奥さんをぼくに下さい

大葉感(オバカン)

第1話

「奥さんを、……ぼくに下さい!」

場が冷えきった。当たり前だ、いきなりこんなこと言いだせば。


「瑛太さん、りえさんをぼくに下さい。」

「うちの家、解散する理由がないんだけど。」

「そこを何とか。離婚しても半年間は猶予期間がありますし。」

「猶予期間て。馬鹿じゃないの?」

「馬鹿なのがチャームポイントだと思ってるんです」

「知るかよ。おいカエラ、塩もってこい。追い返す。」

「そのほうがよさそうね。私気狂いに嫁ぐ趣味はないの。」

「そこはご安心を。寛解しましたから。」

「もういい、ホラ、出ていけよ。」

「ケンカキックなんかジェフリー以来ですね。」

「何言ってるかわかんねえ!帰れ!」


とぼとぼと帰るぼくなのでした。

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