第26話 ボスドロップ
ファラオのドロップは防御力1とステータス移動+1、それに強化可能タグの付いたバンテージソックス。攻撃力126でHPが低いほどダメージ上昇の効果が付いたオシリスの宝剣。防御力12のオシリスのリング。防御力104のイシスのレザーアーマー。防御力21・魔法ダメージ軽減5%イシスのローブ。それに120万ゴールドである。
オシリスの宝剣はデストラクションを使ってHP1で戦う俺にとってはうってつけの装備だ。しかし祝福されたリバイバルストーンは高いから、普段から使えるわけではない。それでも、これからは力にステータスを振ってい俺でも剣で火力を出すことができるようになるほど強力なものだった。。
バンテージソックスはリカ、イシスのレザーアーマーはモーレット、オシリスのリングとイシスのローブはクレアに装備させることにした。
宝物庫の中の宝箱にアンロックのスキルを使うと、宝箱は簡単に開いた。中にはメシの実とノミの竹、それに種が入っていた。スクロール類がぎっしりと詰め込まれているものも一つあった。全て持つことは出来そうになかったので、ほとんどキャリードッグに持たせた。
錆びた鎧や錆びた剣、それに崩れ落ちた装飾品などは、金になりそうもなかったから、宝石類と貴金属だけを拾って持ち帰ることにした。
帰り際に行き止まりだった最奥の部屋から咆哮が聞こえたので、そこにいたゾンビロードも倒しておいた。ドロップに祝福された強化ストーン三個とボーンアーマーが含まれていた。ボーンアーマーは俺用の装備でそこそこの性能だが、見た目がなんとも気に入らない。たいして強くもないから売ってしまえばいい。
祝福された強化ストーンをオシリスの宝剣に使うと、三つ目でやっと+1に強化された。武器を強化するのは確率が悪いみたいだ。
「さて、もう終わりだろうし帰ろうぜ」
「帰ったら、このメシの実でパーティーをしましょうよ」
「いいわね」
クレアとアイリがそんな話で盛り上がっている。俺は残業に追われる肉体労働者みたいに疲れ果てていたので、そんな気分にはならない。
俺たちはリコールスクロールを破いて王都まで帰り、アイリのテレポートでギルドハウスまで帰った。俺は風呂に入るとすぐさまベッドに入り込んだ。
帰ってきたのは夕方ごろで、俺が起きたのは昼頃だった。
ニャコはパーティーに参加していたので、俺は一人で寝ている。だから、やることを済ませようと掃除をしていた彼女を連れてきてベッドの中に引っ張り込んだ。事が済んだ頃になってクレアが部屋のドアをノックした。
俺は急いで服を着て、ニャコにも服を着せた。
「昼間から不健全だわ」
汗をかいている俺とニャコを見て、クレアは顔を赤くした。
「な、何にもしてねえよ。それより何の用だ」
「これからのことはどうするのかって、まだ聞いてなかったから」
「家もあるし、食べ物も沢山手に入ったんだから、しばらくは休みにしようぜ」
「そう。あとアイスクイーンの部屋に行列ができていたそうよ」
「ボス沸きを待ってるのか」
「そうらしいわ。貴方とアイリが落ちた穴から簡単に行けるようになって、みんな部屋の前で待っているそうよ」
俺たちが地下迷宮にいる間にそんなことになっていたようだ。
アイスクイーンを倒したら、集まっていたみんなで敵を倒しながら帰るのだろうか。ボスは対策さえ立てられたら安定して倒せるし、アイスクイーンはそんなに強敵じゃない。だからそんなことになっているのだろう。
話が広まってしまえば、通いやすいところはそうなってしまう事になる。俺たちが定期的に倒せそうなのは、女王蟻とゾンビロードくらいしかないようだ。それもリカが様子見を嫌がらなかったらである。
リビングで飯を食べていたら、アイリがやってきた。
「ねえ、今回のお金の配分はどうなっているの」
そんなことを言い出したアイリに俺はピンと来るものがあった。
