優と彩

みずのことは

第1話 フラッシュドライブ



土曜日 午後2時30分


 蛍光灯の無機質な青白い明かりが照らしだすサブフロワァーにある通路を、“コツ、コツ” と足音を響かせながら、いつもの部屋に向っていた。


 時々その蛍光灯が “ジィッ、ジィッ、” と不規則なリズムで音を立てている。


 ここに来てからの約三年間、自分がやりたい事を、好き放題にやって来た。でも、今日の会議が終れば、もうその様な生活が終るかもしれないという事も、それなりに理解している。


 「でも、、、終わりだなんて、そんなの最悪だ。」と独り言をつぶやいてみるが、その反面、“元々選択なんて、できないのだから、成る様にしか成らない” とゆうような諦めと悟りにも似た気持ちもある。



 “まだ誰も来て無いだろう” と思いながら入った部屋は、既に会議の為の準備が終っていて、先輩は何時もの様に、しわ1つないパリッとした白い制服のシャツで、マーカーボードの前に用意された椅子に姿勢良く座り、ファイルを読んでいる。そして、そのボードには、先輩の読み易い字で、“この世の終わり” と赤い字で書かれてある。

 

 ただ昨日と違うのは、彼女の腰まであった綺麗な長い髪が、肩に届かないくらいに短く、ボブに切られている事だ。

 

 俺は落着かない気持ちを隠しながら、

「準備ありがとう御座います、何時もながら、早いですね、先輩。それと、その髪型、凄く似合いますよ。」と少しオドケタ声で言うと、


 「ありがとう、、、私にできるのは、これくらいですから。」と言葉短く返事をして、その目を伏せる。


 ”何だ、機嫌が悪いのか?” と思いながら、俺は彼女の横に用意された椅子に座り、鞄からファイルや文具等を取り出していると、先輩は静かな声で、


 「例の計画の事ですが、私はかまいませんよ。それと、他のメンバにも、できるだけ早く、話した方が良いと思います。あと、あの事も、、、」と静かに言うので、


 俺は、先輩の指先にそっとふれ、

「先輩、もう少しの間なので、もうちょっとだけ、我慢して下さい。」とささやくと、


 「我慢も何も、私がこうしたいから、こうやっているだけですから。」と答える。


 俺は先輩のその言葉をもう一度確認するかの様に、

「ありがとう。そうですね、わかりました。あの事も本来なら隠す事ではないですかすから、その時が来たらちゃんと話しましょう。でも、本当に、いいんですね?」と聞き返すと、


 「いいんです、私も本気ですから、それに、身体の調子も随分良いですし、これ以上待ちたくありませんから。それよりも、時間があまり長くは残ってない様ですから、、、貴方の言う通り、その時だと思っています。」と感情を押し隠すかの様に無表情な声で答える。



 その会話の後、壁に掛かった時計の秒針の音の中、無言でファイルに目を通していると、部屋の外から、数人の話し合う声が聞こえてきた。


 「あんまりにも、課題が難しすぎるわ、昨日の今日じゃ、そう簡単には、考えがまとまれへんで!」


 「それでも、私達は、やれる事を、やるべきよ。」


 「でも、今日と明日しかないんだぜ。俺達に何ができるよ?後の事は、あの2人に任せて、帰ろうぜ!」


 「でも、帰ってどうするの?」




土曜日 午後3時


 「彼らが動揺するのも、無理はないです。俺達が知らされたのも一昨日だし、彼らに伝えたのは、昨日だから。」と言うと、


 先輩は無言で立ち上がり、ドアを開いて、

「時間がないので、手短に会議を終らせようと思っています。皆さん、静かに席に着いて下さい。」と何時もの様な事務的な声。


 そして、彼らが席に着いた事を確認した先輩は、

「まず、本題に入る前に、昨日お話ししました、この企画の事ですが、ある監督と映画会社が政府を通して、学校に依頼してきた事ですので、強制ではありません。ですから、気乗りがしない方は、辞退されてもかまいません。いいですね?では、説明は、副部長からしてもらいます。」と言った。



