19話「ロリのために労働しているが、俺はロリコンではない①~金バッジと銅バッジの壁~」
(ネタばれver)
http://suliruku.blogspot.jp/2017/01/19.html
悪徳都市を表した有名な言葉がある。
『北には美食が、西には女が、南には冒険者が、東には奴隷が、中央には豚がいる』
豚は食べるだけで何の役にも立たないという意味で、この都市では役人どもを指している。
市民のためではなく、私腹を肥やし儲けるために生きている役人が多すぎるのだ。
そんな腐敗した奴らとは対照的に、次の都市長として立候補したブラドさんは、中々しっかりとした経歴を持っているように見える。。
腐敗したマスコミから清潔派(笑)と呼ばれ、当の本人は『腐臭に満ちた都市を綺麗さっぱりクリーンにする』とテレビで言っていた。
その時の過去エピソードも泣けるものがある。かつて、行政の中枢である都市庁に勤めていた頃に、役人の腐敗を監視する第三者機関を作ろうとしたそうだが……ここは悪が笑う悪徳都市。
膨大な税収を利用した実弾(賄賂)で、世界中のお偉いさんが文句を付け辛い魔都だ。ブラドさんの嫁と一人娘が悪党どもに誘拐されて行方不明。
一人娘は知ってのとおり、悪党どもに陵辱されて慰みものにされて孕み……白真珠という素晴らしい娘を産んだのである。
悲劇といえば悲劇なのだが、悪党どものおかげでこんなに素直で良い娘と出会えたと思うと複雑な気持ちだ。とっても芯の通った良い母親さんだったのだろう。
こんな長い話をしているのは……今、俺と白真珠がブラドさんが借りている選挙事務所にいるからだ。
「……ここがお祖父様がいる屋敷……凄く白いです……。門も壁も建物も屋根も、庭の草木も全部真っ白……」
「確かに……ありえないくらい真っ白だな。護衛に付いている冒険者の衣服も全員が真っ白だし……」
選挙事務所はありえないほどに全ての外装が真っ白な二階建ての豪邸だ。狙撃対策なのか、建物が横に長く広がっていて贅沢である。百人くらい無理すれば宿泊できそうだ。おかげで白真珠が色っぽい声で呟いてる。
「お師様……僕……お金持ちの娘だったんですね……今日からセレブ生活が始まったりするんでしょうか?食べるオヤツが駄菓子から、ケーキ屋のフルーツケーキになったりして、セレブな友達ができてウフフ、オホホな日々とかがが始まるような気がするんです」
「せ、政治家は金を集める能力が問われる職業だから、恐らく合法的な方法で大金を集めて選挙しているんだろう、たぶん」
当選しても落選しても借金がたくさん残りそうだ。ブラドさんの資金は何処から出ているのだろうか?
門の前にいる金バッジ冒険者を数十人単位で雇おうと思ったら、何十億、いや何百億という金が必要だと思う。候補者の物理的排除が当たり前な選挙戦なのだから、護衛の相場もかなり高いはずだ。下手したら冒険者同士での殺し合いもあり得るのだから。
……うむむ、俺のポケットマネーで大量の冒険者を雇った方が良い気がしてきたが、その中に一人でも暗殺者が紛れ込んでいたら大変だし、そもそも俺とブラドさんは面識がないから、この手は無理だな。
「よぉーし!お祖父様と会って……今日から毎日のように甘えて、今まで貰えなかったお年玉とか、クリスマスプレゼントとか、お小遣い貰って遊園地に行きたいなぁ……」
「いや、この時期に孫娘だとばらしても……バグダインの刺客だと勘違いされる可能性が高いぞ?」
「胸のペンダンドにお母様とお祖母様を写した写真が入ってますから、それが証拠になりませんか?」
「悪徳都市には、証拠品を偽造する連中がウヨウヨいるからな……信用されるのは大変だぞ。まぁ、胸の育ち具合が証拠になるかもしれんが、胸で孫娘かどうか確かめる爺さんは居ないだろう……さすがに」
「僕の顔を見てください、お母様そっくりです!」
「うむむ……真紅色の目が特徴的でキュートだな。でも写真に写っていた母親とお婆さんはどっちも海のような青い眼だったぞ……似ているといえば……綺麗な銀髪と、あと、そうだな、胸の部分がよく似ていると思うぞ。母親の血を引いてるなとブラドさんが理解してくれる可能性は少しはあるかもな、うん」
