620神猫 ミーちゃん、ネロくんランクアッ~プ!

 宗方弟、どこをほっつき歩いているのやら。ちゃんと使命は果たしているのだろうか? 不安だ。



「そうか。で、そっちのねーちゃんは?」



 奥村さんに挨拶するように促す。



「奥村真と申します。烈王様にお会いでき光栄でございます」



 片膝をついて首を垂れる奥村さん。宗方姉弟と違いこういう作法は様になっている。



「もしかして偽勇者の一人か? ネロ」



 名前で気づいたのかな? それとも、神気を持っているのを見抜いたのだろうか?



「はい。ロタリンギアから亡命してきました」


「そうか。真といったな、お前は運がいい。ネロと一緒にいれば闇落ちしなくて済むぞ。残った二人は可哀そうだがな。余計な欲を持てば闇落ち決定で討伐対象だ」


「どうして、ネロさんと一緒だと闇落ちをしないのでしょうか?」



 烈王さんが横のミーちゃんを見る。俺は首を振る。まだ、言うつもりはない。ほんの一部の者しか知らないシークレット事項だ。



「そういうものだと思っておけばいい。勇者の力は持っているが、それは限定的なものだ。余計な欲はかくな。心を鍛えろ。さもなくば不幸になるぞ」


「烈王さんはドラゴン族の長。魔王が束になっても敵わないほどの強者だよ」


「み~」


「それほどの強者なら、なぜ魔王を倒してくれないのですか?」



 まあ、普通はそう思うよね。だけど、ドラゴンは普通じゃないから。



「小娘。なぜ、我らがあんなゴミくずの相手をせねばならない。人族と魔王の争いならば、双方で勝手に争えばいいだけのこと。我らドラゴン族はその争いに介入するつもりはない」


「みぃ……」



 烈王さんが答える前にヴェルさんが答えた。その答えに奥村さんが驚愕の表情になる。奥村さんは考え違いをしている。まあ、ドラゴンと会ったのは初めてのようなものだからしょうがないけど。



「俺たちにとって人族と魔王が争おうがまったく気にならない。言い方は悪いが人族が滅んだとしても気にしない。だがな、まったく手を貸していないわけじゃないぞ」


「ヒルデンブルグの飛竜隊は知っているだろう? あれは烈王さんとヒルデンブルグの初代大公様との間で結ばれた盟約によって、貸し出されているんだ」


「み~」


「飛竜隊にそんな理由があったなんて……」



 まあ、知っている人は極わずかだろうけど。



「それに俺とミーちゃんの護衛にグラムさんを付けてくれている。わかると思うけど、人族でどうこうできるような相手じゃない。言わば最強の護衛だ」


「み~?」



 実際にはちょっと……だいぶ違うけど、そう思わせておけばグラムさんの顔も立つ。



「み~」



 立てなくていいの? さすがにそれは可哀そうだよ?



「それにだ、確かに魔王如きは俺たちにとってゴミだが、残念ながら倒すことはできても消滅させることができない。それができるのは勇者の力を持った者だけだ」



 ドラゴンがそこまでできたら勇者の存在意義がなくなってしまう。



「勇者の力とは一体何なのでしょうか……」


「教えてないのか?」


「簡単には教えていますが。詳しくは教えていません」


「み~」



 奥村さんはまだこちらに来たばかりなので、そこまで説明はしていない。



「勇者、偽勇者は必ず神界を通ってこの世界に来る。その時に体に神気を宿す。その神気が勇者の力だ。神の加護を持っているか、持っていないかの違いだ。言うなれば、ネロも偽勇者と言っていい」



 勇者にまったく興味がない。興味がないというより争いごとが好きじゃない。だから、魔王退治は宗方姉弟に任せる。そこに奥村さんに加わってもらいたい。



「ネロの力はお前たちより頭ひとつどころか相当飛び出している。これから愚弟グラムと模擬戦をするから、ちゃんと見ておけよ。そのネロの力でも、まだ魔王には勝てないってことに」


「み~」


 当たり前でしょう! 俺で魔王に勝てるなら誰でも魔王討伐できるでしょう!


 それはそうと、グラムちゃんは弱いけどネロくんはもっと弱いぞ~と仰っているミーちゃんは誰の味方なのでしょうか?



「み~?」



 ネロくんの味方だよ~? って、本当かな~?



「ネロさんが強い? あの時もそうは見えなかったけど?」


「真、騙されるな~。ネロさんは大魔王で闇のプリンスなんだぞ~! 極悪非道、無法千万、阿鼻叫喚の無間地獄」


「そ、そこまでなの!?」


「真たちがやられた閃光を思い出せ~。あれも大魔王ネロの仕業だぞ~!」



 違うから! 確かに指示したのは俺だけど、あの光の元はラルくんですから!



「あれはまさに地獄でした。あんなことが平気で出来るなんて、顔に似合わず恐ろしい人だったんですね……」



 だから、違うから! そもそも、攻めてきたロタリンギアが悪いんだろうが! 俺のせいにするな!



「み~!」


「そうか、舌先三寸大魔王にランクアップしたのか。うん、目出度い」



 そこ! 目出度たくなんかない! 誰が舌先三寸だ! 勝手にランクアップさせるんじゃありません、ミーちゃん!



「み~?」



 まあいい。準備は整った。


 じゃあ、模擬戦を始めますか。


 この鬱憤を晴らさせてもらおう。



「み~?」




猫(ΦωΦ) Ψ(ΦωΦ) Ψ(ΦωΦ) Ψ(ΦωΦ) Ψ(ΦωΦ) Ψ猫


猫の日記念】カクヨム文芸部公式自主企画「猫好きに刺さる小説・エッセイ」大募集!~ に参加しますにゃ。


僕が猫になった理由(わけ)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054882678402


だいぶ前に書いた短編で自信作ですにゃ。

今回、それを加筆修正しましたにゃ。

よかったら見てくださいにゃ~。

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