<Chapter 0>


「サンテラスへようこそ!」

 ウェイトレスの明るい笑顔が眩しい、ここはレストラン『サンテラス』。主に洋食メニューを中心としたファミレスで、フランス、イタリア、イギリスと各国の料理を網羅している。中でも人気なのは優しい口当たりのハヤシライスで、幅広い層からの支持を得ていた。

 今は平日の午後四時過ぎで、客もそこまで多くはなかった。テーブルも三つ埋まっているだけで、合計すれば七人だ。だからウェイトレスである彼女も比較的ゆっくりと落ち着くことができ、どんな客が居るのかをじっくり見て回ることにする。客層のリサーチも、アルバイトの立派な仕事だ。その分だけ時給も上げてほしいが。

 ざっと見たところだと、女子高生の二人組と、男子大学生の三人グループ、そしてアベックが一組といったところか。会話の内容にも耳を向ければ、何やら面白そうなことを話している。折角の暇な時間なのだし、少しだけ小耳にはさんでおこう。小さく背伸びをしながら、彼女はモップで掃除するついでに会話内容を聴くのだった――。

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