「じゃ、行きましょう!お祖父様を守って金持ちセレブライフです!」
そう言って、白真珠は真っ白すぎる選挙事務所へと、感動の出会いを目指して歩きはじめた――
「おいっ!何の用だ!止まれ!」
「何のようだ!両手を上げろ!不審な行動をしたらすぐに射殺する!」
「捕まえて拷問にかけるか?」
そんで、すぐ様、金バッジ冒険者達が銃器や魔力武器を突きつけてきた。近接戦闘になったら白真珠の方が強いと思うから、とっても心強いぞ。
間合いに入り込まれている時点で、金バッジどもの敗北は決定済みだ……いや、武力で金バッジを制圧したら大騒ぎになるし、下策だった。だから俺は素直に答える事にする。人間、誠意の心って奴が大事なのだ。
「……俺たちはブラド氏の護衛をしたい。そう思ってここに来た冒険者だ」
「銅バッジの分際でか?身の程を弁えろ!」
「このウンカス野郎っ!カスの銅バッジどもがそんな理由で来るか!」
俺の顔が殴られた。高位の冒険者のパンチは魔力障壁を突き破り、かなり威力が減衰したパンチを浴びせてきたのだ。やばい。やばいぞ。金バッジどもの命がやばい。
白真珠が激怒して暴れたら、金バッジの身体なんて紙くず同然だ。
「お師様!?大丈夫ですか!?……アナタ達っ!なんでこんな事をするんですか!?」
「銅バッジは銅バッジらしく、ゴブリンでも狩ってろ!」
「家に帰って、ロリ娘のおっぱいでも吸ってろ!銅バッジがっ!」
「早く立ち去れ!さもないと地下で拷問しまくるぞ!この都市で国際法が通用すると思うなよ!」
侮蔑した視線とともに、俺を見下す金バッジども。その視線と侮蔑の感情を受けて、白真珠の怒りは当然のごとく噴火した。
小さな両手が、ガシッと二人の金バッジの手を掴む。次の瞬間、白真珠は力任せに強引に空へとポイッと数十メートル上空へと放り投げた。
その行動で金バッジ達は、俺と白真珠を……完全に排除するべき敵だと認識し、銃を持つ奴は銃を乱射。魔法を使える奴は魔法を詠唱しはじめた。魔力武器からは低威力の魔力弾がたくさん生成されてやってくる。
「貴様らぁー!やはりバグダインの刺客かぁー!」
「見かけに騙されるな!あの小さい娘は怪力だぞ!」
うむむ……銃弾や低威力の魔力弾は魔力障壁で防いだり、弾いたりできるのだが、魔法はやばい。
一応、この場にいる全員を一度に黙らせる魔法は存在する事は存在するし、敵の魔法の欠点そのものを利用して倒すという選択肢もある。
だが、護衛を倒してどうする。ブラドさんを守るためにきたのに、護衛を排除するとか本末転倒だろ――そういう心の迷いのせいで、俺は躊躇していた。
幸い、白真珠が次々と金バッジを殴り飛ばしたり、凍らせていたから俺が死ぬ危険性は低いのだが、本当、この事態どうしよう……事前に、プラチナバッジの知り合いと連絡すれば良かった……。俺はコミュ障かもしれない……魔法に嵌りすぎて知人との付き合いが悪すぎた……。
「おやぁ~|?トモヤ君じゃないか~?」
聞き覚えがある懐かしい声が聞こえた。金バッジ冒険者達がその声のおかげで、戦闘を中断して――
「あ、ドナルドさん!知り合いですか?」声の主に話しかけた。
ドナルド。忘れるはずもない懐かしい名前だ。俺は幸運にも知り合いに出会う事に成功したのだ。安っぽいくたびれた茶色のスーツを着ているのが特徴的で、短い茶髪の冴えない外見をしている男だが――その胸元に輝くバッジは白色。すなわち、選ばれたエリート中のエリートである『プラチナバッジ』だ。
「いや~、そこの少年は中々に将来有望な冒険者だよ。ほら、数年前に魔導学の一人者とか言われてネットでニュースになっていただろ?僕たちが使う魔法の一部は彼が考えた代物なんだ。そんな人物に危害を加えたら間違いなく君たちの実力じゃ返り討ちに合うね~」
「ま、まさか……!?でも、それならカスの銅バッジなのはありえないんじゃ――」
「ダンジョン世界の闇に――触れる内容かもしれないからね。そういう質問はしない方がいいよ、君も長生きしたいだろ?」