「また変なペットを飼うつもりだな」
「別にいいじゃない。みんなの寂しさも紛らわせるでしょ」
「寂しいのかよ」
「寂しいわよ」
そんな風にはっきり言われると、線の細い体でこんな状況に放り込まれているアイリが気の毒になった。戦ったり冒険したりなんて、きっとアイリは好きじゃないだろう。
「だったら美少年の奴隷でも買って来いよ。安いらしいぞ。そういうの好きだろ」
冗談でそう言った俺に対して、アイリは目を吊り上げる。
「私は美少年なんて好きじゃないわ。私は貴方のことが好きなのよ」
「まだそんなこと言ってるんだな」
「私もこんな男を好きになるなんて間違ってると思うわ。だ、だけど……だけど一緒にいると癒されるような気持になるの。おかしいわよね」
そんなことを面と向かって言われると、俺は何と答えていいのかわからない。
それで恥ずかしくなったのかアイリは逃げるように消えていった。入れ替わるようにしてリカがやってくる。
「今度はお前か」
リカは?というような顔をして、俺の前に金の入った袋を置いた。開けてみると250万ゴールドほど入っている。
「どうしたんだよ、これ」
「今までの商売で貯まったお金」
錬金、鍛冶、裁縫、ドロップの販売などで稼いだお金ということだろう。これで俺がプールしているお金を合わせれば600万ゴールド以上あることになる。
「作ったやつも売れてたんだな」
「そうね」
「いま何か必要なものあるか」
「多分ない」
「じゃあ、みんなに100万ずつ配ってくれ。それとアイリに経験値を吸うペットはやめるように釘を刺しといてくれよ。あとドロップのボーンアーマーは売っぱらってくれ」
リカにそう言い渡してからしばらくすると、案の定クレアとアイリが連れだってギルドハウスから出て行った。どんなペットを買ってくるか不安でしょうがない。ダイアはもうランク29になって、虎やライオン以上の風格を備えている。
家の中で出くわすと、ぎょっとさせられるくらいまで育っている。
そのあとでのんびりとしていたら、今度はワカナとリカがテレビを見にやってくる。
「コシロも薪拾いにでも行って来たら」
その言葉の意味が分からないでいたら、ワカナが説明してくれる。
「暖炉で燃やしてる薪のことだよ。森に落ちてるから冬になる前に拾ってこなきゃダメなんだよ」
「このゲームには冬もあんのかよ。確かに寒くなってきた気がするな」
「きっとコートのようなものが売れる」
召喚されてきた奴らは、フィールドで狩りをしている者が多い。だからコートなんてあれば確実に売れるだろう。
「雪山にでも行けば暖かい毛皮が手に入るかもしれないな。それでコートかクロークでも作って売ってみようぜ。クマとか狼の毛皮でさ」
「ディカ村の近くで高級な毛皮が取れるって図書館で読んだよ。そこに行ってみようよ」
「だけど、そんなのフルパーティーで行く必要があるのか。リカとワカナで行って来いよ。あとモーレットでもいたら熊くらい倒せるだろ」
「モンスターもきっといる」
「どちらにしても様子を見てきてからじゃないのか」
俺がそう言ったらリカはあからさまに嫌そうな顔をした。嫌だとか言い出さないように追い打ちをかけておく。
「コールで呼べるんだし、お前が行くしかないんだよ。場所が決まったらアイリにテレポート出来るようにさせておけよな」
リカは納得できないような顔をしながらギルドハウスから出て行った。まずはワカナの言うディカ村とかいうのを探さなきゃならないはずだ。狩りに行けば走り回らされ、下見だ買い物だと走り回らされるのだから大変だ。
俺は何か面白いものはないかと、チェストに放り込みっぱなしにしておいたファラオの宝物庫にあったものを調べた。
ベーグルやらビビンバやらと海外色の強い食べ物の実が沢山ある。それにしても肉や果物がやたらと多い。海外では果物がデザート扱いなのだろうか。肉もハムやソーセージ、ベーコンなどがほとんどだ。米がついてないから、これだけをメインで毎日食べるのは日本人には無理だろう。
