14神猫 ミーちゃん、運動して良い汗かきました。
ジリリリ……。
目覚ましで目が覚める。ミーちゃんはまだ夢の中でお散歩中のようだね。起こさないようにベッドから出て着替える。猫缶とミネラルウォーターをひとつずつ召喚してバッグにしまった。
ミーちゃんを起こさないように抱っこして下に降り、女将さんに挨拶してから宿を出る。空気が澄んでいて、とっても気持ち良い。チュンチュンと小鳥が鳴いている。これって、朝チュン!?
そんな馬鹿な事を横に置いておき、ギルドに着くまでの間まともな事をちょっと考える。昨日、召喚出来る猫用品が増えていた。何故だろう? 何度も召喚してスキルの熟練度が上がったからなのか? 鑑定で自分を見ても変わった所は無い。数字で表してくれれば楽なのにね。まあ、ゲームじゃないんだから仕方ないか……。
でも、そうなると極力召喚をした方が良いのかもしれない。あのだるさが無ければ、それもありなんだけど……出来るだけ召喚はしていこう。それより、あの空のペットボトルどうしようか? このままだとどんどん溜まっていくばかりだ。売ったらお金になるかな? いや、駄目だな。この世界にまだ無い物を売ったら、絶対に目を付けられる。それだけは避けないと。当分はタンスにしまって置くしかないかな。
ギルドの裏から入り、自分が作業する部屋に入る。机にタオルを敷いてそこに寝ているミーちゃんをそっとおき、近くに皿を置いてミネラルウォーターを注いでおく。これで自分が手を離せない時に起きても問題ないでしょう。
表に回り、職員さん達に挨拶して回る。あっ! ガイスさんが居た。
「ガイスさん。おはようございます。昨日はご迷惑をお掛けしました」
「お、おう。べ、別に迷惑なんて掛けられてねぇょ……」
そうなんだ、最後の方が声が小さくて聞きづらかったけど、それなら良いや。
「今日も一日、よろしくお願いします」
「まあ、頑張れや」
パミルさんを探すと机で何か作業している。
「パミルさん。おはようございます」
「ネロ君。おはよう。まだ全部書き終わってないの、書き終わったらそっちに持って行くから準備しておいてね」
「わかりました」
部屋に戻って、ミネラルウォーターを少し飲んで作業に入る。
昨日の受注されなかった依頼を、所定の場所に書き写し残りは消しておく。そうしているとパミルさんが来て、紙を渡してくれた。これまた大量ですな、頑張りますか……。パミルさんは寝ているミーちゃんをそっと撫でてから部屋を出て行った。
さて、やりますかね。
結局、六時ギリギリまで掛かってしまった。途中、ミーちゃんが起きてミネラルウォーターを飲んでからはジッと俺を見ていた。何度か目が合うたびに首をコテンと傾げ、だいじょう~ぶ~? みたいな顔をされてしまったけど、ミーちゃん、俺は大丈夫だよ。安定した生活の為に頑張るよ。目指せ、小市民!
そして、怒涛の二時間がすぐに始まる。ミーちゃんも流石に飽きたのか、部屋の中を歩き回っていたが陽のあたる場所を見つけ、そこで丸くなってしまった。
ミネラルウォーターの力を借りて、スピーカーから聞こえてくる声を聞き逃さないように怒涛の二時間をなんとか乗り切ると、聞こえてくる声もまばらになってきた。ふぅー、やっと一息付けるよ。ミーちゃんを抱っこして椅子に座り、ミーちゃんにピンクのリボンを結んであげる。
「ミーちゃんは何を身に着けても可愛いね」
「み~」
それほどでもないよ~みたいに照れてる姿も可愛いね。そんなひと時をパミルさんが打ち破り
「ミーちゃん。お仕事の時間だよ。あら? 今日はピンクの可愛いリボンね」
「み~」
そう言って、俺の事はアウトオブ眼中の如く、ミーちゃんを連れ去ってしまった。心のオアシスが……。
残りの一時間も無難にこなしてブーイングの中ミーちゃんを引き取り、宿に朝食をとりに戻る。毎度の如くお姉さん達の目から嫉妬ビームが飛んできて痛いです。
宿に戻って朝食を食べた後、部屋に戻って猫缶とミネラルウォーターを二つずつ出した。め、めまいが……。何とか目覚ましをセットしてベットに横になると、ミーちゃんも枕元で丸くなる。少し寝よう。
ジリリリ……と目覚ましの音で目が覚める。もうお昼だ。余りお腹は減ってないけど軽く食べようか。
下に降りて、女将さんに軽い食事をお願いして、ミーちゃんに猫缶を皿に出してあげるとハムハム食べ始める。ミーちゃんは食欲旺盛だね。その小さな体の何処にそんなに入るんだろうか?