ドナルド先輩のゾッとする冷たい声に、金バッジの青年は恐怖でブルブルと子猫のように震えた……特に可愛くはない。
「す、すいません!俺はそこの男が元プラチナバッジだと知らないですし、魔道学の第一人者であるって事も知らないって事にしてください!俺達はここで戦闘しなかったし、いきなり小さい銀髪ロリ娘に暴力を振るわれたとか、そんな事実はなかったという事にします!先程は殴ってすいませんでしたぁー!いや、殴ったという事実そのものを無かった事にしてくださいっー!」
「いや~賢いね。君は長生きするよ。あと彼の実力は僕が保障しよう……やぁ、久しぶりだねトモヤ君。2、3年ぶりかな?」
ドナルド先輩は、駄目な大人っぽい独特の雰囲気を持つ男だ。人生にやさぐれて面倒臭がっているが魔道に関してはかなり良い知識を持っている尊敬できる人なのである。俺は懐かしい気持ちとともに先輩に返事した。
「先輩、久しぶりです……って言いたいんですが……その口っぷりだと……乱闘騒ぎになる前から会話を聞いてましたね?」
「まぁね、あと、殴られたようだけど、ここの皆は連続爆破テロ騒ぎのせいで神経質になっているんだ。
今日も大きなタワーマンションで騒ぎになったらしいし、最近は物騒な感じにゴダゴダしすぎだね、うん。
どうか仏みたいに広い心で許してやってくれないかな?日本人は仏教徒だったけ?まぁ、どうでもいいや」
「あの!あなたはひょっとして!?」唐突に白真珠が話しかけた。
「やぁ高貴な黒いドレスが似合う可愛いお嬢さん。僕の事を知っているのかな?」
「有名なハンバーガーショップを経営してたりしますか!?」
「いやいや、僕の本名はロナルド・マクドナルドだからね?アメリカじゃ一般的な苗字だよ?
みんな、省略してドナルドって僕の事を呼んでいるのさ。僕としてはマクドナルドよりモスバーガーの方が好きなんだけどね。金がかかっている分、材料が良いしさ」
「……そうですか……残念です……スーパーデラックス月見バーガーを季節を無視して奢ってくれるかなぁと思ったのに……特大ハンバーガーとか、ポテトの山盛りとか食べたかったなぁ……栄養が偏っちゃいますけど」
残絵そうに白真珠がしょんぼりした。俺はロリコンではないが、素直で可愛い娘が相手なら、頭を撫で撫でしてやりたくなる紳士なのである。
できれば、白真珠にはずっと笑顔で居てもらいたいものだ。その素敵な笑顔を守りたい、うむ。
そうやって白真珠の頭を撫でていると、ドナルド先輩が口を、俺の耳に近づけて低い声で
「トモヤ君~女の趣味が変わったね~?オッパイはボインボインだけど、少々、幼くないかい?
いや、別に僕は咎めている訳じゃないよ。女の趣味なんてどうでもいいしね。特にこの悪徳都市だと小さな男の娘じゃないとダメだ!っていう変態がゴロゴロいる訳だし。
諺でもあるだろ?『ロリの上にも三年』ってさ」
「本当にあるのか!?その諺!?」
「ちなみに意味は……ロリの範疇から3年くらいなら良い食べごろって意味だよ。まぁ、僕としては良い女は何歳でも良い女だと思う訳んだけどね。逆に糞な女はどんな外見をしていても糞さ」
「小さい娘の前で、そんな話はやめろー!?」
「小さい頃から悪い事を知らないと、良い大人にはなれないよ。特にこの悪徳都市では美しい少女なんか悪い悪い獣たちの餌食さ。
さぁ、こんな所で立ち話をするのも何だし、僕に付いてきてくれ。依頼人を紹介しよう」
「俺を信用する速度が速いですね……数年ほど会ってないのに」
「僕はね、面倒臭い事が大嫌いなんだ。だから、細かくて面倒な仕事を君に押し付けたい。ただそれだけだよ。君がバグダインの刺客だったらさ……この選挙事務所ごと爆破したり、色んな魔法を使って徹底的に攻撃するだろう?」
ーー
ロリの上にも三年:ロリの範疇から三年くらいならイイ年頃とゆう意味
(ノ゚ω゚)(ノ゚ω゚) つまり高校生は食べごろ?
(´・ω・`)※しかし、手を出すと犯罪です
(ノ゚ω゚)(ノ゚ω゚)アンタに靡く女子高生いないから!そんな注意書きは意味ないぞ!
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