西の街のニッキー

でこーす

第1話 : 西の街のニッキー

どこかの世界、いつかの時代のお話し。


西の街に住むニッキーは、手先が器用で、ちょっと奇抜な服を着た青年です。

毎週日曜日は、広場で得意のジャグリングを披露し、子供達を笑顔にする人気者でした。


・・・・・


ある日曜日の事


「ニッキー!」

ジャグリングを披露し終えたニッキーの背後から女の子の声がしました。


「やぁサリー。今日も見に来てくれたんだね!」

「うん!私、ニッキーのお手玉大好きだもん。ニッキーのお手玉と、ニッキーのお洋服を見てると、とってもワクワクするの。」

「へぇ?僕の洋服が?」

「うん!とってもキレイで、とっても面白くて、とってもステキ!」

はにかんだような、少しぎこちない笑顔でサリーは言いました。


・・・・・


次の日曜日の事


ジャグリングを終えたニッキーは子供達に呼び掛けました。

「みんな!いつもありがとう!今日はみんなにプレゼントがあるんだ。気に入って貰えると良いんだけど…」

そう言って大きな包みを広げると、そこにはニッキーの洋服そっくりな子供服がありました。


「わぁ!ニッキーの服だ!」

子供達は大はしゃぎ。我先にと手に取り、中にはその場で着替えだす子供もいました。


「僕の体は一つしか無いけど、僕の服はたくさん作れる。服をたくさん作って、たくさんの子供達に届ければ、たくさんの子供達にワクワクを届けてあげられるぞ!」

子供達の喜ぶ様子を見たニッキーは満足気に思ったのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る