予言小説の女

@sabakutani3546

第1話 1978年

1974年、昭和49年。


関東では、花が散ったばかりの4月19日。


東京国立博物館において、日本初の


ルーブル美術館から来日した


モナリザ展覧会が開催された。


6月9日までの2ヶ月間、大勢の来館者で


賑わった。


一説によるとこの期間に600万人もの


来場者が訪れ、日本展覧会史上まだこの大記録


は破られてはいない。


そんな中、赤松広隆(あかまつひろたか)も


来館者のひとりだった。


しかし、日本初の展覧会とあって、


1キロメートル以上の長い行列が出来ている。


あと何時間待てば天下の美術絵画を閲覧


出来るのか、見当もつかない。


いつの間にか、人混みが不規則にうねる。


春と言ってもまだ肌寒い季節、


身体の芯まだ冷えて来る。


並び始めて2時間後、やっとの事で


館内に入る。


これで一息と思ったところ、更に中では


学校の修学旅行生と一般客で


ごった返している。


溜め息を漏らしつつかれこれ3時間が


たったろうか、すると目の前に硝子ケースに


入ったモナリザが。


人混みのせいだろうか、二酸化炭素による


温暖な暖かさよりも暑くなって来ていた。


それにも増して、絶えず後ろから


押されている為に、立ち止まる行為は


許されない。




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