692神猫 ミーちゃん、神人にも馬鹿はいるようです。
書類を片付け、食堂でお昼ご飯を食べてから神猫屋へ移動。
「あっ、悪りぃ……」
「み~?」
ミーちゃんと一緒に昼ご飯を食べていたベルナーさんが、気まずい声を出して俺から目を逸らす。そして、ベルナーさんを甲斐甲斐しく世話していた、食堂のおばちゃんたちも目を逸らす。
なにやってねん!
この砦の責任者が食堂で自分で配膳して食べて下げ善までしているのに、なんで神猫屋のベルナーさんが甲斐甲斐しく世話されてんねん! おかしくねぇ!
ヒッヒッフー、落ち着け俺。そして、大人になるんだネロ!
強張る表情筋を無理やり笑顔になるよう動かす。そして、スタスタと神猫屋の内部に入ってエプロンを着る。
「クラウスさんもご飯食べちゃってください」
「おっ、悪いね」
「「「「えぇー!」」」」
「みっ⁉ み~?」
並んでいる女性陣からブーイングが上がる。着ていたエプロンを脱いで無性に地面に叩きつけたい! そんなに、イケメンがいいのか!
世のイケメンよ! 俺のマリアナ海溝より深き思いを込めた呪詛で、もげちまえ!
俺は泣いている。見えないだろうけど、血の涙を流し泣いている……。ミーちゃん! あとで猫吸いさせて~、俺の荒んだ心を癒して~! わ~ん!
「み、み~」
午後からは予定どおり、男性にも販売許可を出した。お客は男女半々くらいだ。そして、男性客が俺を見てギョッとした目を向けてくる。
この砦の最高司令官である俺が店番をしているのだ。特に傭兵崩れの連中は、暗殺対象者が目の前にいて驚いていることだろう。
これは意図してやっている。わざと油断した姿も見せないと、暗殺の実行をしてこないだろう。実際、奴らからすればいい的に見えていると思う。
見渡しのいい広場。店に買いに来ている客は兵ではなく、砦で働いてる女性たち。護衛は二人で憲兵はいるけど少数。狙ってくださいといわんばかりのシチュエーション。
だが実際は、ここは地獄の一丁目。ドラゴンの口に自ら飛び込んでくるようなもの。ドラゴンが三人もいるのだ。ここだけで世界征服ができてしまう。
「み~!」
しませんから! してどうするの! にゃんにゃんパラダイスでも作る気ですか! それはそれで面白そうだけど。
「みぃ……」
そんな、ミーちゃんは放っておいて仕事再開。こうやって、ここに定期的に姿を見せていれば、暗殺のいい機会と思ってくれれば御の字だ。
なんてことを数日繰り返し、空島に来ている。
「神人どもが文句言ってるの?」
「み~?」
『はい。
ほんと、神人って屑ばかりだな。マウントを取っていないと気に入らないらしい。お願いされ感謝されはすれど文句言われる筋合いはない。
「そういう、クレーマーなお客には帰ってもらいなさい。今、統合管理システム含め空島を実効支配しているのは神であるミーちゃん。人としての礼儀も取れぬ、名ばかりの劣化種族の神人など滅んでしまえ! ってね」
『承知しました』
「みぃ……」
ミーちゃんは甘過ぎる。餡子のことじゃないからね!
今回接触してきた神人の中には、統合管理システムの
だが、ミーちゃんの神力をフル充電されている統合管理システムは伊達じゃない! おそらく、造られてから初めて十全の力を発揮できる状態なのだ。
四つの統合管理システムと空島のハロが連携して、お互いをサポート、バックアップするシステムを構築。万が一、乗っ取られたとしても、すぐにほかの統合管理システムたちが復旧させる。
今回はそこまでには至っていない。統合管理システムにちょっかいを出そうとした神人は、すぐに見つかって排除されたみたいだ。
すべての神人がそんな馬鹿ではない。こちらの指示に従い、料金を払ってメンテナンス作業を受けている地中船もちゃんとある。
『神力の供給も希望されていますが、どういたしますか?』
「神力もなの?」
「み~?」
神力を持っているから神人なのだけど、世代によってはだいぶ劣化しているようで、地中船に十分に神力を供給できない連中も中にはいるようだ。ギリギリ、カツカツ状態で動いている地中船も少なくないみたい。
「はぁ~。代価払うなら供給してあげなさい」
「み~」
『承知しました。価格設定を各統合管理システムと協議します』
一度、メンテナンスと神力供給を受けた者たちは、もう俺たちに逆らうことはない。もう、俺たちなしでは存続できないことを理解できているからね。
一度、馬鹿をやった地中船はブラックリストに載せておく。次の管理者がまともなら、話を聞いて馬鹿やった前任者を追放するなり罰を与えるならば統合管理システムを使わせてやる。
同じような馬鹿なら無視だね。
もう、俺たちの知ったこっちゃない。
「み、み~」
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