すがら/なから
すがら/なから
流出子
①初雪や犬も炬燵で丸くなり
②初雪や雲間に師走控えたり
③初雪や紅葉卸で真昼酒
次 初雪に老犬散歩を渋るかな
①最初に、これが浮かぶ。その後、切れ字が「や」以外思いつかず。
②実感ですね。
③午後には晴れたので……。もちろん会社にいたので酒はナシ。
次 ①のバリエーション
ところで前のタイトルは「繭車の巻」で良いですか。
はかな・もがな・し・じ・や・らん・か・けり・よ・ぞ・つ・せ・ず・れ・ぬ・へ・け・いかに
冬泉
連句はじめます。今回も歌仙形式。
初雪や犬も炬燵で丸くなり(流出子)発句・冬
ともに眼の冬霞む頃(冬泉)脇・冬
発句、初老の心と思い、脇もそのように打添。老犬と飼主。丸い体と円い眼。生涯の時節のつかのまの内接。脇句の頃留もやってみたかったので。第三はどうしましょうか。
冬泉12月18日
ある方から第三を頂きました。小生が取り次ぎます。名も似ていますが二役ではありません。これは公任があえて三番目に載ったという詩歌管弦の舟を思わせますね。二から三へ。次も雑で願います。
ともに眼の冬霞む頃(冬泉)
楽の船京の調べをひゞかせて(いづみ)
冬泉12月18日
ということでこの三人で膝送りで進めたいと思います。捌は私が行いますが、気づいたことや口をはさみたいことがあれば、見ている方も遠慮なくご教示・投稿(つっこみ)を。流出子さん、次よろしくお願いします。
り(PN)
済みません。ツイート、12/27に気づきました。
ともに眼の冬霞む頃(冬泉)
楽の船京の調べをひゞかせて(いづみ)
四/雑
①夜空煌めくスペースデブリ
②ああマズイかも 匂いが触れる
③田舎教師の知らぬ奔走
次点 ころころころと転がってゆく
り(PN)
①音→無音→宇宙空間。大気圏に落下して燃えなければ見えませんが……。
②ひとつ前が音(耳)で、そのひとつ前が眼(色)なので、口と鼻と皮膚。最初は「ああ困ったな 匂いが触れる」と北窓さん風。
り(PN)
③京(都)→田舎。ヴィトゲンシュタインとラッセルのイメージ。
次点 単に音が転がっていく感じ。
冬泉
一度DMも送ったのですが…気づいていただけて良かったです。
夜空煌めくスペースデブリ(流)雑
月影の千々にくだけて帰り来ぬ(冬)秋月
月の座で付き過ぎかなと思いましたが、古歌句のいろいろを取り込んであっさりと。影と来ぬは両義的に。次も秋でお願いします。
2016年12月27日
冬泉
一応典拠を書いておくと、
・島々や千々にくだけて夏の海(芭蕉)
・月見れば千々にものこそかなしけれわが身ひとつの秋にあらねど(大江千里)
・月やあらぬ春や昔の春ならぬわが身ひとつはもとの身にして(在原業平)
で、付句が届きました。
2017/01/02
秋蝶追へば森の入口(いづみ)
冬泉
月光と映影、帰還と喪失の両義性に応じて下さったものと思われます。秋蝶も森の入口も境界的。
次から裏入り。流出子さん、ひきつづき秋でお願いします。
月影の千々にくだけて帰り来ぬ(冬泉)
秋蝶追へば森の入口(いづみ)
一枚目の裏/秋/折立
①群れをなす稲雀来て賑やかに
②流れ澄む水も波乱を覚えつつ
③敗荷(やれはす)に大粒の雨転がりて
次点 仏より人を助けよ曼殊沙華
①最初はウルトラQ第二十二話「変身」に登場のモルフォ蝶からイメージ「稲雀変わる心を掻き乱し」。「虫」と「鳥」が頭に来るので変える。動きで言えば「夜」「明け方」「昼前」な感じ。
②森→湖→妖精→迷い込んだ人→恋待ちかな。最初は「感じ取り」→「覚えつつ」。
③蝶のひらひらとした飛び方とは違う転がる雨粒の幾何学的イメージ。
次点 森の墓場的なイメージからで、且つ、曼珠沙華には毒があるといわれるが、鱗茎には澱粉が多く食用にもなるところから。「仏より痩せて哀れや曼珠沙華」夏目漱石
冬泉
頽落続きで③を。
秋蝶追へば森の入口(いづみ)
敗荷(やれはす)に大粒の雨転がりて(流出子)
七面前でビー玉遊び(冬泉)
月並ですが、地元で硝子玉をちょうれんと呼ぶことも思い出されての連想。もしや蝶蓮ではと。
