第二十一話 大魔王を蹂躙する!

 「やっと、ついたか......」


  彼らを導くレッドカーペットは役目を終えた。

  彼らの前に、入り口よりも大きな扉が現れた。

  それこそ、大魔王ペソがいる王室である。


 「結構長く歩いた感じがするな......」


 アシュリーは腕を上に伸ばした。


 「かなりの強い生体反応......これはペソので間違いないはずだ」


 ロボットは頭の部分に付いてある、目の役割を果たしているんであろうカメラの筒を伸ばしながら言った。

 黒幕さんは、ネクタイを整えている。


 「さあて、遂にこの時が来たわね......」


 エドナは震えている右手を左手で押さえながら、少しずつ扉に近づいていく。

 そして、彼女は扉を思いっきり開けた。


 その扉を開けると、荘厳な雰囲気が漂った王室が見える。

 そして向こうには、大魔王ペソが、禍々しい椅子に座っていた。


 「レベル6か.....なんとか倒せそうだ」


 デリックが言った。


 「やあ......地獄へ落としにきたわ」


 エドナは黄色い目をペソに向けた。


 「やはり来たか......」


 ペソはあこのような事態を予測していたようだ。


 「にしても、あの広い建物なのにあるのは一本の廊下......お前の建築センスを疑うよ」

 「あれは貴様らを導くために魔術をかけていた。貴様らを冥界に導くためにな......」

 「行くのはどっちなのやら」


 エドナはペソをバカにするかのように鼻で笑う。


 「ま、そんなことより早速始めようか? この戦いを」


 彼女はそういうと、天使の様な純白の翼が背中から出てきた。

 それと同時に、彼女は両手を天獣手に変えた。


 ペソは椅子から立ち上がり、横に刺してあった剣を抜き取った。


 「貴様ら全員、かかってくるがいい!!」


 ペソは戦闘開始の合図を出すようにエドナ達に向かって叫んだ。

 彼らはペソに攻撃を開始した。


 「気砲!!」


 彼女は天獣手から気砲を発射すると、ペソはそれを剣でガードする。

 その剣を振り上げ反撃を試みようとするが、エドナは素早く、かわされる。


 ペソは標的を変え、アシュリーに剣を振り下ろした。


 「おっと危ない」


 アシュリーは咄嗟に剣を抜刀し、その攻撃を横に受け流した。

 彼は一旦鞘に納めた直後、再び抜刀し、ペソの剣を持っている右腕を鎧ごと切り裂いた。


 「ぐわあああ!!」


 ペソは切られた右腕を持ちながら叫んだ。

 彼は残った左手で剣を拾おうとするが、その剣はどす黒い物体に飲み込まれてしまった。


 「すまんな。俺の『影』が食べたいとわがままを言っていたからな」


 その物体の正体は黒幕さんの影だった。


 「ぐ......!!」


 ペソは手からエネルギー波を発射しようとするが、ペソの方向に飛んできたミサイルによって阻まれた。

 そのミサイルの発射元は、デリックが操るロボットだ。

 彼が怯んでいる隙に、エドナが天獣手で足を切り、立てないようにする。


 「ぐおお......!」


 ペソが地に膝をつけた。

 鎧はボロボロになっておりもはや戦えるような状態じゃないのは誰が見ても明らかだ。


 エドナがペソの前に降りてきた。


 「どう、人類に蹂躙される気持ちは?」


 エドナは彼を見下すかのように冷笑した。


 「やっぱり、あの人がいなくても普通に倒せるわね。役員は過大評価をしていたわ」


 エドナはそう言うと、右手を跪いているペソにかざした。


 「終わりだ。最後はありったけの気砲を浴びせてやる」


 そう言って彼女がエネルギーをチャージし始めると、ペソは微かに笑いだした。


 「どうした? 気が狂ったか?」


 エドナが勝ち誇った様子でペソにその笑いについて問いかける。


 「いや......それで勝った気になっている貴様らが哀れでな......」

 「何?」


 すると、ペソの鎧の間からが光がでてきた。


 「......やっぱり、こんな上手くいく訳がなかったんだ......」


 アシュリーが予想していたことが起きようとしている。


 「来る......あいつの第二形態が!!」


 ※ ※ ※


 ペソとの戦いが少し前......


 一台のリムジンが、E村の森林の入り口に止まった。

 一人の運転役の執事が降りると、後部座席のドアを開けた。


 「着きましたよ、お嬢様」

 「ご苦労だったな、あき


 一人の女性が降りてきた。

 白で統一されたスカートの丈が短いドレスに、これまた白い髪の女性。


 「ここに、あのペソとかいうやつの城があるのね?」

 「そうでございます」

 「じゃあ、帰りもお願いね」

 「かしこまりました」


 執事は丁寧にお辞儀おした。


 「......大魔王ペソ、あなたは私を楽しませることができるのかしら?」

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