「俺がそれを知らずに安い額を口にしたら、その安値で買い取る気だったな?」
カツラギが
「それは誤解だって。お互いに最低限の情報ぐらいは共有しておかないと買取り額で
「どうだかな」
「そう言うなよ。お前だって俺が予想外の高値を提示しても、それはそれで不審に思うだろう?」
「俺は高い分には文句をつける気はないけどな。それで、査定は済んだのか?」
「まあ待てよ。予想外の高値になりそうなんだ。俺も遺物の鑑定が本職じゃねえ。しっかり鑑定しないと値段を付け
「駄目だ」
カツラギがアキラを
「それぐらい良いじゃねえか。俺とお前の仲だろう? ちゃんと時間を掛けてしっかり鑑定した方が絶対良いって。俺の知り合いの鑑定業者とかを介せば鑑定書ぐらいは付くかもしれないぞ? さっきも言った通り、俺は遺物の鑑定が本職じゃねえんだ。絶対そっちの方が良いって。な?」
しかしアキラは首を横に振る。
「駄目だ。悪いが俺もそこまでカツラギを信じているわけじゃない。俺の手元から離れた後で偽物に
「大丈夫だって。信用ねえな」
「信用
カツラギが
「まあ、俺もカツラギがそこまでするとは思ってないよ。でも一度手放すとどこまで流れていくかは分からないからな。知り合いの知り合いの知り合いまでは信じられないってだけだ。万一何か起こったら、カツラギが全責任を取って俺に10億オーラム払ってくれるって言うのなら、持っていっても良いぞ?」
カツラギが苦笑する。ハンター相手の商売人としてアキラの言いたいことは分かるのだ。
「いや、
カツラギが再び
「俺の知り合いの鑑定業者をここに呼ぶってのは駄目か?」
「俺の前で鑑定するなら好きにしてくれ」
「良し! ちょっと待ってろ!」
カツラギは情報端末を握って早速準備を始めた。
アキラは追加のコーヒーを
『何か、随分大げさなことになってきたな。随分調べているけど、やっぱり機械類だし、あの衝撃で壊れていたか?』
アルファはいつも通りに
『大丈夫よ。アキラはもっと堂々と高値で売れて当然のような態度をしていなさい。弱気を見せると付け込まれるわよ?』
『わ、分かってるよ』
アキラはコーヒーを
遺物の鑑定が続けられる中、カツラギともう一人が席を外して奥に行く。そしてアキラに聞こえないように小声で話し始める。
「おいカツラギ。あの遺物を持ち込んだのはあのガキなのか?」
「どうでもいいだろう。鑑定だけしっかりやってくれ。どうなんだ? 本物か?」
「持ち込んだ機器では精度に限度があるから確証はできないが、恐らく本物だ。品質も問題なさそうだ。強いて言えばケースに少々
「しつこいぞ。開けて中を調べられないのか?」
「あの手の遺物には正しい手順で開封しないと中身を駄目にするものもある。体内に取り込むタイプの品とかは特にな。あの粉状の品はその手のものだと思う。勝手に開けて遺物を駄目にしたら責任なんか取れねえよ。何で出所を話せないんだ? あのガキが何も知らないただの運び屋だからか? 遺物を見付けたハンターは別にいるのか? お前も出所の偽装に一枚
「いいかげんにしろ。俺の客が持ち込んだ遺物の鑑定を頼んだ。それで良いだろうが。あんまりしつこいと、この件から外すぞ?」
カツラギがそう言って
その後も入れ替わり立ち替わり遺物の調査結果の報告や相談、関連する密談などが続けられた。
「待たせたな。査定は終わったぞ。で、その金額だが、お前は即金即払いを希望している。ハンターオフィスの買取所だって普通は最短でも翌日で、下手をすれば数週間待たされるんだ。それを考慮に入れて聞いてくれ。良いな?」
「分かった。それで、幾らになるんだ?」
カツラギが会心の笑みを浮かべる。
「6000万オーラム。これでどうだ?」
アキラが表情を僅かに固くする。そしてどことなく険しい表情で、テーブルの上の遺物を黙ってじっと見詰める。
「おい、黙ってないでその額で良いのか答えてくれ」
アキラの表情は予想外の高額に顔を緩ませるのを押さえた結果だ。遺物を凝視しているのは高額が付いた驚きで思わずまじまじ見てしまっているだけだ。
しかしカツラギは焦りのためか、アキラの態度をその額で良いか悩んでいるように捉えてしまった。そしてもっとよく見るために遺物を手に取ろうとしたアキラの動きを、遺物を売らずにリュックサックに戻そうとする動作と捉えてしまった。
「おい! 待て! 考え直せ! 6000万、6000万オーラムだぞ!? はっきり言っておく。もしそれをハンターオフィスの買取所に持ち込んだとしても、良くて5000万ぐらいだ。絶対に6000万にはならない。そりゃその分ハンターランクが上がったりはするだろうが、お前は金の方が良いんだろう? 金の方が良いなら、悪いことは言わないから、俺に売っておけって」
アキラは手に取った遺物とカツラギの顔を黙ったまま見比べている。
「それにハンターオフィスの買取所に持ち込むと絶対にいろいろ聞かれるぞ? 他の買取業者だって同じだ。お前、遺物の出所を話したくないんだろう? 俺なら何も聞かずに黙って買い取る。下手に
アキラは黙ったままだ。カツラギが焦りを高めて一歩踏み込む。
「分かった! 条件付きで7000万オーラム出す! これでどうだ!
