《Brave〉The Immortal〉
落下
ある廃虚で拾われた手記
しくじった。多分、死ぬ。
今、地下のどこかの部屋に隠れてる。
床が抜けて、俺はそこの扉の向こう側の通路に落ちた。
地上への道はわからないし、上から魔物どもの声もしたので脱出は不可能だと判断した。
逃げられない。
詰みだ。
応援の兵団が間に合ってくれることを祈っているが、望みは薄い。
いざとなったら、そこで拾った毒薬でも飲んで自害するつもりだ。
あいつらに喰われるよりはマシな死に方だろう。
この手記はここに置いていこうと思う。
いつか、これを見た人が、俺という無名の勇者のことを思い出してくれることを願って。
扉が叩かれ始めた。勘付かれた。手のふるえがとまらない
もうだめだろうさような
──乱雑に書かれた最後の一文を読み終え、その手記を懐に仕舞いこんだ。
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