121神猫 ミーちゃん、子猫の里親を見つける。

 いやぁー、夜も朝も大賑わいです。休まる暇がありません。みんなが居て助かります。寝てる時以外はジッとしてる事がないほど、子猫ちゃん達は元気一杯です。


 ユーリさんと朝食をとってる時も大騒ぎの食事になりました。


 そんな可愛い四匹の子猫を見た瞬間、ユーリさんは頬を上気させ子猫ちゃん達を抱きしめてましたね。朝食後も一緒にハンターギルドに行って子猫達と戯れると言ってます。寝なくて良いんですか?


 ハンターギルドに行くとヤン君と少年少女四人がギルドで待ってました。



「おはよう。今日は頼むね」


「ネロさん、おはようございます。よろしくお願いします」


「「「「よろしくお願いします!」」」」


「聞いてると思うけど、殆どがゴブリンだからコア取りがメインになるよ。ナイフはこっちで用意したので、一本ずつプレゼントするから使って欲しい。お昼もここの酒場のランチを付けるからね」



 おぉーっと声が上がる。周りに居たハンターさん達からも……。見習いハンター相手に羨ましそうな目はやめなさい。大人げないですよ。



「ネロ君、来てたのね。場所は確保してあるから係の者に聞いてね……って、その子達なんなの!」



 パミルさんが子猫ちゃん達を奪って行く。



「ヤレヤレ、朝から騒がしいのう」


「ギルド長! ここでも猫ちゃん飼いましょう! クイントのギルドではギルド職員の職場内安定と仕事効率向上目的の為、猫を飼っています。クアルトでも一時期、ミーちゃんをギルドのマスコットとして雇い成果をあげています!」



 ギルド職員のみなさんも聞き耳を立てて興味津々のようです。



「儂は構わんが、その飼う猫はどうするんじゃ?」


「ネロ君! その子猫頂戴!」


「頂戴って……物じゃないんですからね。それに、黒猫と白猫は里親が決まってます」


「三毛ちゃんと白黒ちゃんはまだなのよね」


「え、えぇ……でも、誰が飼うんですか? クイントではエバさんが責任を持ってくれましたが……」


「私が飼います!」


「二匹もですか? 一匹だけでも大変なのに?」


「ぐっ……」


「あのう……なら、私がどちらかを飼います」



 ここにきて、ユーリさん参戦。



「決まりね! ギルド長、良いですね!」


「う、うむ。パミルくんに任せる……」


「ネロ君!」


「取り敢えず、親御さんに確認取りますので……」


「急いでお願いね」



 ペロくん、行ってらっしゃい。



「ハァ……行って来るにゃ」


「み~」



 ヤン君達は何が起こってるのか理解できずに、ポカンとしてる。さあ、解体場に行きますか。ユーリさんにシートと毛布、子猫ちゃん達が入ったバスケットを渡しておいた。セラ、ルーくんよろしくね。



「にゃ」


「がう」



 解体場に行き係の方に声を掛け場所を教えてもらう。



「凄い数あるんだってな」


「はい」


「取引業者が手ぐすねを引いて待ってるぜ。大口取引なんて久しぶりだからな」



 ゴブリンは家畜のエサや肥料に加工されるので需要が高い。ハンターの多い王都と言えど、収納スキル持ちでないとまるごと持ち帰る事は少ない。ハンターさんが倒した次の日に、業者が探しに行く事もあるらしいけど、たいていは他のモンスターに持ち去られなくなってる事が多いそうだ。


 なのでゴブリン専門に狩るハンターさん達が居るくらいだ。ゴブリンハンターと言われ、駆け出しのハンターさん達がやってるそうです。


 ヤン君達に解体用のナイフを渡して作業開始。ミーちゃんがどんどん出していく。ヤン君達もコアを取る者三人、運ぶ者二人に別れローテーションで作業するようだね。


 ヤン君達の作業を見ながらスミレの散歩どうしようかなぁって考える。今日から六日間はここでの作業があるからねぇ。ペロにお願いするしかないかな。


 子猫ちゃん達もこの六日間で躾と人に可愛がられる十ニヶ条を覚えてもらう予定、ルカの時より余裕がある。


 お昼近くになったのでお昼にしようとヤン君達に声を掛け、手などを洗ったら酒場の方で待っててと言っておいた。


 ユーリさんはどこに居るのかな? ギルドの裏口の傍の陽あたりの良い場所で、子猫ちゃん達とセラにルーくんに囲まれ気落ち良さそうに寝てる。起こすのが忍びないですよ。セラはこちらに気付き起きたようだ。


 ユーリさんに声を掛けると、ユーリさんより子猫ちゃん達が起きてあっちこっちに動き回る。ミーちゃんとセラ、ルーくんがそんな子猫ちゃん達を連れ戻すのに必死になってる。



「うーん。おはようございます……あれぇ?」



 ユーリさん寝ぼけてるっぽいね。ユーリさんの胸元に白黒子猫ちゃんがしがみついている。



「ん? 子猫……ちゃん? はうっ!? ネロ君……」



 どうやら、目が覚めたようです。



「あの、そのう……これはねぇ……」


「お昼にしませんか?」


「……はぃ」



 子猫ちゃん達をバスケットに入れ酒場に行く。ペロが戻って来ていたみたいだ。何故かジンさんも一緒に居る。人数が多いので二つのテーブルを確保して、ウエイトレスさんにみんなの分のランチを頼み、ミーちゃんと子猫ちゃん達の猫缶とミネラルウォーターを用意する。


 子猫ちゃん達は待ち切れず、お皿に顔を突っ込んでハムハムしてます。


 それで、ペロどうだったの?



「ちゃんと話はつけてきたにゃ。白と黒は王宮に、三毛と白黒はハンターギルドで飼う事を納得させたにゃ。本当に大変だったにゃ……」


「み~」



 はいはい、ご苦労様です。お昼ご飯食べてくださいよ。でもこれで問題解決。ユーリさんとパミルさんにどちらを飼うか決めてもらおう。人柄を良く知る二人に飼われるなら、二匹も幸せになれるだろうから安心だよね。



「み~」





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