第十二罪
No.28 犯罪者だってデートするんだからね(ツンデレ風)?
デート。
それは、男女が二人で映画を見たりお買い物をしたり食事したり遊園地で遊んだりラブホに行ったりすることの総称である。付き合っているか付き合っていないかでデートと呼ぶかは地方、または人、時と場合による。
デート中に初キスやプロポーズなど大事なことをする者もいると思う。よく知らん。
ちなみに...、日本性教育協会第4回青少年の性行動調査によると、男子は17歳、女子は16歳でデートの経験が50%を越えるらしい...。
俺、高天原神哉(二十二歳)は未だデートを経験したことがありましぇん!
「実は...、気になる人がいるの......」
「「「えええええええええええええ!!!」」」
頬を赤く染めてこれまで見たことないくらい照れまくるサヤ姉。それを聞いた俺と師匠と彼杵は、驚愕で朝からとてつもない声量を出してしまった。
「お、おい! 聞いたか彼杵! サヤ姉が気になる人だってぞ!!」
「き、ききき聞きました! サヤ姉が気になる人だって!!」
「いや、お前ら落ち着くのだ! きっと空耳だ!! サヤが気になる人なんて!!」
「空耳じゃないわよ!! あんたたち、あたしの事どう思ってんのよ!」
「「「超絶ビッチ?」」」
三人ハモったことにより、サヤ姉は部屋の隅で体育座りになっていじけてしまった。
「ごめんごめん冗談だよサヤ姉」
「あたしだって...、気になる人くらい出来るわよ......」
「そーデスそーデス! サヤ姉だって恋しますよ」
「そうだぞ、神哉。人のことを痴女呼ばわりなど失礼極まりない」
「お前ら自分の罪を俺に擦り付けるヤメロ!」
全く、さも自分は言ってませんみたいな言い方しやがって。しかし、サヤ姉に気になる人か。
それはつまるところ、好きな人ということでいいのだろうか。思えば気になる人と好きな人の違いってなんなんだろう。
いかんいかん! サヤ姉の気になる人のことよりそっちの方が気になってしまう。
「それで? サヤ、その気になる人とは誰なんだ?」
「私たちに相談しに来たってことは私たちの知り合いですよね!」
「えぇ、そうね」
サヤ姉はまだ少し赤面しながら答えた。俺たちの知っている人か。自慢じゃないが俺には犯罪者しか知り合いがいないんだが......。
「教えて! 教えて~!」
「笑わない?」
「笑いません!」
「バカにしない?」
「バカにしません!」
「聞いた後に酒の肴にしない?」
「酒の肴になんかしません!...っていうか私たちの信頼ゼロじゃないですかぁ」
プクっと頬を膨らませる彼杵。あ~、実に愛らしい。
当のサヤ姉は言おうか言わまいか悩んでいるようだ。じゃあ、何で相談に来たんだよ。
すると、サヤ姉はそっぽを向いたままボソっと何か言った。
「......ズ...」
「え? ごめんなさい、もう少し大きな声で」
「...カ......」
「サヤ、恥ずかしがることは無い。もっとはっきり言え」
「ああん、もう! カズよ、カズ! カズのことが好きなのよ!!」
え......。
サヤ姉が、あのカズ!?
いくら思い返しても俺たちの知ってるカズはただ一人。あの自称超絶イケメン結婚詐欺師、佐世保和人のみだ。
「あっ、いや、好きって言うか、その、えっと、気になってるというか...」
サヤ姉はさっきまで気になっているとしか言っていなかったのに、勢いで好きと言ってしまったことにめちゃくちゃ照れている。
もう、これまでに見たこと無いくらいに顔真っ赤。意外に赤面症なのか?