 俺は立ち上がり、少し低い声で、

「えっ、それでは本題に入ります。求められている課題ですが、“今を生きている若者が、’もし、あと一日で、この世が終わります’ と告げられた時、残された時間をどの様に過ごしますか?何をしたいですか?それを、映像にして下さい。” です。


 デジカメ、携帯、パソコン、もし必要であれば、ここの機材を使ってもかまいません。録画の方法はデジタルなら何を使ってもかまわないとの事です。


 それと、音声の有無、映像の編集も自由ですが、作品は五分以内におさめて下さい。そして、それをフラッシュドライブにコピーして、月曜日に提出して下さい、以上。後の事は、部長からお願いします。」


 先輩は、

「ありがとう。」と言って立ち上がり、


 「来週の月曜日は臨時休校ですが、視聴室を使える様に手配しておきましたので、この企画に参加する人は、午前十時に集まって下さい。それと、私服登校と飲食の許可も取って有りますので、好きな服を着て、飲み物やスナック等、自由に持ち込んでもかまいません。


 あと、その集まりで、この仕事も終わりにしたいと思っていますので、その日、次の部長と副部長を任命します。作品の試写会と、、、皆さんとのお別れパーティです。

 

 もう1つ、機材ロッカーの鍵は開けておきますので、好きな様に使って下さい。」と言った。


 そして、先輩は眼鏡をゆっくりと外して、2人っきりの時にする様なニコヤカな声で、

「優、これぐらいで、いいかしら?」と二ッコリと笑いながら言う。


 俺も、出来る限りの笑顔で、

「そうだね、ありがとう、彩。もう、芝居はこれぐらいにしよう。ここに来てからの約三年間、本当にありがとう、感謝してるよ。それじゃあ、みんな、月曜日、十時に。」と言と、2人で腕を組んで歩きだした。


 そして、彩はチラッと後を振り返り、手を振りながら、

「じゃぁね、、、今まで隠してて、ごめんなさい。」と謝った。



 後から、彼らのざわめくのが聞こえる。


 「嘘だろう?」


 「どないなってんねん?」


 「ユウだって!」


 「アヤだって!」


 「何、あの2人、付き合ってたの?」


 「信じらんない! あのお堅い部長が? 表情も感じも別人じゃない!」


 「部長、あんなに可愛いかったっけ?」


 そんな声だった。




月曜日 午前十時


 結局、その日、映画研究部の全部員が視聴室に集まった。


 まず始めに、白いシャツに紺色のネクタイをラフにしめ、ジーンズにスニーカーを履いた俺が、

「それでは、試写会を始める前に、俺と部長の彩の事ですが、質問は受け付けません。俺たちの事は、適当に考えて下さい、以上。


 じゃぁ、副部長と部長を任命します。副部長、オッチョコチョイですが、コミュニケィションの上手な島田君。部長、少し無口ですが、自分の意見を簡単には曲げない、富田さん。この2人にやってもらいます、よろしく。」と言った。


 次に、白いワンピースのドレスに、お揃いの帽子と靴を履いた彩が、

「優と付き合い出したのは五年前、私たちがまだ中学生の時でした。私が病気で入院した時もずっと私の側にいてくれました、以上です。


 それでは、最初の仕事を伝えます。本日の試写会の進行、お願いします。それと、これをもって、私と優の仕事を終了としますので、後は、2人にお任せします。」と言いい、鍵の束を富田さんに渡す。


 そして、俺と彩は、ざわついている部屋の中、二人で後の席に着いた。



 暫くの間、新しい部長と副部長は、コソコソと話し合っていたが、新副部長の島田君が、

「まぁ、そおゆう事なので、僕が進行します。先輩たちの事は試写会の後で問い詰める事にして、作品の観賞から始めたいと思います。」と言い、新部長の富田さんは、パソコンにフラッシュドライブをつないだ。



 最初の作品が中央の大きなモニターに映し出された。


 島田君が、少し硬い表情をしながら、携帯を使っている。

 