「条件って?」
カツラギはアキラの前向きな意見を聞いて僅かに表情を緩めた。そして少し落ち着きを取り戻し、焦りを残しつつも商売人の笑みで続ける。
「7000万出すが、金で支払うのは3000万だ。4000万は俺の商品を買って相殺だ。どうせ回復薬をたっぷり補充するんだろう? 問題ないはずだ。他の商品でも良いし、何か必要な物を注文してもいい。代金前払いってことでな。あと、また似たような遺物を手に入れたら、まずはちゃんと俺のところに持ち込むこと。これが条件だ」
アキラは考え込む振りをして内心を落ち着かせていた。カツラギは内心の焦りを強めながら返答を待っている。妙な緊張感が流れている中で、アキラが平静を保った静かな口調で返答する。
「……分かった。それで良い」
「よし。すぐに振り込むから確認してくれ」
カツラギはアキラの気が変わらないうちに急いで振り込み処理を済ませた。アキラが入金の確認を済ませてそれを伝えた。
「よし。取引成立だな」
カツラギは笑って大きく息を吐いた。そして買い取った遺物を頑丈そうな収納ケースに丁寧に収納する。その後に収納ケースを外に追い出した者達に渡して戻ってきた。外でも外の者と僅かな駆け引きがあり、それも
「なかなかの取引だった。さて、これからは俺の商売の時間だな。まずは回復薬か。持ってくるからちょっと待ってろ」
カツラギが回復薬の在庫を抱えて戻ってくる。テーブルに置かれた回復薬の中には、アキラが最近常用している200万オーラムの回復薬とは違う製品が含まれていた。カツラギがそれをアキラの前に置く。
「俺のお勧めはこれだ。お前のために特別に仕入れておいた高級品だ。1箱500万オーラムだ」
「500万オーラムって、
アキラが顔を
「本来はもっと東側の地域で活動するハンター向けの製品だからな。割高なのは仕方ない。高級品ってのはそういうものだ。だが良い品だ。言っただろう? お前のために特別に仕入れたって。はっきり言って、お前の回復薬の消費量は売っている俺すらちょっと不安になるぐらいだ。心当たりとかないのか?」
「……まあ、それは」
アキラの回復薬の消費量は、超人を目指して
カツラギが相手の納得を深めるように強く
「だろう? そこでこの製品だ。これは回復薬を多用するハンター向けの製品で、残留ナノマシン問題の軽減に力を入れている。短期間に多用しても残留ナノマシンの影響がかなり低い。更に多用しないで済むように回復効果も高く、治療用ナノマシンが治療可能状態で体内に
「分かった。買うよ」
「毎度あり。お前なら買ってくれると思っていたよ」
「
「それはお前、まあなんだ、俺の商才だ。お前ならいずれこれぐらいは楽勝で買えるぐらい稼ぐハンターに成る。俺の商才がそう確信させたってことだ」
「どうだか」
自慢げに語るカツラギに、アキラは半信半疑の視線を向けていた。
カツラギは別に
アキラは500万オーラムの回復薬を2箱、200万オーラムの回復薬を5箱購入し、更に追加で500万オーラムの回復薬を2箱注文しておいた。残りの1000万オーラムは保留にして、後で適当な小物を買う際に使用することにした。
用事を済ませたアキラがバイクに乗って去っていく。カツラギがアキラの後ろ姿を見ながら
「このままアキラが遺物を持ち込んでこなかったら、アキラとシェリルの扱いを逆転させる必要があるとも思っていたんだが、まさかこんなものを持ち込んでくるとはな。シェリルの方も上客になりそうだし、俺の商運もまた上がってきたか? ここが賭け時か?」
いつか統治企業に成り上がり、広範囲な統治経済圏を得て企業通貨を発行する。大望を夢見るカツラギはそれを実現する足掛かりを感じて満足げに笑っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます