7日目 夜 約束
「バレてしまったのならしょうがない。八津芽はやるよ」
「え!?」
意外な返答だった。
「こうしてバレてしまったのなら諦めるしかないだろ。やるとしたら君はどんな手を使ってでも止めにくるだろ」
「当然です!」
殺人犯を放って置くわけにはいかないだろ!
「だったらやらない。さてどうする? 君は僕を通報するのか? まだ誰も殺していないし、殺人を企てたという証拠もない。もし通報したってまともに相手には……」
「しませんよ」
「へぇ……どうして?」
「貴方は頭がいいです。もし殺人犯しても死体を絶対に見つからないような方法を使って逮捕を逃れるでしょう」
「そうかもね」
当然している。だったら2年以上も見つからないはずがない。
「もし俺が通報して逮捕された後、貴方は俺達を恨んで何かしでかすんじゃないかと不安なところもありますから」
おそらく殺しに来るだろう。この男は。
殺人を犯す人は危険だ。むやみに刺激しないほうがいいだろう。
「う~ん……そうするかもね。もう遅いから僕はもう帰るよ」
「1つ約束してください」
俺は帰ろうとする賭針さんの前に立ちはだかった。
「自分の研究のために殺人はしない、って」
これはタイムリープした俺だからこそ言える事だと思う。
『自分の研究の為』というあまりにも身勝手な理由で殺された湊都。
その残酷な未来から救って欲しいという願いから勝手にタイムリープさせられた俺。こんな事、もう誰にも起こって欲しくない。
「……わかったよ。人間を解剖するのは後の楽しみとしてとっておくよ。それでいいだろ」
「本当に約束してくれますね?」
「もちろんだ。もう僕は君達の邪魔もしない。じゃあね」
賭針さんはそう言って帰って行った。
話す事に夢中だった為か、夜風がすごく冷たく感じた。
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