山のようにある白米や日の丸弁当と一緒に食べればちょうどいい。
アイスクリームストロベリーパフェなるものを見つけたので、これを食べながらテレビでも見ようとワカナの隣に座った。
「それ、みんなが食べたがってたやつだよ」
「そんなの早い者勝ちだろ。これだけの大家族でのろまな奴に食い物なんか残ってるかよ。ワカナもぼんやりしてないで、生き馬の目を抜く世間の厳しさに耐えられるようにならないとな。どうせもとの世界でも一人っ子だったんだろ」
「ユウサク君はどんな世界でもやっていけそうだもんね」
「まあな」
「ユウサク、いいものが出来たぞー」
モーレットが手甲のようなものを持ってきたので、どれどれと鑑定してみるとジャイアントクイーンシェルグローブとある。魔法抵抗はないのでモーレット向きの装備だろう。
「お前の装備だな。宝石類を使うものは出来ないのか」
「これにも宝石は使ってるぜ」
「そうなのか。ならアクセサリーは錬金か何かで作るのかな」
「アイリは錬金でスクロールが作れるようになったって言ってたよ。だからアクセサリーは違うんじゃないのかな」
「それじゃ宝石を持ってアクセサリーショップにでも行ってみるか」
俺はチェストの中から、宝石と貴金属を全部出した。ワカナとモーレットもついてくるというので一緒に市場通りまで行った。
色々なアクセサリーを展示している店は簡単に見つかった。その店のテーブルに宝石と貴金属を並べる。貴金属の方は宝物庫の中に飾ってあった花瓶やら食器やらのなかで輝きのあるものだけを持ってきたものだ。
銀だと思っていた花瓶や食器を見せると、これはミスリルやプラチナだぞと店の親父が言った。
「貴金属と宝石を合わせたら、アクセサリーにできる。どんなもんが欲しいんだ。職業を言ってみな」
「騎士、魔導士、魔銃士、魔剣士、忍者、それと聖職者です」
とワカナが言った。
「ミスリルやプラチナは効果の高いものが作れる。だけど、そんなに作るならこういう腕輪は無理だぜ。量が足りない。細い奴にするしかないだろうな。金や銀でも作れるが効果は小さい」
店の親父はガムテープの芯のような太い腕輪を見せて言った。俺は細い奴でいいと言って、作ってほしいものを告げる。
「そうですね、まず防御力の上がるもの、遠距離攻撃力の上がるもの、MPの最大値か回復のあがるもの、回避率の上がるものを、指輪とリングでお願いします」
店の親父はいいだろうと言って請け負った。
「持ってきたものだけじゃちょっと足りないな。余った宝石類と金や銀は買取らせてもらっていいか。その分だけ安くなる」
「イヤリングはどうですか」
「ここにある宝石じゃ作れない。あれは高級品だぞ」
ということなので、それでいいと告げた。それっきり店の親父はカンカンやり始めたので、俺たちは暇をつぶすために商品を見て回る。
どうやら宝石にも上質や最高級などのランクがあるらしい。確かに、宝物庫の中でも最高級と付いているものはあった。展示品でも、効果の大きいものは宝石の輝き方が違う。
最高級でもそれほど効果があるわけじゃないので、アクセサリーは形だけ揃っていればいいだろう。そんなに無理して揃えるようなものでもなさそうだ。
逆にアクセサリーまで装備がそろっていると、盗賊などからカモとして狙われる目印になる可能性があるように思える。
しかしイヤリングはステータスを+1してくれるものが売られているので、いつかは買いたいところだ。これだけはかなり重要ではないかという気がする。しかし最高級の宝石がドロップしたところなど、まだ見たことがない。
「この信仰のイヤリングは私用だよね」
ワカナがそう言って指さしたイヤリングには180万ゴールドと表示されていた。
