123神猫 ミーちゃん、お姫様にプレゼントする。

 朝起きて食事をとった後、子猫ちゃん達を念入りにブラッシングして爪も切る。ミーちゃんの予備のリボンを色違いで子猫ちゃん達に結んであげる。みんな可愛いよ。



「み~」



 ミーちゃんも一匹一匹、愛おしそうにペロペロしてます。


 スミレを連れてハンターギルドに行き、スミレには王宮にも行くからねと言っておく。ギルド近くの雑貨屋に行って、子猫ちゃん達のお皿と猫砂を入れる容器を買った。



「お待たせしました」


「やっとなのね……」


「待ってました」



 ギルド内の酒場でパミルさんとユーリさんに子猫ちゃんを引き渡す。事前に飼う為の必要な事は説明してある。確認の為再度説明するけど聞いているのか怪しいです。まあ、日中はハンターギルドに居るのだから問題はないでしょう。



「ネロ君。この子の名前は?」


「付けてないので、付けてあげてください」


「ま、迷います。今日は仕事に身が入らないかもしれません……」


「三毛猫だからミケちゃんかなぁ~」



 はいはい、勝手にしてください。それより、ギルド長に呼ばれているので行きますね。



「行ってらっしゃ~い」


「みんなの事は私が見てます」



 それじゃあ、ユーリさんお願いしますね。



「すまんのう。遅くなったが講習会の件じゃ。急で悪いのじゃが、明日の午後でどうじゃろうか?」


「構いませんが、どうしたんです?」


「ふむ。まあ、ネロ君ならどうせすぐ耳に入るじゃろうしな……隣国のロタリンギア王国で何かあったらしいのじゃ」


「何かとは?」


「わからん。なので明後日から本部に行く事になっとる。なので、明日しか空いとらんのじゃよ」


「わかりました。明日の午後ですね」


「うむ、頼む。人数はハンター二十名、ギルドから儂含め五名じゃ」


「了解です」



 ギルド長との話も終わったので、王宮に向かいますか。


 王宮の門で手形を見せて待ってるとニーアさんと馬丁さんがやってくる。スミレは鼻をフンフン言わせて馬丁さんの元に行く。本人隠してるつもりなのかもしれないけど、嬉しくて仕方ないのがまるわかりですよ。敢えて言わないけどね。


 ニーアさんはバスケットの中を見て目を大きく開いています。



「ぺろしゃん! み~しゃん! せらしゃん! る~きゅん!」


「みゃ~」



 レーネ様はみんなをがっちりホールド。ペロペロ、スリスリです。


 ルカは俺の足元でスリスリしてるので抱きあげた。



「いらっしゃい。ネロ君」


「久しぶりね。ネロ君」



 今日はエレナさんも居ました。



「王妃様につきましてはご機嫌麗しゅう存じ上げます。エレナさんもいつにも増してお美しいお姿を拝見させて頂き、誠に恐悦至極でございます」


「ネロ君……何か悪いものでも食べた?」


「フフフ……冗談はさておき、そのバスケットの中身に興味がありますわ」


「じょ、冗談なんですかぁ!」



 冗談ですけど、お美しいのは本当ですよ。


 ルカを抱っこしているのでニーアさんが代わりにバスケットを王妃様の元に持って行ってくれました。



「まあ、可愛いわ」


「か、可愛いぃ~」



 王妃様が白猫をエレナさんが黒猫を抱きあげる。二匹共、満面の笑みで応えてる。教育の賜物ですよ。



「この子達を引き取って良いの?」


「後はレーネ様とルカとの相性ですかね」


「そうね。それは大事ね。レーネ、こっちにいらしゃい」



 レーネ様はペロと手を繋いで王妃様の所に歩いて来る。



「おかぁしゃま!」


「ねぇ、レーネ。この子達を見て」


「ねこしゃん!」



 レーネ様は白猫と黒猫を抱っこして俺の所に来た。



「るか?」



 ルカを床に降ろしてやるとレーネ様はルカの近くに二匹の子猫を降ろす。



「ルカにゃ。お前達のお兄ちゃんにゃ」



 白猫、黒猫は物怖じせずルカに突進。ペロペロ合戦が始まった。数分後、ルカが二匹の毛づくろいをしてる姿がそこにはあった。



「お互い認めあったにゃ。ルカがお兄ちゃんにゃ」



 どうやら、お互い受け入れあったよです。レーネ様が三匹をギュッと抱きしめてスリスリしている。ルカの仲間も増えたし、レーネ様の友達も増えたね。



「どうやら、問題無いようね。名前はこちらで付けて良いのよね?」


「はい」


「うーん。私も飼いた~い」



 エレナさん、前にも言いましたが無理ですからね。


 レーネ様から三匹を預かりミーちゃんと一緒にテーブルの上に乗せると、三匹がミーちゃんに甘え始めミーちゃんがペロペロしてあげている。



「やっぱり、ミーちゃんがお姉さんなのね」


「み~」



 そんな中、ニーアさんが二つの大小の箱を持って来た。



「ネロ様。こちらが頼まれていた物でございます」



 小さい箱を開けると黒真珠のネックレスが入っており、ニーアさんが取り出してミーちゃんの首に着けてくれました。



「真っ白なミー様には、良く映えてお似合いでございます」


「み~」



 ほんとだねぇ。白いミーちゃんの毛に浮き立つ深い闇の中で輝く光とでも言うような黒真珠、プリンセスオブキャットにふさわしい品だね。



「ねえ、ネロ君。ミーちゃんのネックレスを作ってみたら、凄く良くてね。余った真珠でもう一つ作らせてみたのよ」



 ニーアさんが大きい方の箱を開け今度はレーネ様の首にネックレスを着けた。レーネ様のお子ちゃま特有の白い肌も相まって良く似合っているね。



「どうかしら、レーネの誕生会の為にプレゼントしてくれないかしら?」


「み~しゃんとおしょろい!」


「み~!」



 ミーちゃんとレーネ様が顔を見合わせて、にぱっと笑顔を見せ合う。こんな姿見せられたら断る事なんかできないじゃないですか。もともと、お土産に買ってきた物だしね。



「レーネ様。ミーちゃんとおそろいでも構いませんか?」



 ブンブン首を縦に振っている。



「喜んでレーネ様にお贈りしますよ。良いよね、ミーちゃん」


「み~」





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