73神猫 ミーちゃん、お供が増える。

 目の前に、モンスターの素材の山ができている。全部くれるそうです。


 虫系のモンスターもミーちゃんのシャンプー結界の外で爆風と衝撃波でひっくり返っていた所を、止めが刺されたそうです。ミーちゃん結界が立証されたと言う事でもあるね。流石、神様仕様。


 モンスターはコボルトさん達が解体してくれました。ついでに、前に倒したグラスウルフもお願いしたら牙王さんに白い目で見られた……しょうがないじゃん、グラスウルフの方から襲ってきたんだから。


 それから、お肉類はみなさんが美味しく頂いています。小っちゃい黒豹に小っちゃい狼が、どこに居たのかわんさか出てきてお肉を食べてます。何もしてないと可愛らしいんだけど、お食事中の姿はお子ちゃまには見せられません……。


 大人達は俺が提供したエールにワインの樽に顔を突っ込んで飲んで、ヘベレケ状態だ。大丈夫か~?


 それから、グランベアを倒した事で、この山の生態系のトップが変わるようで白狼族の牙王さんがこの山を支配する事になり、ロデムさんは補佐役に就くようですね。パトさん達コボルト族のみなさんは山の麓のコボルト族の村に帰るみたい。コボルト族は妖精族ですので、どちらかと言えば人族寄りの種族ですからね。


 正直、眠たいのですが牙王さんとパトさんから、いろいろ相談されている。


 ミーちゃんとペロは黒豹さんに抱かれて眠っています。スミレもさっきまでは興奮していましたが、今は落ち着いている。


 牙王さんからはグランベアが居なくなった今、人族と争う気は無いので人族との仲介をお願いされている。それは歓迎すべき事だ。麓の村も、この山を通る商隊もだいぶ安全になるだろうからね。王妃様にご相談かな。


 パトさんからは人族の商人との取引の仲介を頼まれた。なかなか、コボルト族と取引をしてくれる商人が居ないらしい。居てもとんでもなく買い叩かれるらしく、人族のふりをして村に売りに行ってるのが現状。だけど、商人ギルドに入っていない為多く売る事ができなく困ってるんだって。


 コボルト族が一番人族に近い姿なので、周りの妖精族はコボルト族を頼りに素材を持って来て、人族の品物と交換していく関係となっているので売り買いできないと困るらしい。


 可愛いらしいパトさんの為、ここは何とかせねばなるまい。


 そんな相談を朝まで聞いてしまった……完徹です。


 取り敢えず、悪いようにはしないので時間を下さいと、お願いした。


 コボルトさん達からは武器防具を返してもらい、その中の短剣、小剣はプレゼントした。パトさんは喜んでくれている。金属製品は人族には敵わないと言っていたから。


 目を覚ましたミーちゃんとペロと軽く朝食を食べて出発の為スミレの世話をしてると、ロデムさんと牙王さんがやって来た。



「この者は私の孫でございます。どうか、ミー様のお供の端にお加え下さいませ」


「こいつは俺の一番下の息子だ。俺達との友好の証にミー様に預ける」



 俺達に最初に会いに来た黒豹さんだ。牙王さんの息子はやっと乳離れしたくらいの子狼だ。可愛い~。



「み~」



 あぁ、またミーちゃん任せなさ~い! って、勝手に引き受けちゃったよ。この世界にテイマーって職業あるのかな? それ以前に街や村に入れるのだろうか?



「これからよろしくな」



 黒豹と子狼が寄って来て俺の手にスリスリ、ペロペロしてくる。か、可愛いです。ペロも挨拶するともみくちゃにされているけど、喜んでいるようなので良いとしよう。


 問題は移動手段だ。子狼の方は何とかなる、問題は黒豹の方だね。



「問題ないって言ってるにゃ。スミレにゃんの後をついて行くそうにゃ」



 確かに体長二メル以上あるし、豹だから山道なら脚は速いのだろうけど、果たして平原でスミレについて来れるだろうか?


 ともあれ、寝たいとこだけど出発しよう。山道は黒豹さんが先導して走ってくれ、勝手知ったる場所と言うだけあって速い。スミレが通れる獣道を通り最短で山を抜けた。昼過ぎくらいには目的の村につけるだろう。


 先頭がスミレに代わり加速していく。後ろを振り返ると、おぉー、って、あ、あれ? ついて来ている? 段々、離されて行ってない……? スミレ、スト~ップ!


 黒豹さん、疲れてますね。肩で息をしている。ミーちゃんのお皿にミネラルウォーターを出して飲ませてるあげると、やっと落ち着いたようだ。黒豹さんはスミレの所に行って、鼻をくっつけ合っている。お互いを健闘しあってるようにみえる。


 さて、どうしようか? って思ったら、黒豹さんが小さくなった。黒猫ですね……猫化スキル持ってたのね……。そう言えば、鑑定してなかった。後でしましょう。


 ミーちゃんはキャリーバッグの中が定位置、ペロを俺の前から後ろに変更させて立ち乗り、黒豹さんはペロが居た場所に、子狼は俺が抱っこした。まあ、何とかなるだろうけど、何か考えないと駄目だ。鞍の後ろに荷を乗せる馬具でも買うしかないかな?


 走っていると後ろでペロがニャアニャアうるさいです。定員オーバーなんだからな我慢してください。


 それでも、昼過ぎにヒルデンブルグ大公国初の村に着いた。


 いやぁー、疲れたし眠たいです。でも、もう一頑張りしますかね。



「み~」





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