冬泉
ガラス玉演戯の記事が目に入り、地元ではちょうれんと言ってたな、と思ったらブログに書いている方が。
http://blogs.yahoo.co.jp/wildheart1002/17635816.html …
何人かで一緒にやって、弾き出したり押し戻したりするルールだった。
冬泉
七面前は硝子玉の多彩とも呼応しての地名で、流れとして人事を持って来ようかと。真景累ヶ淵というより、ボスの快楽の園の球体の中の恋人みたいなものと思っていただければ…
http://www.tamabi.ac.jp/idd/shiro/trance/compile/kasane/kasane.html …
ここから雑で恋句と行きましょう。
冬泉
早くも次が。
(実は午頃に届いてました。取次が遅れました)
七面前でビー玉遊び(冬泉)
恋人も早替わりする立役者(いづみ)
これは舞台と私事と両方でしょうか。
ひきつづき恋でお願いします。
冬泉
訂正。早替わり→早替り
り(PN)
七面前でビー玉遊び(冬泉)
恋人も早替りする立役者(いづみ)
一枚目の裏/四/雑/恋
①背中合わせに二人はにかみ
②髪結う人を覗きて吐息
③愛情搾取、断固反対
次点 香る柔肌しっとり重ね
り(PN)
①女性を守る時代劇主人公の立ち回りイメージからズレて……。
②結婚式前ですね。「う」は「ふ」でも。
り(PN)
③「逃げ恥」から。うろ覚えですが、「わたくし、みくりは、愛情の搾取に断固反対します』だったような。修正前は「愛の搾取に断固反対」。硬くしてみました。
次点 修正前は「嘘ではないの、姉さまが好き」。つまり……。
冬泉
かなづかいは旧仮名で行きましょう。
①は時代劇というより世話物にありそうな場面を想像したのですが「木曽殿と背中合はせの寒さかな(又玄)」を使って義仲寺・無名庵を出してみました。名残の恋。
背中合はせに二人はにかみ(流出子)
橋は落ち人は無名に巴塚(冬泉)
冬泉
橋は保田與重郎「木曾冠者」(『日本の橋』)の、過渡期の没落する英雄である義仲を橋に喩えた記述から。無名は俳諧師の夢でもあり。
次はお任せします。まだ恋が続いてもいいし、有季でも雑でも何でも…
冬泉
いづみさんから指摘(数字・人字の連続)をいただいて、ちょっと変えました。「はにかんでゐる」でもいいかも。流出子さんいかがでしょうか。遡って考え直そうかな…
恋人も早替りする立役者(いづみ)
背中合はせで恥づかしがつて(流出子)
橋は落ち誰も無名に巴塚(冬泉)
り(PN)
では、
背中合はせではにかんでゐる
で……。
冬泉
ではそういうことで、お願いします。
冬泉
届きました。
ゾンビになればなほも探して(いづみ)
そろそろ有季句入れたいのですが、折の最後に花の座があるので残る夏(か新年)でお願いします。
冬泉
申し訳ない、また訂正。探→捜
間違いついでに字書(字通など)を見ると、前者は穴の中に火をかざし後者は廟中に火燭を執ってさがすこと、とあります。感触としては、あるべきものを捜す/不詳のものを探る、という違いかな。
2017年1月5日
り(PN
橋は落ち誰も無名に巴塚(冬泉)
ゾンビになればなほも捜して(いづみ)
一枚目の裏/七/夏
①やうやうと負ぶさる如く蝉時雨
②森巡りふうと吐く息 木下闇
③一片の迷ひも無いか道をしへ
次点 節操は無駄なことよと花潜(はなむぐり)
り(PN)
①「漸う」ですが、夜が続いたので真昼「ようよう/陽陽」に。「如く」を「ような」なら×3。
②「捜して」から。実は休憩先に目的地がある。「ふう」は「はう」でも。
③「捜す」のは見つからないから。で、逆を……(斑猫)。
り(PN)
次点「ゾンビ」が何か(恋人の死体?)捜すイメージを花にもぐって蜜を食べる「花潜」に重ね、開き直る。
冬泉
私のを少し変えました。
今回のは井蛙の類で、蛸壺社会の底から見る遍在。次もお任せします。
橋は落ち君は無名に巴塚(冬泉)雑
ゾンビになればなほも捜して(いづみ)雑