昼食を食べ終わった後は、ハンターギルドに戻る。訓練場に行ってみたいからだ。
ギルドの裏に回り訓練場に行くと、少なからずハンターさんが訓練をしている姿が見られる。
「なんだ、ここは小僧が来るとこじゃないぞ」
年の頃は五十代位だろうか、身長百八十セン(一セン=一センチ)位の白髪まじりのおじさんが声を掛けてきた。
「昨日からギルドで働いている、ネロと言います。こっちはミーちゃんです」
「ふん。それで何の用だ」
言葉はぶっきらぼうだが、ミーちゃんを見て目尻を下げたのを見逃してはいませんよ。照れ屋さんなのかな?
「ギルドで働いていますが、ハンター志望です。ここで訓練が出来ると聞いていたので来てみました」
「小僧がハンターだと? 本気か?」
「はい、本気(マジ)です」
「自殺願望でもあるのか? 死ぬ気ならちゃんと遺書書いとけよ」
凄い言われようだね。冗談だと思われているようだ。
「自由に使って良いんですよね」
「ギルド関係者なら問題はない」
と言う事なので、訓練を始めよう。訓練と言っても基礎体力作りからだ。神様に貰ったこの体まったくと言ってよい程、筋力共に体力が皆無だと言う事に気付いたからだ。なにしろ、日本にいた時の自堕落な生活を送っていたあの体より酷い状態。弓が引け無い訳です。
なので、そこから改善しないといけない。ミーちゃんを訓練場の脇にあるベンチにバッグを置いてその上に降ろす。
「遊んでても良いけど、遠くに行っちゃ駄目だよ」
「み~」
先ずは、ストレッチをみっちりおこなう。急に運動したら体が悲鳴を上げるのが目に見えてる。その後は、走り込みかな。訓練場の周りをミーちゃんと一緒に走った。すぐバテたよ。俺がね……。
それでも休み休み走る。途中でミーちゃん飽きてしまったのか居なくなったけど、どうやら訓練をしているハンターさん達にちょっかいを出しに行ったようだ。あんまり邪魔しちゃ駄目だよ。
二時間も走っただろうか、途中途中にミネラルウォーターを飲んで体力を回復した。ほんとにこのミネラルウォーターは凄い。普通なら起き上がれない程、バテているはずだけどピンピンしている。唯一不安なのがこれで体力が付くのだろうか? と言う事、普通は筋肉を痛めつける事で筋肉は強くなると聞いている。回復したら意味ねんじゃねぇ、なんて思ったりしている。
ミーちゃんはハンターさん達相手に格闘の訓練中のようだ。良い動きをしている。ハンターさんが翻弄されている時がある。いつもおっとりしてるミーちゃんもやる時はやるようだよ。
ミーちゃんが戻ってきて、ミネラルウォーターを飲んでいる。動き回って気分が良いのか、目がキラキラしてる。
お互い汗をいっぱい汗をかいたから、一旦宿に戻って着替えて来よう。ミーちゃんはスンスン自分の匂いを嗅いでいる。
「ミーちゃん。お風呂に入る?」
「み~」
だそうだよ。
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