第8話 壁
結果的に言えば、僕は自宅療法となった。
この国のルールで僕は介護保険が使えなく、医療保険でしか医療費をまかなえないらしい。
つまり、転院という選択肢はなかったのだ。
なんだよ、それ。
しかし、僕は事故の被害者だ。加害者に払わせてしまえばいいとこの時は思っていた。
リハビリを終え、ベッドに戻るとそばにスーツ姿の男が立っていた。
差し出す名刺に〇〇生命保険という文字が見えた。
僕の入ってる保険会社とは異なるということは加害者の保険会社か。
『この旅は〜』
年齢は30歳手前だろうか。青いネクタイがよく似合う青年の堅苦しい挨拶と労いの言葉を聞き流したうえで本日の要件を聞き出す。
加害者が謝罪に来ている。
よく会いに来れたな。
待合室に向かうとそこに立っていたのは老夫婦だった。
小柄なおじいさんは寄り添うようにおばあさんと立っていた。
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