序
第4話 出陣
時は西暦2016年。
北朝鮮からイージス艦こんごうを奪還した日本国。
一方、北朝鮮は核ミサイル開発を着実に進行させていた……。
太った人民服の男がデスクにつき、軍人らに偉そうに指図する。彼はこの場では最年少であるが、党、軍、国の要職を独占する最高権力者だ。幹部らはペコペコと媚びへつらう。
「抜かりなく進めろ」
「はい。偉大なる金序運最高司令官同志の無慈悲な作戦に、日王傀儡一味は為す術もないでしょう」
「そうか」ニタリと笑う将軍様。
北朝鮮は、日本国に対する核ミサイル攻撃を計画していた…………。
日本国首相官邸の地下には、内閣情報集約センターが存在する。今、センターには官邸連絡室が設置され、対応にあたっていた。
指揮を執るのは、国家危機管理の責任者たる内閣危機管理監、谷川仁。
危機管理監は官房長官等に直轄し、各省庁からの幹部級職員で構成される緊急参集チームを指揮し、初動対応にあたる。
「状況は??」
内閣官房副長官、大泉進太郎が訪ねる。
「先程、防衛省から、北朝鮮ミサイルに燃料注入がなされたとの報告が入りました。目標は関東上空を通過する模様です。総務省を通じ、NKT(日本国営通信)に国民保護に関する情報を出させます」
「お願いいたします。私は総理に報告を」
「はい。複合的な事態対処が必要と思われます。官邸連絡室を官邸対策室に昇格します」
官邸対策室は、内閣危機管理監が室長を務める危機管理組織である。
【国民保護に関する情報。発射情報。発射情報。北朝鮮ミサイル発射の可能性あり】
【対称地域:関東】
内閣総理大臣、阿部泰三は焦った。
「しかし……今から準備したのでは、イージス艦やパトリオットミサイルの配備が間に合いませんよ……」
「大丈夫です」米田明美防衛大臣が応じる。
「?」
「護衛艦やまとのレールガンに託しましょう」
「分かりました……」阿部は覚悟を決めた。
2015年9月に成立した平和安全法制により、自衛隊法が改正されている。
厳格な手続きが必要であった弾道ミサイル等の破壊措置命令は簡略化され、命令は直ちに部隊に伝えられた。
破壊措置命令に伴い、自衛隊法第22条に基づき、統合任務部隊が編成された。
統合任務部隊は、陸海空いずれかの自衛隊の実動部隊司令官が指揮官となり、異なる軍種の自衛隊部隊を指揮下に置く、混成部隊だ。
今回は航空総隊司令官が指揮官となり、空自のレーダーサイト部隊、そして護衛艦やまとが加わった。
東京湾に展開する護衛艦やまと。CIC(戦闘指揮所)は活気に満ちていた。
「防衛大臣より破壊措置命令が下されました」船務長が報告した。
「該当地区の避難完了は?」艦長が訊ねる。
「もう済ませてあります」どや顔で彼女は言った。
艦長は「そうか」と笑い、自分の席についた。
やまと艦長、戸村幸一。
猛将として知られる海上自衛官幹部である。
護衛艦こんごう奪還作戦の手柄から、1等海佐に昇進し、正式に艦長となっていた。
「システムをBMDモード(弾道ミサイル迎撃モード)に!以後、統合任務部隊指揮官との連絡を密にせよ」
砲雷長の長瀬がてきぱきと指示を下す。
「頼もしいな。長瀬」
「光栄です艦長」
「迎撃は任せる」
「発射ーーーー!!!!」
将軍様の現地指導を受け、ミサイルは放たれた。
「総理が入られます!」
「「総理!」」
官邸対策室の設置された内閣情報集約センターには、内閣総理大臣が入り、陣頭指揮にあたっていた。
「該当地区の避難完了を確認しました」と内閣危機管理監。
総理は溜め息をつき、
「任せたぞ、やまと」
と……。
「「来ました!!!!」」
「北朝鮮ミサイル基地より、一発の核ミサイルを確認」
「了解。以後、目標をアルファと呼称」
「レールガン攻撃始め!!」
「……リコメンドファイア!」
「「撃て!!!!!!!!」」
プラズマの火球が迸り、電撃を纏った弾体が極超音速で飛翔する。
狙うは敵核ミサイル。
「インターセプト5秒前!!スタンバイ………」
キネティック弾頭が姿勢制御を開始し、ブースターを吹かす。
「!!!!」
「マークインターセプト!!(命中)」
その瞬間、
「「いよっしゃあああああ!!!!」」
乗員たちの歓声が弾けた。
「総理!命中です!!」
「良かった………」阿部は安堵した。
やまとは戦う。日本に希望をもたらすために…………。
新日本神話外伝─Missile of Northkorea─ 右日本 @9912
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