他人の金で遠慮無しに寿司を食べたい

@dekai3

寿司が食べたい

寿司が食べたい。


いや、違うな。


寿司を遠慮無しに食べたい。


まだ違う。


他人の金で遠慮無しに寿司を食べたい。


これだ。


今まさに、他人の金で遠慮無しに寿司が食べたい。



具が椎茸や三つ葉や根菜のひな祭りに食べるようなちらし寿司でもなく、

歌舞伎の演目の登場人物から名付けられた太巻きと稲荷の助六寿司でもなく、

酢〆の鯖と白板昆布の押し寿司のバッテラでもなく、

回らないタイプの握り寿司が食べたい。


それを、他人の金で、遠慮無しに、食べたい。




と言っても本当に誰かに集りたいわけでなく、なんというか、こう、心が疲れた時に癒されたいという思いで


『寿司が食べたい』


という感情が湧いてくる。


似たような感情で『焼肉が食べたい』や『何処か遠くへ行きたい』や『家に帰りたい』という様々な心のSOSが存在するが、今はとにかく寿司が食べたい。


寿司で癒されたいのだ。


生たこのグニュグニュした身からでる旨味や甘味。

甲いかの満足いく歯応えとねっとりした舌触り。

鰯の脂の濃厚さと青魚のキッとした鋭利な味の刺激。

そして、それらを包むシャリの力強さ。


ああ、想像すると心が余計に餓えてしまう。しかし、一度満足感を味わった舌と心はそれを忘れる事なんか出来やしない。

美味しさは正義であり、力である。ジャスティスパワーオブ寿司なのだ。




え?ネタが安っぽい?

寿司ネタは安くても美味しいからいいのだ。

軟体系は上物でもお手軽な値段だし、旬の青魚は大量に取れるから安くてうまいし。

まあ、それにね、本当に他人の金で遠慮無しに寿司が食べたいわけじゃなくて、そういう他人に甘えたい的な要望?願い?的な叶わなくてもいいから言いたいだけの我が儘?


本当に他人の奢りだとしたら悪い気がするからちょっと遠慮してしまう。無駄にガリを沢山食べてしまうとか、高いネタの合間に玉子焼きや茶碗蒸しを頼むとか、そういう感じで。


まあ、そんな感じで、とにかく、寿司が食べたい。


寿司が食べたいなぁ。

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