かっぱ巻き評論家

近藤 セイジ

本編

「えー、先ほど捕まった連続殺人放火強盗ひき逃げ犯が、かっぱ巻きが大好物だったということで、日本で唯一のかっぱ巻き評論家のまき 九里きゅうりさんにお話しをお伺いしようと思って、お電話がつながっています。牧さーん」


「はい、どーも。牧です」


「牧さん、今日はよろしくお願い致します」


「はいはい、よろしくお願いします」


「今回の事件、率直にどのようにお感じですか?」


「本当にひどい容疑者ですね。そして、全国のかっぱ巻きファンが全員犯罪者みたいなイメージになってしまうのではないかと懸念しています」


「たしかにそうですね。しかし、この容疑者の家から、異常なまでに大量のかっぱ巻きが見つかったことについては、どうお考えでしょう」


「あのね、一般的にはかっぱ巻きって腐るんですよ、何日も置いておくとね。それを大量に購入していたってことは、今日明日に食べるつもりだったんじゃないですかね。容疑者は」


「なるほど。たしかにそうですね」


「容疑者の買ったかっぱ巻きは、どこのだったんですか?」


「えーっと、手元の資料だと、スーパー・ビッグワンになってます」


「あー、あー、ビッグワンのかっぱ巻きですね。あそこのは良い海苔を使ってるから旨いんですよ。わかってますね、容疑者は」


「ほとんどが、2割引きや半額シールが貼られたものがだったとも聞いております」


「あー、あー、あー、容疑者、かなりのかっぱ者、あ、かっぱ者ってのは、かっぱ巻きが好きなひとのことです。この人は、かなりのかっぱ者ですよ。かっぱ巻きってね、悪くならないんです。生ものじゃないから。だから半額シールが貼ってあってもいいんです」


「なるほど。最後に質問なんですが、容疑者は牧さんの著書『かっぱはホントにいるんだよ』を持っていたらしいのですが……」


「あー、それ、妖怪のかっぱについて書いたものなので、かっぱ巻きとは全然関係ないですー!」


「牧さん、ありがとうございました」


「どうもでした」

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かっぱ巻き評論家 近藤 セイジ @seiji-kondo

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