ブルーの憂鬱


俺はブルー。ブルースのブルー。

ブルー、ブルー、ブルー! 寒いぜ、ブルッ。


何処かから、口笛が聴こえてくる。

傷を抱えてさすらう旅人。俺には影が似合うのさ。

青い戦士。クールビューティ。


……的なことを、みんな期待してるもんだから

ついそれに応えたくなって、ポーカーフェイスが崩せないんだな。


と、ここでもニヒルに笑ってみる。

口角は片方ほんの8ミリ上げるだけにとどめる。

斜め45度でポーズを決めるから、待ってくれ。


はぁ、夏でも革ジャンにブーツ。って、蒸れるな。

俺のは特別仕様で、他の隊員のよりぶ厚い。

このカウボーイハットも、メッシュにしてほしい。


イメージの固定化はよくないと思うんだ。

世の中には、ギャップ萌えなんて言葉もあるじゃないか。

本当の俺を見てもキライにならない女が、きっと何処かにいるはずだ。


👢


俺は、モーレツに……。

こたつに入りたいんだ!


グリーンの家行ったら、あったのさ、魅惑のこたつが!

ねこがごろにゃーとかじゃれてて、上にはみかんの山。


ああ、入ってみたい。

と思って時々窓からのぞいている。あやしいよな。

強引に「おお、なんだ。入れよー」

ってグリーンに言われて、仕方ないなーみたいに

いよいよファーストこたつ体験するとか、散々妄想してるんだが

奴は鈍感なので、一向に俺の視線に気づくことがない。


あの中でデレーっと溶けてみたい。

ねこに踏まれて、凝り固まった背中をマッサージされたい。


俺の正体は「青ざめたペンギン」さ。

南極出身だけど、めっちゃ寒がりなんだよ。


あ、こたつの中からいぬが出てきた。

ほっかほかに湯気出てる。

オーマイ Hot Dog ! 抱きしめたいぜ、ポメラニアン!

犬が外を走り回るなんて幻想だな。あいつらも相当冷え性なはずだ。


今日は今日とて、グリーンがこたつからボウルを取り出した。

何かと思ったら、発酵したパン生地だよ。

こたつで発酵、パン屋さん!


かえるも一緒にこねてるぜ。その水かきが名人芸。

あれは! メロンパン作ってるのか。 俺もやりたい。

おおー、オーブンから甘い香りがしてきたー。


いいよな、グリーン村。

俺も高層マンションなんかじゃなく、ここに住みたいよー。



<つづく>



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る