巨独

村崎 愁

第1話 

私は間もなく死ぬ。

死ぬと言っても「殺される」、「魂を奪われる」という類のものか。消え去るわけではない、身体はなくなるが、精神は生き続けると信じている。なってみないことにはわからないが。


ずいぶんと長く生きた。これも寿命だと思えるほどに。

友や家族と呼べる者、愛する者。自ら命を差し出したいくらいに、とても幸福な一生であった。ひとつひとつは走馬灯に似た、一瞬の灯火に感じる。

だがそれらは確実に熱を持ち、私に価値ある時を与えた。

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