森巡りふうと吐く息 木下闇(流出子)夏
壺の底から夏の月見む(冬泉)夏月
2017年1月6日
冬泉
三案いただいてこれを選びました。安閑と日を送っていると茹で蛙(蛸)になるぞという警告でしょうか。五右衛門風呂は父の実家でたまに入ってました。次は花前なので植物を避けて雑(か春)で願います。
沸沸と五右衛門風呂の煮え滾り(いづみ)
り(PN
壺の底から夏の月見む(冬泉)
沸沸と五右衛門風呂の煮え滾り(いづみ)
一枚目の裏/十/雑
①サレック島に打ち寄せる闇
②唐獅子歩む土地人知らず
③小田原名物下駄にはあらず
次点 阿片塗れの満鉄利権
り(PN
①五右衛門→ルパン(リュパン)で「三十棺桶島」から。
②石川五右衛門がいた世、安土桃山文化から。濃絵、狩野永徳「唐獅子図屏風」。
り(PN)
③五右衛門風呂→「東海道中膝栗毛」で弥次さん、喜多さんが下駄をはいて浸かった風呂は小田原宿に……。
次点 時代がかったのが続いたので戦前まで飛ぶ。五右衛門から阿片王、里見甫。残念ながら植物、阿片→芥子(植物)。
おそまつ。
冬泉
阿片じたいは植物ではないと考えて次点を。満鉄の株券を下貼りにした屏風が家にもあったなあとか、その程度の連想です。あとはボードレール。次も春で願います。
沸沸と五右衛門風呂の煮え滾り(い)雑
阿片塗れの満鉄利権(流)雑
下貼りに繚乱たりし悪の華(泉)春花
冬泉
五右衛門と悪が打越すか…微妙なところではありますが。
冬泉
今回は四案、どれも良くてまた迷いましたが、前句の重層性つながりで蜂にします。次は名残面折立、春でお願いします。
新入生の姉様(グランスール)に
春の夢には反復(ループ)するもの
○蜂迷ひこむスカートのなか
若妻を連れ若鮎を釣り
冬
面→表。一応見渡しを書いておきます。
阿片塗れの満鉄利権(流)雑
下貼りに繚乱たりし悪の華(泉)春
蜂迷ひこむスカートのなか(い)春
2017年1月8日
冬泉
物言はぬと首は冗長かと思いましたが、逆に物言う時代を付句に。連句に加わったAIがこうなることもあろうかと…内輪になりましたが雑で受けてください。
蜂迷ひこむスカートのなか(い)春
物言はぬ人形(ドール)の首に春ショール(流)春
アンドロイドが座に苦吟して(泉)雑
2017年1月9日
り(PN)
物言はぬ人形(ドール)が拾ふ春ショール(流)春
……だと怖いですか?
冬泉
このままにします。はや次も届きました。苦吟の体が通うので二番を。次も雑でお任せします。
桃色の粉末薬を飲みほすも(い)雑
○トイレットペーパー予備の見当らず(い)雑
名にし負ふ異端審問いつ了る(い)雑
2017年1月10日
冬泉
少し変更。初昔=去年ですが、字の組合せが回帰してくる往古、といった語感を持つので。埃=時間も痕跡。次もお任せで。
アンドロイドが長考に入り(泉)雑
トイレットペーパー予備の見当らず(い)雑
ワインボトルのポテンシャル型(流)雑
初昔つひに埃を払はざる(泉)新年
冬泉
届きました。恋呼び出しかな。次もお任せで。
・ひめはじめ昔男に腰の物(郁乎)
○姫始にも駄賃せがまれ(い)新年
筆始にはいつも「永」の字
絵双六だけいつも強運
一心不乱羽子板を振り
2017年1月12日
冬泉
佳句だと思ったので②を。付句はその来し方行く末というか。プシガンガは円座して歌舞飲酒すること。戸川純も念頭にありつつ本来の意味で。次も雑で願います。
姫始にも駄賃せがまれ(い)新年
皺まさり淑気に満つる妻の顔(流)新年
涙流して宴(プシガンガ)して(泉)雑
2017年1月13日
冬泉
届きました。浮世はそんなものか…という感じでしょうか。次も雑で願います。
彫物の五爪の龍の荒狂ふ
○最後まで塩対応のホテル側(い)
秘密裏に軽井沢まで急行す
恍惚と般若心経暗誦す
り(PN)
涙流して宴(プシガンガ)して(泉)
最後まで塩対応のホテル側(い)
名残りの表/十/雑
①知らぬ神より馴染みの鬼か
②名前違へば歓待せらる
③声のなかれば気にならざるや
