第1話「原因の領主」

 ある大陸での話。

 それはそれは、大変醜い人間が治めていたという領地がありました。

 その領主は普段から仕事もやらずだらけ放題。

 そのせいで、領民たちが抱える問題なども、ろくに解決されず放置されておりました。

 しかし、唯一神から恩恵とも言えるのか、その領主に仕える家臣団は誰もが領民を尊ぶ者たちばかり。領主があずかり知らぬ所で領民たちが苦しむ問題を見事に解決させていきました。

 それでも領主にしか解決できない問題も沢山ありました。

 領地の民たちはそんなダメな領主を影で悪口を叩かれても仕方ありません。

 そこで、領主を思う家臣団の者たちがある計画を企てました。

 その計画というのが、





◆ ◇ ◆ ◇ ◆





「領主さまに奥方がいないからこんなことになったのだ」

 一人の家臣がそんなことを言うと、待て待てと口を挟む。

「ハグハグホグハガホガ……!」

「なんで貴様は大事な会議中にドーナッツを食べている。ふざけてるのか」

「ハグハグハグ……」

「食べる方に集中するな。意見あったなら言え」

「このドーナッツまずっ!」

「て、めっ!」

 血気盛んな若い家臣たちを止めるべく、老家臣が二人を止める。

「まぁ待て。そう殺気立つではないわ。我らが冷静でいなければどうなる……」

「こ、これは失礼を、カーブリスト翁。コイツ、サージェルがバカだから毎度バカなことをしてバカみたいに繰り返すから我慢の限界が」

「そうじゃな。あともう一回やってたら儂もキレてた。もうここに置いてあるお茶かぶせてたわ」

 めっちゃ熱そうなお茶を片手に、柔和で温和な好々爺で知られるカーブリストは金髪で鼻くそをほじくってるクソバカ野郎・サージェルに向けて笑っていた。

「イーバルや。イーバル・ドッグスや。今や我らの領地・フェクシェマは領主さまに掛かっている。家臣団筆頭でもあるお前が領主さまの間違いを正さねばならぬ」

「はっ! 我が命にかえても!」

「行け! 今日こそ領主さまに!」

「はい! 領主さまに!」

 と、そこで、豪奢な作りで出来たドアが勢い良く開かれたと思いきや、何か醜い肉塊がボヨンボヨンと音を立ててやってきた。

「ブヒブヒっ! や、やったぁ! 見てみて! 魔法少女・メグメグちゃんのフィギュアがこんなに上手く出来たおー! ぶひひひ! はぁはぁ、人形でもカワユスなぁメグメグぅ♡♡ 見てよサルぅ! スゴスでしょこれスゴス!」

「うっわ! マジうめぇ! なにそれ食えるの!? ペロペロしてるけどそれ美味しいの!?」

「う、うへへへ。う、うまいぞよ。この世のものとは言えない味ぞな」

「う、うらやましいっっ!!」


 今日も今日とて、イーバルとカーブリストの精神を砕けさせるには十分な醜いすごいものを魅せられた。

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