親方と弟子。その2

arm1475

軍艦巻きコレクション、はじめます。

「親方、親方、艦これって知ってますか?」

「知らん」

「劇場アニメにもなった、ネットゲームなんですよ。軍艦の美少女化がいま人気なんですよ」

「そうかい、興味無いね」

「勿体無い。軍艦といやあ、俺らにも関係あるでしょ」

「…軍艦巻きの事か?」

「それそれ。軍艦巻き」

「で、それで何がしたいんだ?」

「俺らもやりましょうよ」

「やるったってお前も俺もガラケーじゃねぇか」

「遊ぶんじゃないんですよ、売るんですよ、艦これ巻き」

「…」

「なんですかその嫌そうな顔」

「俺を寿司屋だと思ってバカにしてんだろうが、そういう人さまの商品を無断で使うと後ろに手が回るくらい知ってるぞ」

「親方、キャラなんか使わないっす。戦艦に見立てた軍艦巻きを売るんですよ、幾つか試作品作ってきやした」

「…ネギトロ巻き?」

「金剛ですわ」

「バカヤロウ、コンゴウはコンゴウでもネギとトロの混合じゃねぇか」

「で、こっちのイカ墨は」

「羽黒でさぁ」

「テメェ、客の歯を黒くさせてどうすんだ!」

「この武蔵なんかイケると思いません?」

「…蜂の子なんて客が困惑するわ!うちは寿司屋だぞ、ゲテモノ料理屋じゃねぇ!ってか何でオメェ、その歳で平田隆夫とセルスターズなんて知ってんだよ!」

「ダメっすか?」

「出すにしたってもう少し客を味で唸らせる奴を思いつけやがれ!てかそんな面倒な事せんでも戦艦に模した寿司でも良いんじゃないか?」

「生憎、その手のものは既に他所で出されてまして」

「あくまでも軍艦巻きサイズで勝負するしかないか」

「他にも七面鳥乗せた瑞鶴巻きなんてのもあります」

「おめぇ、焼き鳥出すにしたってうちの店じゃ焼く所が無ぇそ」

「あー、そういやそうでしたね」

「生で出せる奴は無いのか?」

「こいつはどうでしょ、蒸し鶏に青葉、メロンを巻いた三川艦隊巻き」

「…魚のネタどころかシャリも無いじゃないか。あー、没だ没!」

「うー。鰾膠(にべ)もシャリシャリも無いとはこの事か」


貫もとい完

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