119神猫 ミーちゃん、プンプンです。
商業ギルドを出てみんなで近くの食堂でお昼にしたけど味がいまいち。飛び込みって難しいね。匂いは良かったのに……。
商業ギルドで薬師ギルドの場所を聞いていたので、向かって見ると意外とこぢんまりとした建物でした。
中に入ると、薬の匂いがする。ミーちゃん、セラ、ルーくんは苦手なようです。ごめんね。
「本日はどのようなご用件でしょうか?」
「薬草などの買い取りをお願いしに来ました」
「当方のギルドか商業ギルドには入ってらしゃいますか?」
「商業ギルドに入っています」
商業ギルド証と素材のリストを渡す。リストはユーリさんが金額を記載した物じゃないリスト、値段が書いてあると交渉できないからね。
「確認の為お時間を頂けますでしょうか?」
「構いません。外に居るので声を掛けてください」
ギルドの外に出て日向ぼっこ。夏が近いことを教えてくれる陽射しです。
ミーちゃんとセラは陽の当たる場所でお昼寝。布を丸めた物を通りの人の邪魔にならない場所に投げる。ルーくんがハフハフと走って咥えて持ってきて、もう一回! っておねだりしてくる。
何度も投げては咥えて持ってくるを繰り返し、ルーくんがバテたのでミネラルウォーターを飲ませてあげていた時、声が掛かった。
中に入りリストとギルド証を返してもらい、受付の方がリストの査定額を提示してきたので見ると……その額なんと二百万レト、話にならない……。ユーリさんが嘘をつく訳ないので、薬師ギルド側で買い叩こうとしているのだろう。
「二百万レトですか……これが適正価格だと?」
「失礼ですが、神猫商会さんは今日作られた商会さんのようですね。全くの信用がありません」
「貸付で商品を買うならいざ知らず。物がちゃんとあってこちらが売ると言ってるのに信用が関係あるのですか?」
「それが規則ですから」
出ましたよ、規則。
「では、信用とは何ですか?」
「商業ギルドに五年以上入っている事、当方ギルドと少なくとも三十以上の取引がある事です」
「話にならない。こちらから願い下げです」
「で、ですが、そのような物。当ギルド以外買ってくれる所などありませんよ!」
「別に構いません。こちらで探しますので。それでは失礼」
「ちょ、ちょっと待ってください! もう少し上乗せはできます!」
「一千万レト以下ではお売りしません」
「み~!」
「……」
ミーちゃん、プンスカです。気持ちはわかるけど、爪を立てないで地味に痛いよ。
薬師ギルドを出てきました。ああは言ったもののどうしようか? せっかく商業ギルドに入ったのにね……。
「みぃ……」
「にゃ……」
「がぅ」
誰かに相談してみよう。となると、ハンターギルドかな?
王都のハンターギルドで知ってる人と言えば、ギルド長かユーリさん、まだ来てないけどパミルさんだね。
ギルドの中に入ると丁度、ギルド長とユーリさんが居た。二人をお茶に誘ってみた。
「相談事じゃな。馳走になるかのう」
ウエイトレスさんにミーちゃん以外の飲み物を注文して、ミーちゃんクッキーを出した。ミーちゃんはミネラルウォーターだよ。
「ほう。これは美味いのう。して、なんじゃな? 講習会の件ならまだじゃぞ」
ギルド長とユーリさんに先程の出来事を聞かせた。
「人を助けるのが薬師ギルドなのに、許せません!」
「ほんに、世も末じゃのう」
「他の街の薬師ギルドも同じでしょうか?」
「ここまで酷いものではないと思うが……のう」
似たり寄ったりと言う事ですね。これは困ったね。ふむぅ、薬師個人に売ると言う手はあるけど、量が量だけに面倒くさいよね。ハンターギルドにきてる依頼の品を提出しても、全部売りさばくのにどれだけ掛かるか……。
「考えられる事は、薬師ギルドではなく、国の管理する薬師に売る事かのう」
「ですけど、国となるともっと大変なのではないですか?」
「ネロ君にはコネがあるじゃろう? そちらの方が早いのではないじゃろうか?」
コネ、王妃様ですね……。ペロに頑張って二匹の子猫を探してもらうしかないね。
「余り、使いたくないコネなんですけどね……背に腹は代えられないですね。私利私欲じゃなく友人を助ける事ですから」
「み~!」
「にゃ!」
「がう!」
そうなのだ、パトさんの為なのだ。全部売り払て、あのフサフサお耳をモフらせてもらうんだワン。
「みぃ……」
えっ? ミーちゃんは興味がないの? フサフサお耳、触り心地最高だと思うよ。
「み、み~」
でしょう? 頑張って売るぞ~、おぉー!
それはさておき
「ギルド長、個人依頼で指名ってできます?」
「なんじゃ急に」
「モンスターの解体の依頼を出したいんです」
「解体くらい自分でせんか!」
「いやぁー、そうなんですけどね。解体した事がないし、量が多いんですよ。それに本職のハンターを目指す子達には、良い稼ぎ口になりますから」
「ハンターなのに解体をした事が無いとは嘆かわしいのう。で、どの位あるんじゃ?」
「ゴブリンだけで三千弱、他に二百くらいですかね。ねぇ、一人じゃ無理でしょう?」
「「……」」
ギルド長とユーリさんの目が点になってるんですけど……あれ? 俺、おかしな事言った?
「み~?」
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