僕らが僕らでいること

七詩みしろ

第1話 summer

 下から風が突き上げる。下は闇。

 落ちたらどうのだろう。

 考える事をやめる。


「吉と出るか凶とでるか、まーどっちにしたって行くしかないけどな!」

「お前と道連れなんて、嫌なんだけど」

「同感」

「ちょ!お前らなー!!!」


 彼らの話を聞いて自然と笑みが生まれた。


「ちょい、ちょい、なに笑ってんだよー」

「いや、こんな状況なのに相変わらずだなって思っただけ」


 そう言うと、3人は笑った。

 後ろからは、銃声音、何かが倒れる音、壊れる音が聞こえてくる。


 きっと大丈夫。


「・・・せーーーの!」

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「今日の天気は晴れ。気温は三十度を超える地域があります。暑さ対策を万全に、こまめに水分補給するなどして熱中症に備えてください」


 テレビから流れてくる声に「りょうかーい」と返事をする。


 七月。猛暑真っ只中。

 容赦なく照り付ける太陽の光。

 それは、人のやる気をすり減らすもの。

 少なくともそう思っている。


 何もしていないのに顔から、背中から、脇からしたたる汗。 

 だから夏は嫌いなんだ。

 そう思っていても、今は七月下旬。

 まだまだ暑さは和らぐことはない。

 むしろこれから太陽様は活発に活動するのだろう。

 ほんと簡便してほしい。


「はやくしないと終業式送れるわよ!」

「はいはーい、今行きますよっと」


 食べ終わった食器をシンクに置き、ソファに置いてあるスクバを手に取り玄関へ向かう。この涼しい空間とはお別れか、そう思いながら玄関の戸を開ける。


「いってきまーす」


 行ってらっしゃいと母さんの明るい声を後に、俺は真夏の太陽が照り付けるアスファルトに足を踏み出した。


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