 「もしもし、美穂? 今晩、俺の家で飲み会するんだけど来ない?、 おう、おう、じゃぁ、また今度な、OK。」


 そして、

「由美、島田だけど、飲み会するんだけど、、、どおして、、、来なよ、、、」と言って、島田君は携帯を置く。


 次に、もう1人の部員の竹田君が、

「遅くなった、」と言いながら、ショピングバッグを持って登場。


 2人はビールと思われる缶を飲み、ギターを持って、頭を振ったり、飛び跳ねたりしながら、ステレオのパンクロックに合わせて、その激しい曲を歌い始める。


 その曲が終ると、島田君は携帯を取り上げて、それを渋い顔で覗き込み、顔の前で手を振りながら、

「全滅、誰も来ないよ、、、やっぱり、俺らは悲しいロンリーロッカーだー」と言って、またビールを飲みながら、騒ぎ始める。


映像はそこで終り。



 すると、新部長の富田さんが、

「何なの、これ?たんなるバカ騒ぎじゃない。」と不服そうに言うと、


 「女の子達を誘ったんだけど、全員にふられたので、竹田と無茶飲みして、騒ぎました。“最後には騒ぎたい” とゆう作品です。」と島田君は説明したが、


 「説明がないと、全然判らないわ。」と富田さんは言い返し、


 「”最後も騒ぎたい” の間違いちゃうんか?」と石井くんが付け足した。



 次の作品は、新井さんの1家だんらんの風景。家族4人が仲良く笑いながら、鍋をつついている。


 「もう、こぼさないで食べなさいよ!」


 「最近、学校の方は、どうだ?」


 「お父さん、これ大好物よね、あげる。」


 「お母さん、お酒もう1つ、、、どうだ、たまには、お前も飲まないか?」


 そんな家族4人の会話と、仲良く笑いながら食事をしているシーンが撮られていた。


 「“家族とゆっくり時間を過ごしたい” です。」と新井さんは自分でコメントをつけた。



 その次の作品は、


 繁華街の外れにある、ポルノ映画のポスター、ストリップ劇場の看板、出張ヘルスのカード、ポルノ雑紙の販売機、客引きをする男達,ラブホテルに入って行くカップル、などが撮られていた。


 次に動かないカメラで、石井君が目を閉じて小刻みに動いている映像。そして、彼の動きが止まり、カメラに向って、丸められたティシュが投げつけられる。



 その瞬間、女の子達が、

「キャー」

「石井の変態。」と叫んだ。


 それを聞いた石井君は、

「マスターべーションの、何処が変体やねん?誰でもする事やろう。それともあれか、君らは、せえへんのんか? Sex や性欲を否定したら、君らはここにはおれへんし、命は生まれへんねんで。 さぁから、これは、“自分が生きてる証”、エロスを表現する映像なんや。それに、彼女がおらんから、自分でやるしかないやんか、、、」と言い返すと、