「だけど、すさまじい値段だな。そのうちボスあたりが落とすから、買わなくてもいいだろ」
「そうだよね。私はこのネックレスの方が欲しいかな」
ダイアモンドの入った召喚のネックレスで、あまり趣味のいいものではない。
「やっぱりワカナはセンスが悪いな。あんまり似合わないと思うぜ」
俺の言葉にワカナは青筋を浮かべた。
「ど、どういうことなの」
「アタシには、これが似合うと思わねーか」
「いや、そういうゴージャスなのは違うだろ」
「じゃあ、これはどーだ」
「どうしてそれで、骸骨のついた指輪になるんだよ。全然似合わないぞ」
モーレットにはもっとシンプルなものの方が似合うと思う。それにしても、商品を見ているだけなのに二人の機嫌が悪くなってきた。
じゃあどんなのが似合うんだとモーレットに言われたので、イメージに合うものを選んだら二人ともそれを買った。
モーレットは攻撃に弱毒を付与するエンチャントポインズンのスキルを使用できるようになるもので、ワカナのはデスペルを使えるようにするものだった。
モーレットの武器では毒を付与できないし、ワカナはもともと使える魔法である。まったく意味はないのに買うとか意味が分からない。
俺は剣の重さを少しでも軽くできるように、所持重量を増加させるネックレスを買った。ドロップアイテムは俺が持つことがほとんどだし前から欲しかったのだ。これは俺の金ではなくギルドの金で買った。
そんなことをしている間に店の親父はアクセサリーを作り終えたらしく、俺たちは出来たものを受け取ってギルドハウスに帰った。
帰る途中でワカナが食器を買いたいというので、それを買って帰った。メシの実に入っているものを取り分けるためだという。確かに、さっき俺が食べたパフェなどもでかすぎて、一人分という感じではなかった。途中で食べるのが辛くなるくらいの量があったのだ。
アイスの量も多かったから、明日あたり腹が痛くなる運命にあるのは確定している。
「これからはちゃんと時間を決めて食事にしようね。あんな食べ方しちゃだめだよ」
「そうだよなー。みんな好き勝手な時間に食べるからつまんねーんだ」
ギルドハウスに帰っても、クレアたちは帰ってきていなかった。俺はニャコとワカナに挟まれながらテレビを見ていた。
確かに寒くなってきたような気がする。暖炉に薪を入れて火をつけた。薪は自動で補充されるのかと思っていたが、森に行って取ってこないといけないらしいから、使うのも躊躇してしまう。
森で薪が落ちてるということはなかったから、きっと採取するアイテムが必要なのだろう。
「だから私は言ってやったのです。そんな細い尻尾じゃネズミも怖がらないぜとね。そしたら奴は戦いもせず尻尾を巻いて逃げていきましたよ」
どうやらアイリはケットシーを買ったらしい。しかも喋るのかよと思っていたら、腰のベルトにレイピアまで差している。
見た目はギネス級に大きい猫と言った感じだ。
アイリはケットシーを連れて俺たちの前までやってきた。
「どうも皆さん。今日からアイリ様の警護をさせていただくことになったケットシーです。以後、お見知りおきを」
武闘大会で優勝したアイリ相手に、ランク1の猫が護衛も何もないもんだ。
「名前は」
「名前はまだないのです。アイリ様、レオなんて名前がいいと私は思うのですがどうでしょうか。ライオンを意味する言葉です」
「ちくわがいいんじゃないか。色がそっくりだぜ」
「この失礼な男は斬り捨ててもよろしいので?」
「無神経なのよ。許してあげて」
「うわー、かわいいね」
そう言われながらワカナに撫でられて、この猫はまんざらでもなさそうな様子である。
「ステータスを見せてみろよ」
俺がアイリにそう言うと、アイリはケットシーのステータスウインドウを開いて見せてくれた。
力に4、移動に2振った魔法戦士であるらしかった。ヒットアンドウエイ戦術を使う想定のステータス振りであるようだ。なかなか考えられている。
