第2話 全力で巫山戯ろ!

 第一話 ロケットもどきパンチ


「ところでこの義手、ロケットパンチとか出来ない?」

 山岡が自身の左腕に装着された義手の具合を確認しながらエッツェルに向けて尋ねる。

「出来るぞ、手首のボタンを長押ししてみろ」

 言われた通りに見ると確かに小さなボタンがついている。

「ポチッとな……おおお何かブースター出てきた!?」

 肘の辺りから小型のジェットブースターが出現し、不覚にも山岡の心は踊った。

 いくつになってもこういうロマンは好きなのだ。

「因みにジョイントを外す機構はついてないぞ」

「へ?」

 エッツェルがとんでもない事を呟いた直後、ボッ! とブースターに火が着き、そして……ゴオオオオオッとブースターが燃え盛った。

「熱い! 熱い! 噴射炎がモロに脇腹に!」

「よし発射!」

「いやちょっ!」

 義手の勢いに負けて体勢を崩してしまった。

 ガリガリガリとその体勢のまま、山岡が地面を引き摺られながら前に進む。

 そしてドォーン! と派手に壁にぶつかって止まった。

「うん、大成功だな!」


 ――――――――――


 第二話 M字開脚


 山岡が言う。

「えぇー、突然ですが。更新が遅れます。週一話を目標にしていましたが作者の仕事の都合で遅れます」

 ズザザー! と山岡がダイナミック土下座する。

「待っておられる人ごめんなさい! いなくてもごめんなさい! 十日以内には更新しますので!」

 ガバッと勢いよく立ち上がる。

「ふざけんなクソが! 待てるかボケ! って思っておられる方、お詫びに脱ぎます! 後藤が!」

「(ガタッ」

 後方で後藤が反応した。

「待てない人は更新まで脱いだ後藤を想像してお待ち下さい」

 モゾモゾと後藤が服を脱ぎ始めた。

 山岡はスタコラサッサと場を放棄して逃げる。

 シュピーン!! と後藤が全裸でM字開脚した。


 ――――――――――


 第三話 逆転しない裁判


「これより、山岡泰知の裁判を始める」

 カンカンと静流が木槌で机を叩いた。

「弁護側、準備出来ています」

 と若宮が。

「検察側、準備出来ています」

 反対側に立つエンジェルも準備良しだ。

「まってこれどういうこと?」

 唯一被告人席に立つ山岡だけが状況についていけてない。

 そんな山岡に裁判長の静流が説明を行う。

「被告人山岡泰知は、前回後藤を全裸にして公衆の面前に晒した『猥褻物後藤陳列罪』の罪が掛けられています」

「ちょっとまって! それすごく誤解を生む言い方!」

 木槌を強く叩いて山岡の主張を黙らせる。

「静粛に、検察側は何かありますか?」

「検察側は山岡泰知に懲役六年を求刑します」

「地味に生々しい!」

「待った!! 弁護側はその刑罰に異を唱える!」

「若宮!! やっぱり弁護士は頼りになる!」

 パアと光が射すかのように山岡の顔が晴れ渡っていく。

「弁護側、どうぞ」

「弁護側は山岡泰知に、死刑を希望します!」

「お前弁護する気ないだろ!!」

 味方は何処にもいなかった。


 ――――――――――


 第四話 魔法少女後藤!


《告知》「魔法少女後藤! 第二話」

 私後藤大吾20歳! どこにでもいる女子小学生、ちょっと筋肉質なのと、髭が生える事が悩みかな♡

 ある日学校の帰り道に黒服を着た怪しげな男の人達と出会ったの。

 私とっても怖かったけど、一生懸命戦ったわ、そしたら私魔法少女に変身しちゃった!

 この力を授かった理由はわからないけど、早速大好きな男の子の心を魔法でいじくって私にメロメロにしちゃった、テへ!

 よおし、恋に魔法少女に頑張るぞ!


 次回、魔法少女後藤 第2話「街を破壊して街の平和を守れ!」


 ――――――――――


 第五話 霧の街で


 熊木宗四郎は霧の濃い夜の街を歩いていた。

 霧の中で薄らぼんやり光る街灯を頼りに人気のない道を静かに歩く。

 トレンチコートの襟を立てて寒気に耐える。吐く息が白い。

「今日は一段と冷える」

 虚空に向けて呟く。ふと霧の中でネオンが輝く看板が目についた。

 そこには《BAR》の三文字があった。

「一杯……ひっかけていくか」

 BARは地下にあるようだ。階段をゆっくり降り、その先の木製の扉を開けて中に入った。

 中はアンティークな造りの洒落た雰囲気だった。他に客は見当たらない、もうすぐ閉店時間だからだろうか。

 カウンターに座るとバーテンダーが前に立った。まだ若い。

「今日は一段と冷えますね」

 さっき同じ事を言った。

「ご注文はお決まりですか?」

 熊木は指をピンと立てて答える。

「マスター……いつものを頼む」

「お客さん今日が初めての来店ですよね?」

 全くその通りである。

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