 ドアの近くに座っていた、新井さんが、

「それでも、こんな映像、人に見せる為に撮るもんじゃないわ、、、」ともじもじ、小さな声で言うので、


 彼は、その彼女の方を見て、少し寂しそうな声で、

「新井さん、、、なんで返事してくれへんねん?俺は、君の事が好きなんや!何時に成ったら、ちゃんと返事くれるんや?」と問う。


 すると、新井さんは真赤に成って下を向いてしまい、

「そんな事、恥ずかし過ぎて、、、人前では答えられない。」とつぶやくように答える。


  数秒の沈黙の中、その場の空気を読んだ進行の島田君は、

「彼女の答えは出てるみたいですが、君達は外で話しをしてきて下さい。石井、早く行け。ちゃんと返事してもらえよ!」とウィンクをして、2人を視聴室から追い出した。


 彩が俺を肘で突き、

「優、彼の作品好きでしょう? まるで去年の貴方の映像みたい。」


 「とてもストレートで、石井の作品の方が出来がいいよ。」


 「優のは、エロスとゆうよりロマンチックだもの、、、私は、好きだわ。」


 すると部長の富田さんが、少しきつい声で、

「先輩達、まだ試写会中ですので、私語は謹んで下さい。それと、イチャツクのも止めてもらえませんか?」と俺達を注意をするので、


「すまない。」

「ごめんなさい。」

と同時に謝った。



 次は、西君と川田さんとのデートの映像だった。


 2人は、携帯で互いに撮影し合いながら、陽射しの良い川原を散歩している。

 彼女が作ったサンドウィチを、彼は嬉しそうな顔をして食べている。

 その横で、川田さんがニコニコしながら、コップに飲み物を注いでいる。

 二人は寝転びながら、笑顔で、お互いの顔を撮り合っている。

 彼が昼寝している顔のクローズアップ。

 そして、二人は手を繋ぎながら、夕日に向って歩いて行く所でフェィドアウト。


 「“最後まで二人で。” とゆう作品です。」と川田さんが可愛らしく言うと、


 「お前ら、イチャイチャし過ぎ!」と島田君が言い、


 それを聞いた西君が、「それは、彼女のいない君の、ヒガミじゃないのか?」と言い返す。



 そこで、その2人をさえぎるかの様に、部長の富田さんが、

「次は、私のです。」と言って、モニターに映像を映す。


 彼女は、家族の1人1人と、別れの言葉を交わしている。

 その後、自分1人の部屋で、ショパンのピアノ曲を聞きながら、自分の日記や詩を朗読している。

 

 そして、彼女の顔だけを映し出し、

「自分でコントロールできない運命なんかに、私の命を左右されたくない。さようなら、私は、自分で自分の命を絶ちます。」と言う。



 島田君が、ビックリしたように、

「自殺願望があるのか?」と聞くと、


 富田さんは、彼の方を見て、

「違います。“自分の生死は、自分で選ぶ。” とゆう決意です。」と答えた。



 その時、ドアが開き、石井君と新井さんが恥ずかしそうにしながら、手を繋いで部屋に入って来て、

「付き合う事に成りました。」と石井君が少し恥ずかしながらも、嬉しそうに言い、二人で席に着いた。



 島田君は、笑いながら

「またもや、カップルかよ!俺と竹田だけだぜ、、、富田もか、、、お前、俺と付き合わない、なんてね。じゃぁ、最後は、先輩達の作品です。」と言うと、


 富田さんは、表情の無い声で

「死んでも嫌!」と撥ねつけた。



 お互いの家族に挨拶に行き、自分達の関係と結婚を考えている事を告白して、家族との別れの言葉を交わす。


 2人で夜の誰もいないチャペルに忍び込み、

「いつまでも、君と一緒に生きる事を誓うよ。」

「私も、貴方と一緒に生きる事を誓います。」

と確かめ合って、指輪の交換をした後、抱きしめ合ってキスをする。


 次に、少しぼやけた映像で、ロウソクの小さな灯りに照らされながら、べッドの上、裸で愛し合う2人。


 そこで、映像はフェィドアウトするが、

「私、貴方の子供が欲しい、、、生みたい。」と言う彩の言葉で終る。



 蜂の巣を突いた様に、俺達を冷やかす声が飛び交うなか、富田さんが、

「これで、全部ですが、、、でも、先輩、こんなの、提出して大丈夫ですか?後で、問題になりませんか?」と真面目な顔で質問をするので、


 俺と彩は立ち上がって、部屋の前まで行き、島田君と、富田さんに礼を言い、

「チョットした事情がありますので、、、その事は気にしなくても大丈夫だと思います。富田部長、後で校長先生がここに作品を取りに来られますので、すべての作品をこのフラッシュドライブにまとめて、そこの教卓の上に置いといて下さい。」と彩が言うと、


 富田さんは無言のまま、パソコンに落した全ての作品のファイルを、受け取ったフラッシュドライブにコピーして、他の全てのフラッシュドライブにもコピーをし、その1つを、彩に渡す。