「アルクなんて名前はどうかしら。虹という意味よ」
「いいでしょう。今日からはアルクを名乗ります」
口だけ勇ましい猫はアイリに抱きかかえられて二階に上がって行った。あいつまで経験値を吸い始めたらクレアに続いて、アイリまでランクが遅れ始める。だけど寂しいと言っていたアイリに強く言うのは気が引けた。
この後でクレアの買ってきたペガサスを見たが、そっちの方は経験値などいらなそうなので良かった。無邪気に空を飛んでいた。
そのあとでリカから連絡が入ったので、モーレットにマチェットを作らせた。それが出来上がるころになって、俺たちは林の中に召喚された。
リカがエンフォースコールオールを使ったらしい。俺たちはパーティーを組んだ状態で強制的に飛ばされて、目の前にはオウルベアと表示されたでっかいフクロウがいる。
俺は急いで魔剣を取り出したが、盾と剣を取り出さなければならないクレアが手間取っている。
「クレア、最悪、剣だけでもいいぞ」
「だ、大丈夫」
迫りくるオウルベアにクレアのメイヘムが入った。一応ボスのようだが、大したことのない相手で簡単に勝つことができた。ベアとあるのになぜか顔がフクロウだったし、毛皮のドロップはなかった。
後ろを振り返ったら、アイリの太ももにドキリとさせられた。部屋にいたからいつもの装備ではなくショートパンツを履いている。
「それで、ここはどこなんだ」
「ディカの村のすぐ近く。この山を登ったところに出る熊が最高級の毛皮になるって」
「なるほどな。そんじゃもうちょっと上のほうまで行ってみるか」
「この山はテレポート不可らしいけどいいの」
「マジかよ。それじゃ帰れなくなるな」
「山小屋を借りてある」
「じゃあ、そこまで行ってみるか。暗くなる前に帰れそうなら帰ろう。本当に道もないんだな」
俺たちは藪をかき分けるようにして山を登ったが、出てくる敵は弱くて数も少ない。ワイルドベアとウインターウルフしか出てこない。どちらも上質な革と毛皮を落としてくれる。
何故かワイルドベアに対して、モーレットの銃は威力が大きくなっている。ハンティングの獲物という設定なのだろうか。
山小屋に着いたら、もう山を下り始めないと帰れなくなりそうな時間になっていた。
「それじゃ、モーレットとワカナとリカだけ残ってやってくれないか」
「えー、どうしてアタシなんだよー」
「銃を使えるんだからしょうがないだろ。リカはモーレットが作ったマチェットを使ってくれ」
「それだと切れ味が悪い」
「剣で藪を切り開くと、枝がとがって転んだ時に怪我するだろ。これは枝を叩き折るものだ」
「なるほど」
「そんじゃ、三人を残して俺たちは山を下りようぜ。早くしないと暗くなる。ボスが出たらさっきみたいに呼んでくれよ」
「市場で買い物をする役はコシロがやってくれるの」
「ああ、販売用のコンパニオンはどうしたらいい」
「レベルが上がってるから売れるものも増えたし、しばらくはいじらなくて大丈夫」
「そうか。帰りはアイリを呼んでテレポートで帰って来いよ」
「わかってる」
俺とクレアとアイリは山を下りた。崖が多くて、かなり険しい山だ。しかも標高のせいか肌寒いでは済まないほど風が冷たい。
「お風呂に入ってるときは呼ばないように、リカに言っておかないとね」
とクレアがアイリに言った。
「そうね。いきなりだから驚いたわ」
「ボスが出れば、そんなの関係ないと思うぜ。リカなんか敵に捕まったらそれで終わりなんだ」
「困るわ。どうすればいいのよ」
「リカが出歩かない夜に入ればいいだろ。それ以外の時は常に戦場にいるつもりでいるんだぞ」
「偉そうに、嫌な男だわ」
麓に降りることには本当に暗くなっていた。そこからテレポートでギルドハウスに帰った。
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