◆ コミュニティ・プラン ◆

透明の球体に掌をかざすと、前方の扉が音もなく開いた。

生まれた時から体内にJPチップを埋め込まれて、生体認証されている身体はバーコードのようにコンピューターと連動している。

扉の内側は小部屋になっている、何もない殺風景な部屋は薄暗く、青いライトが天井から灯っていた。

中央を透明のガラスで仕切られて。

こちら側にはイスがひとつ、向こう側の部屋には真っ白なシーツに包まれたベッドが置かれている。

この部屋ではコンピューターが選んだ、見知らぬ男女が朝まで一緒に過ごすことになる。


コミュニティ・プランとは繁殖行動のことで、男性は18歳、女性は16歳から参加する。

それは子孫を残すための、“ 群れ ”社会の大事な責務である。

コミュニティ・プランの相手はコンピューターが選び出し、この部屋でお互い初めて対面するのだ。


性愛の相手をするかどうかの選択権は、子どもを産む女性側にあって、『YES』を押せば、仕切りのガラスが開き女性がいるベッド側の部屋にまねれる。

しかし、『NO』とボタンを押されて、女性が部屋から出て行けば……拒否された男性側はすごすごと帰るしかないのだ。


MO-14(男)は、先週18歳になったばかり。

初めてコミュニティ・プランに参加する、シュミレーションでは何度かバーチャルな体験はしたものの……。

生身の女性を相手にするのは、今夜が初めてなので胸がドキドキしていた。


ふいに向こう側のドアが開き、若い女性が入室するのが見えた。

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