月曜日 午前十一時


 川田さんが彩に、

「先輩、本当に結婚したんですか?」と興味シンシンの眼で聞くので、


 彩は、左手の薬指の指輪を皆に見せ、俺の腕に抱き付き、

「昨夜、私達、夫婦に成りました。」と嬉そうに答える。


 皆がまた俺達を冷かす中、川田さんは、

「もう1つ質問、どうして、ユウ先輩は、アヤ先輩の事を先輩って呼ぶんですか?」と聞くので、


 俺は、

「その質問には答えません。」と言ったが、


 彩が、


「病気の為、1年近く休学したんです。だから高校では彼と同学年に成りましたが、私は彼より1つ上なんです。彼が私の事を人前で “先輩” と呼ぶのは、中学の時のなごりだと思いますが、理由はよく判りません。」と答える。


 そして、彩が真面目な顔で俺を見て、うなずくので、俺はうなずき返す。彩は、少しトーンの落ちた声で、申し無さそうに、

「実は、最後に、もう1つ、お話があります。皆さん、気を落着けて聞いて下さい。」と言ったが、


 俺は、彼女の肩に手を置いて、

「彩には辛いかも、、、俺が、説明するよ。


 みんな、ちゃんと聞いてくれ、

 実は、今晩遅く、もしくは明朝早くに、全世界に向けて、重大発表があるとの事だ。細かい事は何も知らされてないが、校長曰く、“終わり” らしい。

 

 だからもう1度、“最後に自分はどうしたいか” をよく考えて、悔いのない時間を過ごした方が良いと思う。


 俺と彩はこの後、2人だけの時間を過ごすつもりだ。


 それと、もし本当に ”終わり” が来るのなら、考えられない様なパニックが起こる可能性も有る。それに巻き込まれないよう、その発表がある前に、夜が遅くならない内に、安全な所に避難する事も勧める。まぁ、何も起こらないかもしれないけど。」と告げた。


 彩が俺に続いて、

「このフラッシュドライブに記録された映像は、他のフラッシュドライブと一緒に安全な所に保管されるそうです。この作品の映像は、我々が今ここに生きて、そして、存在しているとゆう証です。私はこの部の一員として、この企画に参加出来た事をとても誇りに思っています。」と穏やかな声で言い、俺を見詰る。


 俺は、

「最後に最後にと、しつこい様だが、

 島田、竹田、お前達は、チョット無謀な所が有るから、無茶はするなよ。

 

 西、川田さんを愛しているのなら、ちゃんと彼女の側にいて、守ってやれよ。

 

 新井さん、石井はとてもストレートで飾り気が無いから、誤解され易いが、生きるとゆう事を真剣に考えている真面目な奴だと思う。彼が言う事の意味をちゃんと理解すれば、彼の良さがもっと見えてくるよ。

 

 それと、富田さん、生き続けるとゆう事は、死を選択する事より、もっと大変で難しい事だと思う。でも頑張って生きて、そうゆう映像を撮ってみないか?君なら出来ると思うんだ。」と1人1人の眼を見ながら言うと、


 新井さんは眼に涙を溜めながら、

「”終わり” って何ですか?先輩たちは、どうするんですか?何処かに行くのですか、逃げるのですか?」と聞くが、


 彩が、

「ごめんなさい、私達もその ”終わり” に関しては、何も知らされてないの。でも、私達は山に登る予定なの。この後、必要に成るかも知れない物をそろえてから、動き易い服装に着替えて、中学の頃よく2人で散歩に行った山に行くの。


 キャンプ場はないけど、小さな山小屋があるし、優もその山の事に詳しいから、卒業旅行とゆうより、新婚旅行かな。私達本気で、子供を作ろうと考えているの。その後の事は、またその時、考えるわ。」と答える。


 俺は、また彼らの顔をマジマジと見ながら、

「もし、何かの理由で “終わり” に成らなかったとしたら、またここで、君たちと会いたい。ここで、俺達の学校で、また会わないか?


 その時は、人の心に響く様な映画を作ろう。石井、富田、みんな、、、いいかな?それじゃあ、俺達は行くよ、元気でな。」


 「彩、行こうか。」


 「はい、貴方、、、私は、何時でもいいわよ。」と彩は何時もの様に、優しく微笑みながら言った。





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