第6話 友人達と過ごすG.W.
栃折早敏現部長から秘密裏に私のメールアドレスの入手と栃折早敏現部長
に関する心象調査を依頼された友人の藤縄正は、いつものことなので躊躇
するどころか、秘密裏にというところにつけ込んで報酬の上乗せを要求し
ました。栃折早敏現部長は、ポケットマネーから支払うのではなく、会社
の経費で落としているので、理由が付けばよいわけで、架空の協力者をで
っち上げることで、上乗せに応じました。友人の藤縄正は、報酬の上乗せ
を獲得したことを自慢しながら、野口一成、渡辺純夫に対して協力を依頼
しました。野口一成も渡辺純夫も心得たもので、報酬の上乗せを褒め上げ
ながら、協力を快諾しました。しかし、各人のゴールデンウィークの予定
が会わず、どうにか後半で調整ができました。秘密裏にということなので、
私を誘い出す、理由や話題の対象等々について打ち合わせを行いました。
2000年のゴールデンウィークに、私は藤縄正から、屋外バーベキュー
に誘われました。渡辺純夫夫妻、野口一成夫妻も呼ばれているというとこ
でした。屋外バーベキューなどをこのメンバーで行うことは、過去になく、
違和感を感じながらも、一体何の調査だろうかと、好奇心に任せて、再会
を承諾しました。もちろん、前にも、後にも、このような誘いはありませ
ん。再会直後は、昔話などしていましたが、3人は事前に打ち合わせてあ
るとうり、PC、デジカメ、インターネット、メール等に関する話をして、
私の関心を捉えて、メールアドレスの入手を試みました。私は、”オンラ
インとオフラインは分けられるべきだ”というポリシーがあります。つま
り、私はメールアドレスをオフラインで連絡がとれる人間には教えません。
オフラインでは連絡する手段が無く、オンラインでのみ連絡を取る場合に、
メールアドレスを教えるということです。このため、私のメールアドレス
を盗み出すのは意外に困難なことなのです。そして、動向調査のためには
連絡を取りにくくする必要性から、話には無関心を装い、メールアドレス
は渡しませんでした。つまり、友人達が調査を依頼されたとき以外には、
連絡を取らないように仕向けるためでした。そのほか栃折早敏現部長の心
象も聞き出そうとするが、以前、私はに適当にはぐらかしました。これも
事前に打ち合わせておいたことなのですが、野口一成が帰宅する際に私を
そろそろ帰らないかと誘われ帰宅しました。藤縄正と渡辺純夫が、私が家路
に着いた後で、メールアドレスの入手に失敗したこと、栃折早敏現部長に
関する心象をどのように報告するかについて、意見をまとめるには私が邪
魔だから、先に帰宅させるためでした。藤縄正は、メールアドレスの入手
に失敗したことから、報酬の上乗せは断念し、栃折早敏現部長を喜ばせる
ために、心象はよいとでっち上げを行うことでまとまりました。藤縄正は
報酬の上乗せに未練を示すと、渡辺純夫が次の機会もあるし、秘密が発覚
するより良いと慰めました。藤縄正はそれを聞いて納得し、栃折和宏現部長
に電話をしました。メールでも良いのですが、栃折早敏現部長から可能な
ら電話で報告するように要求されていました。なるべく証拠が残らないよ
うにするための配慮でした。藤縄正はメールアドレスの入手に失敗した経
緯を「彼はメール嫌いであり、どうしてもメールアドレスを教えてくれな
い」と説明しました。栃折早敏現部長は落胆しました。そこで友人藤縄正
はでっち上げの栃折早敏現部長の心象を「嫌っているということはなく、
実績を評価している」とでっち上げを伝えて、機嫌をうかがいました。栃
折早敏現部長はその心象に満足し、事前打ち合わせどうりの報酬の上乗せ
も認めました。藤縄正は「いいのですか?悪いですねぇ、次は任せてくだ
さい。」などと軽口をたたきながら、渡辺純夫に笑顔でVサインを送りまし
た。渡辺純夫はキョトンとしていましたが、すぐに意味を理解して、ガッツ
ポーズをしました。これを見ていた夫人たちは厭な顔をしました。
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