次点 原典料理はケッパーもあり
り(PN)
①塩対応→Better the Devil You Know から。因みに THE DEVIL YOU KNOW は「HEAVEN & HELL」のラストアルバムでロニー・ジェイムズ・ディオ生前最後のアルバム。昨日聴く。
り(PN)
②ウィリアム・ギブソンがメル・ギブソンと間違えられた時のことを思い出し……。
「ウィルがメルなら歓待せらる」だと具体的。
③元は「(言の葉が)判らなかれば気にならざるや」
次点 塩→ストロガノフ家→ビーフ・ストロガノフ→オリジナルの……。
2017年1月15日
冬泉
慣用句の意味からすると逆に「選んで愚者を摑むトランプ」はどうかとか思いましたが…言われてみると塩対応は神対応と鬼対応の中間かも。その連想でタロットの月。
最後まで塩対応のホテル側(い)雑
知らぬ神より馴染みの鬼か(流)雑
十字路にしづしづと月降りてきて(泉)秋月
冬泉
月のカードの異名が十字路。cross-roadsに単なる岐路以上の意味がありますが…
続いて秋でお願いします。
2017年1月15日
冬泉
届きました。どれも格調高い。
次から名残裏。続けて秋でお願いします。
○撰ばれてある恍惚の秋(い)秋
秋思の中に置きわすられて(い)秋
色なき風に帰宅する径(い)秋
白洲梯子は秋の色なす(い)秋
り(PN)
十字路にしづしづと月降りてきて(泉)
撰ばれてある恍惚の秋(い)
名残りの裏/一/秋
①捨て置かれ脅すものなき古添水
②案山子らの立ち泳ぎする金穂波
③蓑虫の揺れを見に来よ風の中
次点 霧時雨 夢に万ぞ流し去ね
2017年1月17日
り(PN)
①撰ばれ→捨てられ。「そふづ」は秋なのか。
②恍惚→為すが儘。1/fを入れたかったが断念。
③上に同じ。蓑虫の音を聞に来よ草の庵 芭蕉「続虚栗」
次点 恍惚→至福→夢。
冬泉
スカート句との兼ね合いでナカとウチの違いも調べたり…後で考えます。付句はバルザックの願いを叶えて縮む革。前句の清閑との対比で。次も雑でお任せします。
撰ばれてある恍惚の秋(い)秋
蓑虫の揺れを見に来よ風の中(流)秋
香のみ残りて麤皮(あらがわ)むなし(泉)雑
冬泉
なお添水は三秋とか。地元に平清水(ひらそうず)の地名があり、由来の井戸が残っています。あの仕掛け以外も指すのではないでしょうか。
2017年1月18日
冬泉
届きました。最後にまた物語っぽい展開…これが鼻の座だったりして(^^; 次は雑か春で。
さまゞまの色うかびてはゆめうつゝ(い)雑
○赤鼻のひとを屋敷に引取れば(い)雑
汝(なれ)履きし硝子の靴を握りしめ(い)雑
逍遥のための装(よそひ)を縫ひあげて(い)雑
2017年1月19日
り(PN)
香のみ残りて麤皮(あらがわ)むなし(泉)
赤鼻のひとを屋敷に引取れば(い)
名残りの裏/四/春
①石鹸(しゃぼん)に映る生霊の影
②一羽外れき百千鳥なり
③遍路の止まず白足袋汚れ
り(PN)
①源氏ならこうですが……。
②赤 → 百から一を引いて「白」。
③これも赤白。
次点 一夜で消えた、という設定。
わたしが巻くのは終わり。
ここまで実に愉しかった。
続きも楽しみ。
冬泉
両方(ナウ二と四、三と五)打越ぎみかとも思いながら…挙句お願いします。
香のみ残りて麤皮(あらがわ)むなし(泉)雑
赤鼻のひとを屋敷に引取れば(い)雑
石鹸(しゃぼん)に映る生霊の影(流)春
花の庭ごっこ遊びのまま老いて(泉)春花
2017年1月20日
冬泉
届きました。拙句を少し手直しして満尾(完成)とします。ありがとうございました。
女書解読に春は暮れつつ(い)春
春の夢より覚むることなし(い)春
山に笑はれ海に笑はれ(い)春
○かの世の亀はとことはに鳴く(い)春
何ら惜しまで春日傘閉づ(い)春
以上
歌仙「初雪の巻」 り(PN) @ritsune_hayasuki
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