「カ、カズ...、あのカズで間違いないのかサヤ」
「えぇ、そのカズで間違いないと思うわ」
「カズって、ナルシーのカズで間違いないんですか」
「え、えぇ、そうね。ナルシーのカズで間違いないわ」
「あのいっつも髪を変な色に染めて、軽くセクハラしてくる女の敵のカズですか!?」
「だから、そうだってば!」
「彼杵、カズのことそんな風に思ってたんだな...」
だが、彼杵がそうやって何回も確認するのにも納得だ。
これまでのサヤ姉とカズはまさしく犬猿の仲だったはずだ。いや、そこまで仲悪くは無かったけど、会えばカズが茶化してサヤ姉がブチ切れるってのが当たり前だった。
おそらく彼杵もここに引っかかって追求したのだろう。だから俺も訊いてみた。
「サヤ姉、いつから好きだったんだ? まさか、初めてあった日の夜じゃないだろ?」
「当たり前でしょ。あの夜はあの夜で衝撃的だったけどね」
知らない人のために言っておこう。サヤ姉とカズは初めて会った日に勢いでヤッてしまっている。
つまりSEXしているのだ。(詳しいことは、No.2 結婚詐欺師とキャバ嬢のテクは凄い?を読んでね!)
「自分でも驚いたわ、昨日からずっとカズのことが頭から離れなくて。恥ずかしながら、カズのことを考えてオ○ニーしてしまったの」
「好きって言うのは恥ずかしいのにオ○ニーしたってのは簡単に言えるんだ......」
サヤ姉の羞恥の感覚がよく分からないんだが。
「ちなみに、好きになったきっかけって...」
「それは、昨日皆があたしを助けに来てくれたでしょ?その時にカズが言った言葉に、不覚ながらもときめいてしまったのよ...」
昨日カズが言った言葉か。何て言ってたっけ。......あぁ、思い出したぞ!
「確か『俺らにさらわれてくれよ』とか『俺じゃ不満か? サヤ』とか言ってたな。あれのこと?」
「うぅぅ、ハイ、そうです」
自分がトキメキを感じた言葉を掘り返され、顔を赤くするサヤ姉。なんでこれで赤面すんのにオナニーで赤面しないんだよ。
あ、オナニーに○付けんの忘れちゃった。
「そろそろおばさんと言われてもおかしくない歳なのに、いっちょまえに恋してしまったわ...」
「アラサーなのは否定しないが、最近は高齢結婚というのも珍しくないぞ?」
「そ、そうかしら?」
「そうだよ、サヤ姉! 私たちが全力サポートするよ!」
「ありがとう、彼杵。いつも優しいのねあなたは」
「ヘヘへー」
そう言って彼杵の頭を撫でるサヤ姉。撫でられて嬉しそうに目を細める彼杵。
......なんていうか、口に出して言ったら殺されそうだから言わないけど、親子っぽいな。
もちろん、サヤ姉がお母さん。
「それで、相談ってのはカズともっと仲良くなりたいってことでいいの?」
「う~ん、どうなんだろう。自分でもよく分かんないのよね、どうしたいか」
「じゃあ、デートしよう!」
「え!? デ、デート?」
「うん! ナルシーとサヤ姉で一日デートするんだよ」
彼杵はどうだこの名案といった感じで胸を張る。
おっぱいが、すっごい、もう、とにかく、おっぱいが...。
おおっと、いかんいかん。理性を保たねば。
「でもあたし、この歳ながらろくな恋愛してないのよね。デートなんてしたことないし」
「サヤ姉、俺と一緒だなぁ。俺もデート童貞だよ」
「お前の場合、下半身も童貞だろうが」
「......」
師匠の手厳しいツッコミに黙るしかない。
「と、とにかく、サヤ姉とカズのデート作戦だ! もうこの俺様の頭にはさまざまな考えが浮かんでいる!」
「さすがです、神哉くん!」
「はっはっはっ! もっと褒め称えろ彼杵! モチベーションが上がるぜ!」
「きゃー! かっこいいよ~! もうメロメロぉ~!」
俺と彼杵の茶番を見てサヤ姉は不安げな顔で呟いた。
「......大丈夫かしら」
「安心しろサヤ。神哉は色恋沙汰に関してはマジで無経験の人生だが、無経験の人間だからこそ思いつくこともあるという物だぞ」
「そーかなー?」
次は俺、高天原神哉の最強デートプランでカズをサヤ姉に堕としてみせる!
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