桃太郎カナダ・バージョン

エドモントン・クルーザー

桃太郎カナダ・バージョン


ある所にグランパーとグランマーがいました。


グランパーは山へメープルシロップ搾りに、グランマーは川へソーカイ・サーモン釣りに行きました。


ある日、グランマーが川でキャッチ・アンド・リリースしておりますと、

どんぶらこっこ、どんぶらここと大きな桃がが流れてきました。


こんな大きな桃はオカナガン産でも見たことがありません。モンサントの出した新種のGMO桃かしら?


グランマーはその大きな桃を川から引き揚げ、愛車F-150の荷台に乗せて持ち帰り割ってみますと、中から男の子が出てきました。


カナダの2016年の男の子の名づけランキング一位はオリバーですが、文化多様性を是とするグランパーとグランマーは、男の子をモモタローと名づけました。何でも日本語で桃から生まれた男の子、という意味らしいです。




体重過多60%を越える国でぷくぷくと育ったモモタローは、

「ここまで育ててくださってありがとうグランパー&グランマー。僕は来月で18歳。カナダ・チャイルド・ベネフィットも来月で出なくなるし、所得税の子供控除もできなくなるからどうせならCoast to Coastの国道一号線で大陸横断した後オニガシマ・アイランドに鬼退治に行きます」


Terry Fox Runと書いたTシャツを着たモモタローはニューファンドランド島の国道一号線のマイル・ゼロ地点から走りはじめました。


しばらく走っていくと、土着のニューファンドランド犬が、

「お腰に付けたティンビッツ、一つ私に下さいな」

と言ってきました。


チョコレート味は犬には禁忌なので、モモタローは

「グレーズもかかってないオールド・ファッション・プレーンだけだぞ」と念を押してニューファンドランド犬にティンビッツを一つ上げました。


その後、ニューブランズウィック辺りをモモタローとニューファンドランド犬が走っていますと、

モンクトン動物園から逃げ出してきた猿が、

"Les Timbits s'il vous plaît?"と言ってきました。


フランス語の授業をまともに聞いてなかったモモタローは、

「パ、パルドン?」

と聞き返しますと、

猿は"Could I have some Timbits, please?"と今度はフランス語訛りの英語で言ってきました。

モモタローは猿に一番カロリーの高いサワー・クリーム・グレイズドのティンビッツを一つ上げました。


次に、モモタローとニューファンドランド犬と猿が海の上に掛かった全長12.9kmのコンフェデレーション橋を渡って、プリンスエドワード島を走っていますと、

キジがアンずらを被って向こうから赤土の道を歩いてきました。

「仲間になるからお腰に付けたティンビッツ、私に一つ下さいな」


野生動物にエサをやる行為はワイルド・アニマルオフィサーに見つかると罰金なので「さっさと食べろよ」そう言ってモモタローはキジに一つ、ハニーディップのティンビッツをやりました。


モモタローとニューファンドランド犬と猿とキジは、カナダ全土に3,468店舗あるティムホートンズに立ち寄りながら全長8,030 kmの国道一号線を走り切り、オニガシマ・アイランドにやってきました。


噂の通りオニガシマ・アイランドはドラッグが蔓延していて大変な状態でした。


キジは言いました、「ドラッグ・アディクトなんて刑務所に入れればいいんだわ」


猿は言いました、「でも、アディクションはメンタル・イルネスが原因だって…」


犬は言いました、「とりあえず注射針の使いまわしとかで他の病気が蔓延するといけないから医療関係者がスーパーバイズする安全な注射施設を作ろう!」


桃太郎は言いました、「っていうかむしろ、ユニバーサル・ヘルスケアを使ってアディクトには麻薬を処方しよう!その方が警察の費用や救急車出動費用や、オーバードーズによる救急病院の費用より安いから!」


こうして、オニガシマ・アイランドのドラッグ問題は、無くなりはしないけれども、アンダーコントロール状態になったのでした。


その後モモタローは猿とキジが街中で住めるようにエキゾチック・アニマルライセンスと、犬にはドッグ・ライセンス(去勢手術済み)をとってやり、

たまにアディクションから立ち直った人達や住民が差し入れに持ってきてくれるティムホートンズの箱入りドーナツやTake12のコーヒーを飲んで幸せに暮らしましたとさ。


めでたしめでたし

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